はなしはとつぜん身近になりますが、
公共投資の建設受注における談合だって、
本質的に似たような構図ですよね。
「ガチで入札すると、とんでもない安値になって
建設価格が混乱するから、利益を確保するために、
今回はA社さんでいきましょか?
つぎは、これこれの価格で、うちに調整させて
くださいね~」みたいな。
ガチンコ勝負で値段を決めるから価格形成上の
客観性が保たれる(時として混乱もありますが)のであって、
ほんらいはガチンコ勝負すべき当事者同士で
話し合いしちゃったら、ときどきサッカーで問題になる
八百長試合と同じ状況になります。
LIBORに関する今回の問題も、根っこは
おなじだと思います。
ゲーム理論のよい事例集が一つ、加わった
感じです。
相撲の八百長問題、
建設の談合問題、
プロ野球やサッカーなどの八百長問題
などなど…
これに
LIBORの不正金利操作問題
が加わるわけです。
どこかの大学のゲーム理論講義で、
喜んで採用されそうです。
「相手を裏切れない長期的関係」
「密室での取引」
「全体最適とは異なる個の動機」
「相手の出方により、自己の利益が変わる状況」
こういったもろもろの条件がそろうと、
どの局面でも、社会全体の利益をそこなってでも、
ある種の「協調的な行動」が誘発されてしまいます。
八百長とか談合とかやらせとか、
はた目には「ガチンコ」と思わせておいて、
実は筋書き通り…なんてこと、
けっこう世の中にあったりします。
ちなみに、日本でもLIBORに類する
金利がありますね。
TOBOR(東京銀行間取引金利)という、
最初の一文字をのぞいたら同じじゃん、
みたいな突っ込みがはいりそうな指標があります。
まあ、いいお手本なら、どんどん参考にしても
良いと思いますけれど。
しかし、システムの模倣はまだいいにしても、
まさか不正のやり方はパクッてませんよね、
みたいな目で見られないよう、
こちらはこちらで不正防止策を世間に
アピールしなければなりません。
市場価格の形成は、「クリーンで公平なイメージ」が
大大前提です。
これがくずれたら、だれもその市場を信用しなくなり、
ひいては市場取引が崩壊します。
でも、裏で「その情報を知っている人、操れる人」
にとっては、打ち出の小づちになりえる話で、
こっそり自分だけ…みたいに考える輩が出てくる
のが世間の人情ってところでしょうか。
水は低き所に流れるものですから…
いずれにせよ、困ったことではあります。
一度揺らいだ信頼を回復するには、
多くの努力とエネルギーを費やしますから。
LIBORだけでなく、金融取引の公正性は、
今後も厳しい目で維持させる努力を続けざるを
えませんね。
柴山政行