新日鉄963億円など、四半期で有価証券評価損(日経12*7*3*17) 2/2 | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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1.その他有価証券
売買(株価が上がったら、売って儲けるという運用目的)や満期所有や
子会社として支配するなどの目的以外の目的で所有している有価証券。
その所有の意図は多様で、特に明確化されていない。
代表的な所有目的は、「取引関係の安定化」を意図して所有する
相互持ち合いなどである。

所有目的がはっきりしていないため、時価がある有価証券は
決算日で一時的に時価評価してバランスシートに表示するが、
翌日(翌期首)になったら、すぐに取得原価(買ったときの金額)に
もどす、という意味のよくわからない処理を強要する資産項目として有名。

原則として、365日中364日は原価で評価するため、
「ウスバカゲロウのような一日時価評価項目」と、柴山が
たとえ話として語ることがある。


2.投資有価証券
その他有価証券や満期まで所有する目的の債券(償還まで一年を切ったものを
除く)や時価の無い有価証券をまとめて表示するバランスシートの表示項目。


3.減損処理
投資有価証券(その他有価証券、満期保有目的債券)や子会社株式など、
基本的に原価で帳簿上評価しておく有価証券につき、
次のような以上事態においては、さすがに原価を維持するのは
実態に即していない、ということから時価まで評価を下げるなどの
特別処置をする会計処理技術。

減損処理をする条件の一例として、

(1)時価がおおむね直前の評価額(原価など)のだいたい50%以下にまで
下落した場合(著しい下落という)。

(2)時価が回復する見込みがある、と考えられる場合以外。
具体的には、「回復する見込みがない」と「回復見込みが不明」の2パターン
がある。


4.投資有価証券評価損
上記3.の減損処理をした結果、発生した評価損失。

原価と時価などとの評価差額は、「投資有価証券評価損」などの項目で、
損益計算書上は特別損失という以上項目の区分に表示される。

その他有価証券(原価130)が、期末になって時価50まで
下落した。時価の回復見込みは不明である。

※仕訳例
(借)投資有価証券評価損100(貸)投資有価証券100


以上のように、ほんらいならば日商簿記1級レベルの知識が
目白押しの新聞記事なんですね~。

日経新聞って、ときとして日商1級レベルの記事を書いてくるので、
あなどれません。


もちろん、合格レベルにまで行く必要はないのですが、
日商1級の商簿会計あたりの講義を受けておくだけでも、
日経新聞の財務記事を読むには、かなり役に立ちますよ。

(例)減損損失、デリバティブ、連結決算、不動産の流動化、
のれん、株式交換、会社分割、新株予約権、ストックオプション、
M&A、資産除去債務、ヘッジ会計、為替予約、棚卸資産の期末評価、
リース会計、見積りの変更、包括利益、キャッシュ・フロー計算書、
株主資本等変動計算書、株式分割、自己株式、外貨建子会社の換算、
持分法、セグメント情報、四半期財務諸表、…

こうやって上げてみると、きりがないですね。

日経新聞の財務記事は、「日商1級の講義レベルの基礎知識」を
知っておくと、ほんとうに理解のために役に立つのでは?という
気がしてきましたよ。


いずれにせよ、四半期決算の段階でも著しい下落があった
株式銘柄などについて、特別損失としての評価損を計上する
可能性があるので、経理担当者としては、実務が昔に比べて
大変になってきているとは言えそうです。


ますます専門的な会計知識の必要性が高まっていますね。


柴山政行