「タッチ」 NUMBER GIRL
NUMBER GIRLは、孤独感に潜む激情を常にロックという形で提示していたバンドだと思う。
彼らのプレイはまさしく激情的であり、そして彼らの曲はどうしようもなくハードな孤独だ。
そんな彼らの1stアルバム「SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT」の一曲目を飾るのが、この名曲「タッチ」である。
「熱さを嫌う若者たちは冷えきった場所へ逃げてゆく」
「通じあわないで 触れあわないで」
ここに描かれていることには、寸分の狂いも無い。
私自身が比較的「若い」と云われる世代なので、その光景を何度と見てきたし、実際に経験もした。
私達は、触れ合おうとしたことなどない。
面倒なことからは逃避する。
誰かと通じ合ったこと? そんなこと、一度だって無い。
若者たちは、いつだって「自分自身」の「すべて」を受け止める人間を求め、そんな人物が居ないことに、冷たいエナジーを感じている。それは、きっと憤りよりも虚しさだ。恥なのだ。若者にとっては。
だからこそ最初から逃避する。
虚しさを感じるくらいならば、平面的な触れ合いで構わないのだから。
それは、事実上「触れ合わない」ということだが。
しかし、それでも向井は唄う。
「それでも奴等笑いあう それでも奴等信じあう」と。
それこそが、若さの証明だ。触れもしないのに信じあえる。笑いあえる。それが若さだ。
もはや、それは理論も何もかも一瞬にして消化し、消去してしまうほどの、熱い心模様なのだ。
NUMBER GIRLは、そんな若者たちを否定もしなければ肯定もしない。
だからこそ、この曲が持っている、胸に差し迫るような鋭利な痛みは拭えない。
それは、もう歌詞云々を超えて、曲が持つ世界が、圧倒的に「鋭利」なのだ。
そして鋭利なものが心に届けば、それは確かに痛みなのである。
痛みを音楽へと昇華させることが、ロックだ。
NUMBER GIRLは、それをすべてにおいて体現している。
だから彼らの世界は、あらゆることを超えてロックであるのだと思う。