【企業を買収する2つの方法】
1.合併する
2.株式を取得して子会社化する
第一の合併による経営統合の方法は、今年10月1日に統合する予定の
新日鉄と住友金属が最近では有名です。
いったん株式を交換して住友金属を完全子会社にした後、
合併して「新日鉄住金」という社名に変更、という報道がされています。
合併というのは、
「契約により、二つ以上の法人格(会社)が一つの法人格(会社)に合体すること」
ですから、イメージは細胞の融合です。
「会社の結婚」みたいな表現をされることもありましたが、
結婚しても、旦那さんと奥さんは一人の人間になりません(それだとホラーです)
ので、詩的ではありますが、合併の法的な定義上は、やや正確性を犠牲にした
表現ですね。
「会社の合体」または「会社の融合」といったほうが法的には正確だと思います。
まあ、それぞれが全く違う歴史・文化をもつ細胞同士ですから、
合体後の「拒絶反応」が起きても、何ら不思議ではありませんが…。
それに対し、子会社化は、「法人格(会社としての体裁)を維持した状態」で
支配します。
名刺には、従来の会社名が残っていて、社名の上と化したとかに小さく
「○○株式会社グループ」みたいな添え書きがつくパターンですね。
上場企業の場合、連結決算をしなければならないので、
子会社化をしたときには、連結財務諸表を作る必要が出てきます。
法的には、合併と子会社化で、様式はまったくことなりますが、
こと経済的な意味で見ますと、両者はまったく同じことです。
したがって、合併後の財務諸表と子会社化後の連結財務諸表は、
大体同じ利益・資産規模・財務構成になります。
「法的には別物」でも、「経済的には同じ効果」であるのが、
合併と子会社化の関係なのですね。
なお、どちらの場合も、「のれん」は発生する余地があります。
合併の場合は「存続会社の個別決算上でのれん発生」、
子会社化の場合は「個別決算では出ないが、連結決算上でのれん発生」
ということになります。
ヤマダ電機とベスト電器、子会社化とはいっても、もしも
持ち株比率が50%をちょっと超えたくらいのままならば、
少数株主が40%以上いる、ということで、合併よりは支配力が
やや弱くなるでしょう。やはり100%支配の方が、基盤は強固です。
今後、ヤマダ電機グループの業績がどのように変わっていくか、
注目していきたいところですね。
柴山政行