電通は7月3日に、800万株の新株発行による増資と2900万株の
自己株式処分により、最大1200億円相当の資金を調達する旨の
発表を行いました。
参考になる資料ページは次のとおりです。(電通のリリース記事)
「新株式発行および自己株式の処分ならびに株式売出しに関するお知らせ」
→ http://www.dentsu.co.jp/news/release/2013/pdf/2013083-0703.pdf
昨日(7/3)の株価が3,475円でしたから、
単純に株価と交付株数をかけて計算すると、
3,475円×(800+2900)万株=1285億7500万円になります。
おおむね1200億円ですね。
これらの調達資金は、以前に英広告大手イージスの買収で生じた
短期借入金2000億円の返済の一部に充てることを目的としている
という話です。
おおざっぱにバランスシートに与える影響を考えてみましょう。
たとえば、仮に
1株3,250円×37百株というかたちで
資金調達したと考えてみます。
3,250円×37百万株=120,250百万円という数字になりますね。
このうち、計算上では、
◎公募増資等…8百万株×3,250円=26,000百万円、
◎自己株式処分…29百万株×3,250円=94,250百万円です。
(注:本計算例は、あくまで想像上の仮定計算であり、
本件の対象となる時事ニュースの事実とは関係ありません。)
売却対象となっている自己株式の帳簿価額(買った時の評価)
をA百万円とすると、次のようなバランスシートの推移が
確認できますね。
※単位は百万円
*バランスシートの一部(調達前)
------------------
現金預金****|短期借入金200,000
********|自己株式△*A
*バランスシートの一部(調達後)
-----------------
現金預金120,250|短期借入金200,000
********|資本金等 26,000
********|その他資本94,250-A(自己株式の簿価)
*バランスシートの一部(一部返済後)
-----------------
現金預金****|短期借入金79,750
********|資本金等 26,000
********|その他資本94,250-A(自己株式の簿価)
こんな感じの推移になりそうです。
自己株式Aと、想定される自己株式の売却額94,250百万円
の差額「94,250-A」百万円は、その他資本剰余金と言って、
自己株式の売却によって儲かった分であり、
配当の原資になります。
以上、M&A資金を短期の借り入れで調達していたため、
これを返済不要の自己資本で得たお金で返済し、
返済不要の資本調達方法に置きかえることを予定している
と考えることができます。
そもそもM&Aや設備投資などは、長期的な
経営戦略ですから、それを返済期間が短い
短期の借り入れで調達するということ自体、
財務戦略上は無理がありますので、この機会に
資金調達方法を長期ベースに変更したという意味で、
電通にとってはとても意義のある資本戦略と言えそうです。
なかなか奥深いニュースだと思いますよ~。
柴山政行