2010年は製造業の収益構造が良くなっていたことをうかがわせる
記事です。
損益分岐点比率が前期比で6.4ポイント改善され、83.3%に下がりました。
ここで基礎知識です。
【損益分岐点比率とは?】
黒字と赤字の境界となる、(営業利益(または経常利益)ゼロ」の状態に
おける売上高(損益分岐点売上高)と、実際の売上高の比率です。
(計算例)
小売業を営むA社の前年度における売上高は100億円、売上原価は60億円、
販売費及び一般管理費は34億円であった。
売上原価はすべて売上高の増減に比例する「変動費」であった。
また、販売費及び一般管理費のうち24億円は本社費用などの「固定費」であり、
残りの10億円は売上高と比例する「変動費」であった。
以上をもとに、「営業利益がゼロになる」売上高の金額を推定しなさい。
※営業利益の計算過程
売上高100億円-売上原価60億円-販売費及び一般管理費34億円=営業利益6億円
この計算式を、「売上高-変動費-固定費」のかたちに置き換えてみます。
※各費用を変動費と固定費に分けたうえでの営業利益の計算過程
売上高100億円-変動費60億円-変動費10億円-固定費24億円=営業利益6億円
☆ここで、変動費は売上高に比例するので、「売上高×○○%=変動費」の
関係が成り立ちます。
売上高100億円×○○%=変動費70億円(60+10)
○○%=変動費70億円/売上高100億円=70%(0.7)…売上高変動費率
A社の前年の実績と同じ収益構造を前提とした場合、変動費は常に
売上高の70%の比率で動くということがわかりました。
では、営業利益ゼロのときの売上高を仮に「X」とおいて、損益分岐点における
売上高を求めてみましょう。
売上高-変動費-固定費=営業利益0を解きます。
X億円-0.7X億円-24億円=0
0.3X億円-24億円=0
0.3X億円=24億円
よって、X=80億円とわかりました。
つまり、「A社は、売上高80億円以上ならば、赤字にならない」という
状況ですね。
損益分岐点売上高は80億円です。
そして、前年度におけるじっさいの売上高が100億円です。
そこで、前年度の売上高から「何%に売上が下がったら(=減収したら)」、
利益がゼロになるか、という赤字にならないぎりぎりのラインの
売上高の比率を求めてみましょう。
⇒損益分岐点売上高/じっさいの売上高=80億円/100億円=80%(0.8)
(つづく)