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「トヨタ営業利益5兆円。ハイブリッド好調・円安効果(日経24*5*9*1)」
2024年5月9日の日経一面では、
トヨタが5月8日に2024年3月期の決算を発表し、
営業利益が前期比96%アップの5兆3529億円を
計上した旨が報じられました。
過去最高を更新し、
日本企業としては初めての5兆円超えとなりました。
ハイブリット車(HV)などの販売が伸びたほか、
値上げや円安といった要因が営業利益の増加に
寄与したとみられています。
2024年3月期(カッコ内は前期比)
営業収益※ 45,095,325百万円(+21.4%)
営業利益 5,352,934百万円(+96.4%)
税引前利益 6,965,085百万円(+89.8%)
当期利益※ 4,944,933百万円(+101.7%)
2023年3月期(カッコ内は前期比)
営業収益※ 37,154,298百万円(+18.4%)
営業利益 2,725,025百万円(-9.0%)
税引前利益 3,668,733百万円(-8.1%)
当期利益※ 2,451,318百万円(-14.0%)
(資料:決算短信(トヨタ)
https://global.toyota/.../financia.../2024_4q_summary_jp.pdf
こうしてみると、営業利益以下は前年に比べて
おおむね90%以上の増加を記録しており、
非常に勢いを感じますね。
詳しく見ていくと、
値上げの効果が1兆円、
円安の効果が6,850億円ということになりそうです。
また、地味ではありますが、決算説明会資料を拝見すると、
資材の高騰により2,650億円の利益が圧縮されていますが、
それを上回る原価改善の効果が3,850億円あるため、
正味で原価改善のど努力により1,200億円の利益アップ
に成功しています。
なお、5兆円もの営業利益を今後どのような分野の投資に
振り分けていくか、などの将来の経営戦略にも注目が
集まるところですが、この点、決算説明会資料をさらに
見ていくと、バッテリー電気自動車(BEV)やAIなどの
分野への投資が1.7兆円予定されているなど、
先端の研究技術などに豊富な資金を投下する意欲を
感じさせます。
なお、補足的な基礎知識として、
トヨタの業績を大きく押し上げた円安効果のしくみについて
簡単に触れておきましょう。
いまや1ドルが150円を上回るほどの急激な円安となっていますが、
たとえば以前、1ドル110円の時に3万ドルで自動車を売っていたとすると、
110円×3万ドル=330万円の1台当たり売上になりますね。
これがもし、1ドル150円という円安下で同じ3万ドルの売上ならば、
150円×3万ドル=450万円となり、なんと、為替レートが40円変動
することで120万円も値上げして売れたのと同じ効果になるのですね。
これはちょっと驚きです。
為替相場が10円動くと、3万ドル(300万円以上)の自動車は
30万円も売上がブレることになるわけです。
これはすごい影響ですね。
ちなみに、2023年5月頃のドル円はだいたい130~140円くらいだったので、
今の150~160円と比べて、おおむね20円程度の円安トレンドといえます。
輸出が値上げ効果で業績プラスに働く一方、
海外から材料や商品を仕入れている輸入企業は反対にコストアップで
利益が減ることになります。
このあたりは企業によって運・不運が分かれてきますね~。
以上、トヨタの営業利益が5兆円を超えたというビッグニュースに関するお話でした。
柴山政行