ここまで読むと、「美味いもん食いすぎて成人病が心配、というのが地方出張の不安かいな」と立腹されるかもしれません。
たしかに個人的にはそれも少しあったのですが、仕事面での不安は、何と言っても「最終日の講評会」でした。
たとえば、4泊5日の予定で月曜日に事業所へ行ったとしましょう。
その週は監査のため、いろいろと調べるのですが、その結果をまとめて、最終日である金曜日の午後4時とかそれくらいの時間に、事業所の経理関係者を集めて、「講評」するのです。
具体的には、監査で発見された問題点や改善すべき点などについて担当分野ごとに発表していくわけです。
これは緊張しますよ!場合によっては、30人くらいの会社関係者がずらりと並び、それらを前にして、有名人の記者会見さながらに、1人ずつ監査人として結果報告をするのですから。
ここで、うっかり特定の会社担当者にとって都合の悪いことを口走ろうものなら、強烈な抵抗にあって、ぼこぼこに反撃されてしまうこともあります。
また、専門家としての適切なアドバイスが聞けるだろう、と皆が期待しているものですから、1週間して何も指摘ができなかったりすると、「1週間も専門家の方が見たんだから、何か1つくらい指摘して頂かないとねえ…」と皮肉が飛んでくることもあります。
しかし、いい面もあります。
たしかにこの最終日の講評会は、かなりのプレッシャーがかかり、非常に憂鬱ですが、今思うと、あれは人前で自分の考えを要領よく話す格好の訓練になっていたことに気付きます。
また、何か指摘できることを真剣に探そうとすれば、自分なりに会社の業務や会計監査の基礎理論について深く研究することになり、結局は自分の知識や経験が多く身に付くのです。
そんな、いろいろな教訓を与えてくれる地方出張は、私にとって貴重な社会経験および実務経験の場でした。
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