なぜ、高校3年生が日商簿記1級に合格できたのか? | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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本日、第131回の日商簿記1級に合格された方の合格証書と
アンケートをサイトにアップいたしました。

こちらです→ http://bokikaikei.info/


先日、じっさいに親御さんの御承諾を得て、合格されたお子様に
電話で30分ほどインタビューさせていただきました。

その時の印象から、彼がなぜ1級に比較的短期間でスムーズに
合格できたのか、という理由を考えてみました。

これは、社会人でこれから1級合格を目指す方、あるいは
日商2級・3級や税理士簿記論を目指す方にも参考になると思います。


「なぜ、高校3年生が1級に合格できたのか?」


まず、一般的な高校生のイメージを思い起こしてみてください。

彼らは、ふだん、どんなことをし、何に興味を持っているのか…


ちょうどいま、夏の甲子園が真っ盛りですね。


つまり、高校生といえば、一般に思い浮かぶのが


○部活
○学校の勉強
○恋愛・ゲーム・テレビ・本・ちょっとしたお出かけ

です。


彼らの日常から、

○職場の人間関係
○取引先との交渉
○キャッシュ・フロー
○投資
○社内研修
○就職・転職
○マーケティング
○クレーム対応
○財務分析
○管理会計
○納期
○受注活動
○人事・総務
○工場内の生産管理

こういった、ビジネスに関する活動は、
まったく皆無といっていいほど、出てきません。


つまり、簿記が対象とする
「ビジネス現場の基本的な知識・経験がゼロ」に近い状態です。

それが、「ビジネス現場の最先端」を地で行くような
最新基準てんこもりの日商簿記1級に受かりました。

これは、どういったことでしょうか。


ひとことでいうと、
「18歳前後の人生経験と一般的な文章の読解力で、
ほんらい、1級は誰でも合格できる可能性のある資格」

だということです。

では、なぜ、高校生より、あきらかに人生経験やビジネス経験が
豊かである大人が、「1級の講義で話されている言葉が、
ぜんぜんわからない!」という気持ちになるのでしょうか。


経験的にいわせていただくならば、それまでの経験で形成された
マインドセットの影響が大きいのだと思います。

==================
mind‐set

【名詞】【可算名詞】
(習性となった)考え方,思考態度[傾向].
==================(研究社・新英和中辞典より)

それまで、自分が経験してきたこと、考えてきたことを通じて、
無意識のうちに習慣化してしまった思考パターンと考えていただいて
いいでしょう。

本人は、意識すらせず、ある種の思い込みや思考の流れに入ってしまう
状況ですね。


たとえば、
「増税をすれば、政府の財政は立て直せる、アップしなければ立て直せない」、
「いままで、何をやっても私は長続きしなかった。だから、こんども無理だろう」
「いつも歴史の問題を蒸し返して無理なことを言うから、あの国の人と付き合うのは嫌だ」

などなど…

日商簿記なら、

「3級は、だれでも受かるから、独学でもなんとかなるよね」
「2級の工業簿記は難しいから、できれば工業簿記の勉強をしないで受かりたい」
「1級は合格率が10%ちょっとと、段違いに難しいから、途中で挫折するかも」


こんなことをいう方もときどきいらっしゃいます。


以上のマインドセットは、まだかわいいほうで、このていどならば
比較的かんたんに修正できます。


それよりも、もっと根が深い習性があります。


最初の印象で、わからない言葉が3つ4つ、たまたま続けて出てきたら、
「そのあともずっと同じようにつらい体験をすることになるかも」
と、必要以上に暗い気持ちになって、「どうせ私はこんどもできないよ」と
いう無意識の声がおおきくなる傾向です。

これは、だれもが陥る可能性のある罠です。

1級でいうなら、最初のころは、まったく1級の学習内容の知識がないのですから、
よりどころになるものが2級の知識しかありません。

だから、1級特有の言い回しや取引の説明の仕方に慣れるには、やはり2-3か月くらい
かかるのです。それでも毎日、じょじょに慣れてくれば、わかるようになります。


2級の学習までを一通り終わっているならば、かならず1級学習の手掛かりを
あるていどつかんでいるはずなのですが、慣れない言い回しと用語の
オンパレードで、脳に「マイナス・スイッチ」がはいってしまい、
すべて1級は手におえない、という過剰評価をしてしまうのが一番怖いです。

1級は、すすめばすすむほど、それまでの知識が助けになって、完走がしやすくなる
という特徴を持っています。


さいしょの3か月は、予定通り復習が進まなくても、気にせず毎日すこしずつ、
講義を視聴したり、例題を解いたりしてみてください。

そのさいできるだけ「例題を解くのは楽しいな~」と思うようにすることです。

「例題がわからなくて、いやだな~」というタイプのマインドセットに
頭の中を支配されないよう、注意してくださいね。


これ、とっても大事なことですよ。

私は、「逃げグセ根性」といっています。
すぐに「ぜんぜんわからない!」といって思考停止するのはかんたんですが、
それは、現状からの逃げであって、何の解決にもなりません。

いったん引いて、体勢を立て直して再チャレンジするならば、
その一時退却は意味がありますが、まったくチャレンジしない退却は
逃げといっていいでしょう。
それが続くと、何をやっても逃げの言い訳をして、進歩向上を目指せない
というマインドセットを持つようになってしまいます。

今回ご紹介している高校生の子も、さいしょから1級の学習内容を
理解しているわけではありませんでした。

インタビューの中でもおっしゃっていましたが、
「学生なので、1級の教科書や問題に出てくるようなビジネス用語がわからず
苦労した」そうです。


ここで、逃げグセのマインドセットを持っている方は、
「自分は学生だし、ビジネス経験がないから、こんなのわからなくても
責任ないよね」みたいな思考回路で、現実からの逃避を選ぶことでしょう。

しかし、この方はそうはせず、「1級の理解に必要なビジネス用語の解説を
してもらう」という明確な理由を持って柴山式を選んでくれたのです。

18歳にしてこの自主性、立派だと思いませんか?

つまり、「柴山式1級を活用するのも、○○の理由があるから」みたいに、
はっきりとした目的意識を持てるかどうか、そういった思考習慣を持っているかどうか
で、1級の学習が続くか続かないかの分岐点になるのです。


高校生よりもビジネス経験が豊富な大人が、「わからないから1級できないよ~」
なんて、言っていられなくなりますよね。

大丈夫です。あなたにもチャンスは必ずあります。

まずは、さいしょのうちにちょっとうまくいかないくらいで、
「もう、私はだめだ…」みたいにならないよう、よいマインドセットの状態を
保てるようになりたいですね。


柴山政行