Lesson-15 大手町の長い1日
3度目の合格発表の日がやってきました。
私は、この年、初めて合格発表の前日にぐっすり眠ることが出来ました。
特に感慨のようなものはありません。結果をみて、吉と出れば公認会計士への第1歩、凶と出れば、同期の人間に3年ほど遅れて、勤め人になるだけのことです。
こういう心境を、「腹をくくった」と言うんでしょうね。
ともあれ、いつもより早い朝食をとり、通勤ラッシュにもまれながら、都営三田線の大手町駅を目指しました。
駅を降りると、やはり受験生らしき人の姿がちらほらと見えます。彼らは、どんな思いで出口へと続く階段を上っているのでしょうか。
一歩一歩上っているうちに、ふと、それが合格へと続く道のように思えました。
「よく頑張ったね。そろそろ向こう側に行ってもいいよ」
神様からそう言われているような、不思議な心持でした。
合同庁舎の1階に着きました。まだ9時前です。発表までは少し間があります。
窓の所に寄りかかり、しばし外をボーっと眺めていました。
せわしげに人々が目の前を通り過ぎます。彼らにとっては、今日という日は、昨日の続きであり、いつもと変わらない1日なのでしょう。
私や他の受験生にとっては…やはり特別な、人生の方向を決める1日になります。