素行の悪い子を中3から受け入れる塾の経営方針に不安を感じます | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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ワッキー様からのご相談です。
お待たせいたしました。
 



いつも熟読しています。。。
反抗期まっただ中で、注意をすこしでもしたとたん、勉強もやらないといった状況です。
神奈川県模試で6月に受けたものは大体7割をとっていました。もう少し勉強のやり方を変え、集中すればもっと伸びるかといったところです。そんな悩みもあるのですが、

今の最大の悩みは塾です。個別指導の塾へ通っていますが、息子の通う学校の一番悪いグループのうちの1人が同じ塾に通っています。今のところ、一人なので、塾内で大きな問題はないようです。
それが、もう1人悪いグループの子が入塾するかもしれません。
通知簿はほとんど1のような生徒です。
1人ならまだおとなしいですが、おとなしいといっても自習室でスマホで遊んでいる。。。息子はそれを見て気になる。。。2人になるとどうなんだろう。そのうちこの塾なら受け入れてくれると、残りの悪たちも皆入るかもしれないと思うと、いくら個別といえども不安なのと、他の生徒にしわ寄せはいかないか心配です。。
面倒見がよく、親の話もよくきいてくれる良心的でよい塾だと思っていたら、そのような子を学校の素行の悪さを理由にお断りできない。あくまでも塾内で、ルールを守り勉強を頑張るという条件付きで入塾させるといっても、中3から受け入れるとはちょっと正直塾経営に不安を感じます。先生はどう思われますか?私の気にしすぎでしょうか?

 

 



おはようございます。

いつもメルマガを熟読しています。
息子(中三)の悩みができるたびに、ネットでどうしたらよいか事例を検索するも、
いつも最終的には先生のブログにたどりつきます。

メールの最下部の相談をお願いし、7月下旬予定でご回答いただけるということでしたが、状況がかわり、悪い子はどうやら入塾しなさそうなので、以下の相談にしてもよいですか?急な変更、むずかしければ、改めて申し込みます。
そして、現在お願いしている相談はキャンセルお願いします。。。。

(追加でいただいた続きの部分は、明日にご紹介します)

 

 

 

 



 お待ちいただく期間が長くなってきておりますから、状況に合わせてのご変更はもちろんお受けいたします。
 今回は話が通じない部分が出そうだったため、変更前と後の両方をご紹介させていただき、今日は変更前について簡単に御返事いたしますね。

 この問題については、実は指導する側としても、大変頭の痛い問題です。

 基本的には、すでに預っている生徒が最優先ですから、悪影響を及ぼす可能性の高い新規生はお断りするべきです。ただ、問題を抱えた生徒ほど誰かの助けが必要なわけで、自分が指導することで少しでも状況が改善されるのであれば、預かってあげたいと思う気持ちも当然あります。
 ほんの小さなこと・・・例えば、5教科合計が100点から150点になった時、親や教師からすれば「どちらも悪い」と感じるでしょうが、本人からすれば大きな違いがあるわけですし、それを手にする中で「自信」を得るなどして人生観が変われば、その後の人生にとって大きな影響を及ぼす場合もあります。

 しかし、実際はそうした思いだけではありません。
 まず、儲け主義の塾では「教えやすい生徒を入れ、教えにくい生徒は始めから断る」ことを徹底しています。これは「今いる生徒を大事にする」という大義名分の裏に、「面倒な生徒は、かかる手間が月謝と見合わないため、できるだけ関わりたくない」「マニュアルからはずれる指導を要求される生徒は入れないことで、授業の質を一定に保ちたい」「合格実績にカウントできない層の生徒は入れたくない」などの本音が隠れています。
 一方で、受け入れたがる塾にも、いろいろな思惑があります。単に経営に困っていて、とにかく誰でも良いから受け入れようとする塾もあります。いくら綺麗事を言おうと、潰れてしまっては元も子もありませんからね。また、そうした生徒を入れることで他の生徒に及ぶ悪影響の大きさを理解できておらず、ただただ安易に引き受けて、今いる生徒が損失を被るような塾もあります。
 良心的で面倒見の良い塾ではどうかと言いますと、もちろん今いる生徒を何としても大事にしたいと思っていますが、一方で、そういった問題のある生徒ほど大抵他の塾でも面倒をいてくれないことを知っていますから、危険も承知のうえで引き受けてあげたいと思う時もあります。

 ですから、今回塾内でどういった経緯があったかは不明ですが、仮に引き受けていたとしても、そのことだけを見て、塾の方針や経営についての良し悪しは判断しがたいと言えます。

 ちなみに、実際に引き受けるかどうかを判断する場合には「自分の指導力の範囲内かどうか」を考えなければなりません。
 いくら難しそうな生徒でも、そこの範囲内であれば、良心に従って引き受けることもあります。一方で、いくら同情の余地のある生徒でも、そこの範囲を超えていれば涙を飲んで断らなければなりません。上で、大人からすれば小さな違いでも、本人からすれば大きな違いとなる場合があると書きましたが、反対に、教えきれなければますます大きな傷を負わせる危険性も隣り合わせだからですね。
 ですから、塾の責任者には、生徒の学力だけで無く、自分の指導力についても、客観的に把握する力が必要となります。
 その上で、さらに「経営的にどうか」と言う判断も交えることができると、力があって繁盛する塾になりますが、ここは指導力とはまた別の力ですから、指導力がある割には儲かっていない塾や先生が多いのもご存知のとおりですね。

 このように、本気で理想を現実にしようと志高く頑張っている塾と、口先だけの大義名分を上手に使う功利主義、儲け主義の塾とが、外から見れば同じに見えるのが、この業界のとてもつらいところです。

 本当に良心的に頑張っている塾もたくさんありますから、世の親御さんは、ぜひそこのところを少しだけでも気にかけてあげてくださいね。そうすれば、儲け主義の塾が減り、今よりも良い塾が少しずつ増えていくと思います。


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