みなさん、こんにちは! 公認会計士の柴山政行です。
今週は決算発表ラッシュとなりましたが、
その中で会計士として面白いと感じたのが、
花王とソフトバンクグループ(SBG)の決算に見える
「利益の見え方の違い」です。
花王は8月5日、
土地売却益などを追い風に通期純利益予想を1350億円へ上方修正しました※1。
日本基準であれば、
この土地売却益は「特別利益」として経常利益の下に区分され、
本業の実力(営業利益・経常利益)とは切り離して見ることができます。
ところが花王もSBGも、実はIFRS(国際会計基準)採用企業です。
IFRSには日本基準のような「特別損益」という区分そのものがありません。
土地売却益のような臨時的な収益も、
原則として営業利益の中の「その他の収益」に含めて表示されます。
つまりIFRSの営業利益には、
日本基準なら特別利益に振り分けられるはずの項目が、
実は混ざり込んでいる可能性がある、ということです。
もう一つの論点が「のれん」です。
8月6日に決算を発表するSBGは、
過去の巨額買収で計上したのれんを多く抱えています※2。
IFRSでは、のれんは毎期規則的に償却せず、
年1回(または兆候があるとき)の減損テストで評価を見直す仕組みです。
日本基準のように毎年一定額を機械的に償却しないため、
業績が好調な間は利益の下押し要因になりにくい一方、
AI相場の変調などで評価が急落すれば、
一時に巨額の減損損失を計上するリスクを抱え込むことになります。
同じ「決算が良かった/悪かった」という見出しでも、
日本基準とIFRSでは利益の構成要素の見え方がまったく異なります。
1級の学習では、
特別損益の区分やのれんの償却・減損ルールを
個別の論点として覚えがちですが、
実際の決算発表を並べて読むと、
その差が経営分析にどう効いてくるかが実感できるはずです。
数字の裏にある「どの基準で、どこに計上されているか」を意識する視点を、
ぜひ日々のニュースでも磨いてみてください。
次回もお楽しみに。
柴山政行
―――――――――――――――――― ※1 参考:日本経済新聞「決算:花王、株主優待制度を新設 個人株主の長期保有促す」(2026年8月5日、会員限定) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB039BF0T00C26A8000000/
※2 参考:日本経済新聞「ソフトバンクG、6日決算 孫氏流『財テク』にAI相場波乱の影」(2026年8月3日、会員限定) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0379U0T00C26A8000000/ ――――――――――――――――――
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