2024年5月24日の日経1面で、
政府が会社法を見直し、自社の株式を無償譲渡できる対象を社員に
拡大する方針と報じられました。
従来は役員に限定されていた権利を社員にも付与できるようになれ
より社員のモチベーションがあがる職場環境を作りやすくなること
期待されています。
その具体例の一つとして、パフォーマンス・シェア・ユニットとい
パフォーマンス・シェア・ユニットとは、業績連動型株式報酬制度
企業が特定の業績目標を達成した際に従業員に付与される権利のこ
パフォーマンス・シェア・ユニットについては、
最近の資格試験における出題実績として、
2023年の第73回税理士簿記論があります。
ここで、ご参考までに、
じっさいの問題文をご紹介いたしましょう。
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【第73回(2024年)税理士簿記論 第三問より一部抜粋】
甲株式会社(以下「甲社」という。)は、製造業及び販売業を営ん
当期: X5 年度(自 X5 年4月1日 至 X6 年 3 月 31 日)
:
:
9 インセンティブ報酬
甲社では、 X4 年 6 月 27 日に行われた株主総会においてインセンティブ報酬を決議し、
承認されている。これは、いわゆるパフォーマンスシェアユニット
参考として設計したもので、社内で「 X4 年PSU」と呼称されている。
:
(「 X4 年PSU」の概要)
権利確定条件を達成した場合には甲社株式を交付し、権利確定条件
は失効するという条件のインセンティブ報酬を、取締役 5 名に対して付与した。権利確定条
件は、 X5 年度の営業利益等の指標により判定するものとされており、割当日
31 日とし、当期末において失効が見込まれるものはない。
X4 年PSUでは、甲社株式の交付を全て新株の発行によるものとする
★
・割当日において交付される株式の総数 40,000 株 ─
・当期に「 X4 年PSU」の対価として提供された役務の総額 ─ 14,000,000 円
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以上を踏まえ、当期の会計処理は次のようになります。
※決算整理において、株式報酬費用を計上する仕訳を行う
(借方)役員報酬14,000,000円 (貸方)株式引受権14,000,000円
以上の処理をそのまま決算書に表示するならば、次のような感じに
貸借対照表
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(資産) |(負債)
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|
|(純資産)
|
|株式引受権14,000,000円
|
損益計算書
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(販売費及び一般管理費)
:
役員報酬 14,000,000円
税理士の簿記論でこの論点が出題されたのはある意味
時代の先端をとらえていて、すごいなあ、という印象を受けました
これからはヒューマンリソースという人材を経営資源とする考え方
経営の重要課題の一つとして注目を集めてきます。
そういった流れの中で、株式引受権という純資産項目や、
その他このようなインセンティブ制度に関わるいくつかの勘定科目が
バランスシート(貸借対照表)や損益計算書の中で存在感を増していくかもしれませんね。