「意識」 作詞・作曲 椎名林檎
椎名林檎さんの3rdアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」の中では一際ポップな曲。
だけど、この3rdアルバムが持つ重さ同様にヘヴィな歌詞。
「性」「生」を受け止めきれぬ思春期のうちの複雑な心境を、こんなに鮮やかに、そして自虐的に唄っているなあと思うのです。
「嘘ヲ吐クナヨ」というカタカナでの不気味さと傍若無人さで、全てに対して敵意をむき出しにしたこと思えば、
あっさりと「君を愛する」と云える、若さ。
「幾つに成れば淋しさや恐怖は消へ得る」とモラトリアムへの漠然とした不安を抱える。
そして最後に、
「無い物 頂戴なんて憤つてゐる幼児同様
お母様 混紡の僕を恥ぢてゐらつしゃいますか」 と尋ねる。
ここの部分は、シングルヴァージョンでは、悲壮感とヘヴィさ、今にも自殺しかねないような危うさを以って唄われているけれど、アルバムヴァージョンでは正しく自虐的にポップさを武器にそれまでのテンションを引き続いたまま、「母に尋ねている」。
最後に、自分の「生」の根源となった母(父親も必要なわけだけど、産み落としたのは間違いなく母親だから)に自らの存在を尋ねる、というその行為は、ギリギリな思春期特有の鋭利さだと思う。
思春期特有の不安定さを、こんなにもポップスに変えてしまうその力に、本当に目を見張る。
また、アルバムではシンメトリィ曲とされている「迷彩」も、意識と同じように「思春期」をテーマにした唄だと思う。
それに関してはまた別の機会で書こうと思います。