バランスシートの資産評価に関する基本思想とは? | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

【朝4時起きの公認会計士】柴山が、これから会計について学びたい方、簿記検定3級2級1級の合格法に興味がある方、ニュースや会社の決算から会計知識を学びたい方のために、動画やメルマガなどを使って情報提供するブログです。

バランスシートとは、ご存じのとおり、「企業の財産に関する概要を
把握するための決算書」ですね。

このバランスシート、左側(借方)は「財産の運用状況」を表し、
「資産(Assets)」などと呼ばれますね。
右側は「財産の調達手段」を表し、
将来の支払義務を伴う調達手段は「負債(Liability)」、
株主の持分は「純資産(Equity)」などと呼ばれます。


バランスシートの左側=資産の項目は、大きく次の3種類に
わけられます。

(1)カ ネ…現金、預金
(2)モ ノ…棚卸資産、固定資産
(3)ケンリ…売掛金、貸付金、有価証券


さて、これらの資産を決算日時点で評価する場合、
どのような基準が設けられているでしょうか。

有価証券やデリバティブのような金融商品は、その特殊性
から「時価」で評価されます。

しかし、それ以外の事業用資産は、「取得原価」で
評価されるのですね。


取得原価とは、「その資産を取得するのに要した支出額」
のことです。

原価=支出額
とストレートに理解していただいても構いません。

原価と対になる評価基準に「時価」があります。

金融商品を除き、広く事業に用いられている資産は、
「時価」ではなく「原価(支出額)」で評価されます。

なぜでしょうか?

理由は、「計算の確実性・客観性」と、「処分可能性」
にある、といわれています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※実は上級レベルの会計理論では、もうひとつ、
「投下名目資本の回収計算」という、
資本論の思想(g-w-g')につながる会計原論的な
重要根拠があるのですが、これは大学院レベルですので、
ここでは割愛します。
今時は、CPA試験や税理士の財表でも、この辺は
問われないでしょうね、きっと…(笑)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


簡単に言うと、会計の世界では
「時価」は信用されていないんです。


すし屋の時価ってよくいいますよね。
あの、壁に掛けられた「トロ」とか「うに」とかの
商品名に、金額が書いてなくって「時価」とだけ
表記されているやつです…(笑)。

つまり、「その時々の相場で、いくらになるかは
お勘定してみないとわかりませんよ~」
みたいな、ちょっとホラーな金額設定なのですね。


基本的に、世の中の時価ってそんなものです。


たとえば、秋葉の電気街でパソコンを購入することを
考えてみましょう。

同じメーカー・同じ型のパソコンなら、定価は二十万円とか
どこで買っても、本来は同じはずですが、実は、
店によって値段がけっこうちがったりします。


典型的なのは、「当店より一円でも安い店が
ありましたら、店員にお知らせください。
そこよりも安くしますよ!」的な案内広告です。

昨日のチラシに書いてあったパソコンの値段が19万円でも、
今日行ってみたら18万5000円になっていた、なんてこと
もしょっちゅうですよね。


したがって、ある日の店頭表示価格(時価)というものは、
決算書を作るときにはどう変わっているかわかりませんし、
第一、あとになって「3月31日時点の○○店でついた
パソコンの時価」を監査人が監査のために調べるなんて、

たぶん無理です。


「ほら、3月31日のチラシに20万円って書いてあるでしょ!」
といわれても、それ、本当に信頼できるんですか?って
話ですよ。


建物や土地の不動産にしたって、例をちょっと上げるだけでも

1.路線価
2.固定資産税評価額
3.公示価格
4.近隣の類似不動産取引価格から見た推定価格
5.将来のキャッシュ・フローを割り引いた収益還元価格


などなど、理論的あるいは実務的な時価の算定方法には、
いくつもの代替的な手法があるのですね。

この中のどれかを、その時の状況で使い分けて時価評価
でもされたら、資産評価が粉飾決算の温床になって
しまいます。


また、3月31日には20万円でも、それが数ヶ月後も
同じ価格を維持できているという保証はありません。
つまり、「実現性に乏しい評価額」なのですね。


だから、売却などによって、資金化が確実にでも
ならない限り、領収書で確認できる「支出額=原価」
を期末の評価額として援用しましょうね、という
発想になるわけなのです。

これなら計算も確実ですし、利益の処分性のあやふやさも
回避できるというわけです。

時価をもとに含み益をあげてしまうと、時価が
下がった時にたいへんですから…


ただし、株式のように厳しいルール(金融商品取引法)で
規定され、時価に高い客観性が認められ、かつ
投資家の情報ニーズが高い金融商品については、時価評価を
原則としましょう、という流れが最近の会計のトレンド
なのです。


●一般の事業資産は、計算の確実性等から原価評価が原則
●金融商品は、情報ニーズなどから時価評価が原則


ということを知っておくと、
日経新聞を読んだりするときにも、時として理解を助ける
ことになりそうですよね。


時事ニュースで会計を学んでみたい方は、こちらのサイト が参考になります。