私の住む町では先週の金曜日の午後から日曜日の夜まで夏祭りが盛大に行われました。
最近はどこの町でも地域振興の一環として花火大会や夏祭りが開催されますが、この町のお祭りは江戸時代から続く伝統あるものです。もともと絹織り物の産地として栄えた町ですので戦後、化学繊維が普及するまでは繁栄を極めたのではないでしょうか。松任谷由実の実家の呉服屋さんがある街としても(一部で)有名です。
お祭りの一番の見所は10数台の山車の巡行です。高さが5m以上はある大きな山車は精細な彫刻が施され、かつ絢爛豪華に飾られ、屋根の上には勇壮可憐な山車人形が載せられています。山車には笛と太鼓のお囃子が座り、ひょっとこや狐のお面をつけた踊り手が狭い山車から身を乗り出すようにして周囲へ視線を向けお囃子に合せて手足をくねらせています。そして屋根の上では2,3人の若者が提灯を持ち大きな声で引き手に声を掛けていました。
関西や九州では山車を如何に早く走らせるかを競うようなお祭りもありますがこの町では子供たちが綱を引いていて山車はゆっくりと動いていきます。
大きな国道を通行止めにしてのお祭りで大変な人出です。夜店の屋台もたくさん出て、金魚すくいや輪投げ、三角くじにカキ氷、あんず飴にはっかパイプと昔懐かしいお店もあれば焼きそば、たこ焼き、お好み焼きと屋台の定番も人気です。歩道に並んだ夜店の前はたくさんの人で押すな押すなの賑わいでした。
東京都下の町とは言え普段はオフィスもあればショッピングの人も居るし、大学生も多く、夜になれば無数の居酒屋とすこし怪しげなバーや毒々しいネオンの輝く町ですが、祭囃子が響き浴衣やハッピ姿の人が歩けばその夜だけは江戸情緒の残る昔からの街に戻ったようで居酒屋さんやスナックバーもいつものきらめきを失ったように見えました。
私も含め普段はよそ者ばかりの町で商店街も大きなチェーン店やスーパーの陰で小さくなって見えるものが、まるでこの日だけはこの町が古くからの住人の手に戻ったように感じました。
こうして大きなお祭りを開催することで伝統を守りつつも新しい住人にもこの町に愛着を持ってもらい、そしてこの街に住むことに喜びと誇りを感じることが出来る。
これだけのお祭りを行うためには大変な努力が必要だったと思いますが、それに見合うものは古くからの住人にも新しい住人にもそして遠くの町からただ遊びに来た人にも十分にあったのではないかと思いました。