読者アンケートでお寄せいただいたコメントのご紹介と御返事をいたします。
いつもお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
（匿名のため、お名前は分かりません）
新しい入試制度に関するタイムリーなコメントありがとうございました。
新制度、つまり国が求めている人材の条件を示すものは、幼児教育、小学生の年齢での教育である程度育てるものですね。これは楠木さんも書いておられるとおり、家庭教育です。
おうちで指導できる家庭、私立小学校などでは可能でしょう。問題は、家庭が、金銭的な側面、精神的な側面で、こどもに向ける、気持の余裕がない場合の家庭です。ここに注力を注いでいかないといけません。もう、すでに、こういった家庭は、経済格差などで、すでに、家庭教育が豊かでない、あるいは、教育したくてもできない家庭も多く、このままでは、スキルも継承もされずに、一世代終わろうとしています。ですので、次世代につなぐことは、何かしないと、今のまままでは、難ししです。
一方、豊かは家庭のこどもは、余るほど、親から環境を与えられている。
すべての家庭に、豊かな会話が生まれ、これから、国が求めていくような能力を高めていくには、どうすればいいか？
比較的、豊かな環境でわが子だけを育ててしまった一主婦ですが、考え、実行したいところです。
ご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
幼児教育や小学生の年齢での教育の重要性はおっしゃるとおりだと思います。そして、金銭面や精神面で余裕の少ないご家庭ほど、教育的なリソースも乏しく、子供に十分な教育が行えないという苦しい状況があります。
しかし、現実問題として、世帯間の所得や生活レベルの格差は進むばかりですし、それを補う方向に手を差し伸べるべき公教育までもが、格差を前提とし、それを後押しするかのような方向に進んでいます。
そのため、この点についてはますます厳しい状況へと向かっていくでしょうし、結果的に、その穴埋めを私教育に期待せざるを得ないのが現実です。ただ、所得のある人にほど良いものを提供するのが前提の私教育にその責を追わせるのは筋違いな部分もあり、何とも悩ましい面ではあります。
ちなみに、「思考力、判断力、表現力」といった求められている力については、むしろ中学生くらいの時期が最も伸ばしやすい力であると思います。
そもそも、親や先生に従順な時期にさせる思考・判断・表現は、大人の写し鏡になりがちで、反抗期を迎えて自我が生まれるこの時期にこそ、自立した人間としての思考や判断や表現ができるようになる面もありますからね。無差別な反発心・反抗心ではいけませんが、健全な批判精神を身につけながら、力を育てていくことが大切だと思います。
同様に、最近は幼少期の教育がことさら大きく取り上げられ、その反動として「現在の子供があるのは、幼少期の育て方がまずいせいだ」とばかり責めるような風潮が強いですが、教育や子育ては、幼少期だけで全てが決まるほど単純なもののはずがありませんよね。
早くから取り組んでも、その中身がまずければ、むしろ負の教育で逆効果になる場合もあるわけですし、その時は良く見えても、数年後にどんな影響をもたらすかまでは分かりません。
実際、幼児教育を受けて、その時点では「優秀」とされていた生徒が、中高生の時期になってすっかりメッキが剥がれ落ち、受け身や独善的といった、当時の負の遺産だけが残るような生徒もたくさん見てきました。
少なくとも、幼少期の教育だけで全てが決まることはあり得ないですから、後悔されておられる親御さんがいたら、これからいくらでも取り返しがきくことを、心からお伝えしたいですね。
いずれにしても、豊かな家庭ほど、良質な教育環境が与えられ、格差が固定していく現状を憂う気持ちは全く同じです。
そして、私教育の裾野が広がる中、塾という形に拘らない、いろいろな形で家庭教育のサポートをしていくことが可能だと思います。
国が求める能力を高めるだけでなく、国の発想に無い能力や、国が求めるその先の能力を高めることも含めて、知恵とお力をいただけましたら幸いです。
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