「大学生の4人に1人「平均」分からず」など、教育関連ニュース | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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今回は、なんと10年以上前の、2012-3-29にお届けした記事です。

たまたま読み返していたのですが、現在にも通じる内容ばかりだと思ったので、そのまま再掲してみます。

 

ちなみに、こちらは当時と一字一句変えていません。(普通ならひらがなで書くべき「ない」まで漢字の「無い」にしているあたりは当時の癖ですね)

それでも、あまり違和感がなく、自分の言うことが10年前とほとんど変わらずブレていないことには、少しだけ感心しました(笑)

ただ、昔のほうが若い(?)ぶんだけ少し毒があると言いますか、誤解を恐れずスパッと書いていて分かりやすいところも多いなという印象です。(そのぶん敵も作っていたわけですけれども)

 

一記事としてはだいぶ長めですが、よろしければ当時を感じてみてください。

 

 


 

しばらくぶりの、教育関連ニュースを紹介します。
ヤフーニュースで見ているため、情報元にやや偏りがある点については、お許し下さいませ。


まずは、話題の「英語必修化」に関してです。

「英語活動への指導に自信ない」 小学生必修化に戸惑う教師たち

学力や経済の「格差」が話題ですが、地域や学校間の「格差」も出始めましたね。

英語の必修化が良いか悪いかはともかく、今後ますます進むのは避けられそうもありません。それに伴って、英会話等の教育産業は大賑わいですが、はたして、小学生から英語まで塾通いをさせられることが、本当に子供にとって良いことなのかという疑問はふつふつと湧いてきます。

何にせよ、公教育が機能不全なままに上を目指せば目指すほど、格差が生じやすくなるのは間違いないでしょう。

同じようなことが、新指導要領にも言えます。

40%が「学力差開いた」新指導要領で小学校教員

社会環境や家庭教育力の変化に合わせて、「ゆとり教育」に向かった感もある中で、そういった周辺状況に関しては手を打たないままに、指導内容だけを難化させれば、こうなるのは火を見るよりも明らかでしたね。

問題は、この結果が、実際のご家庭や学校現場でどのような形になって現れるか、そして、将来の日本にどういった影響を及ぼすかでしょう。

ちなみに、現状はどうかと言えば・・・こんな記事もあります。

大学生の4人に1人「平均」分からず

「分数が分からない大学生」も話題になりましたが、そこから考えれば当然の結果と言えなくもありませんね。

ここで誤解したくないのは、できないのは4人に1人で、4人に3人はできていることです。4分の3は大丈夫というか、ごく当たり前の力はとりあえずあることが分かるため、このことだけを見て「大学生全体のレベルが下がっている」と語るのは、あまり賢明とは言えません。

ここでの問題は、「小学生でも分かるはずの簡単な内容を、4分の1もの生徒ができない」点です。つまり、立場上はみな大学生であり、一見すると問題が無さそうなのですが、実は単に「大学に入るのが簡単になってしまった」だけで、実質的な生徒の内面には、それだけ致命的な学力格差が生まれているのですね。

少し前では、中学生でも「かけ算九九が怪しい」生徒がいて困ったものですが、最近では、「足し算、引き算すら怪しい」生徒も見かけるなど、「全ての生徒への最低学力を保証する」という意味での義務教育制度は、ほぼ崩壊してしまっている感があります。

そのせいで塾産業は大賑わいなのですが、そのことがまた、生徒や保護者の学校離れや、学校・塾間での指導の不整合など、様々な問題を引き起こしている側面は否定できません。そもそも、多くの金儲け塾は、そうした致命的な学力の抜けを放置したまま、上の学年の内容をドーピング的に教えることばかりに力を注ぎ、強引に入試だけは受からせてしまいますから、問題を解決するどころか、むしろ傷口を広げているようなところさえあります。

(もちろん、それにも関わらず、そういった塾を選び、預けている時点で、生徒や保護者にも責任が無いとは言えませんから、必ずしも塾だけを責めることはできないのですけれども・・・)

なお、記事中にある「偶数と奇数の和は必ず奇数になる」ことの証明は中2の内容で、定期テストなどで当たり前のように出題されるものです。利用する機会が無ければ忘れるのは当然ですし、これを解く力=論理的思考力とは言い難いため、この点に関する記述は割り引いてお読みください。


「平均」に関連して、高校入試の平均点の話題です。

高校入試の数学「難しすぎる」 長野県、平均点が20点ダウンか?

平均点で20点は大きいですね。

ただ、平均が下がっただけで、順位が変動するわけではありませんからね。全員が悪ければ、合格基準点も下がるだけです。来年の生徒が「自分たちの時は、みんなが難しい問題に対策するから、自分もしなければならず、これから大変になる」とショックを受けるなら分かりますし、来年をどうすべきか議論するのも分かります。しかし、今年の生徒は誰も対策できていないのですから、今年の受験生がそこまで騒ぎ立てるほどのことでは無いと思います。

ショックで動揺してしまった生徒の話があり、確かにかわいそうだと思いますが、ただこれにしても、
入試が普段のテストよりも難しいのは当たり前ですし、 「ある年だけ、急に入試の難易度が変わることがある」のもごくあたり前のことです。

人が大きなショックを受けるのは「予想と違った時」ですから、もしかすると、「過去問を徹底的に解いて、ドーピング的に準備してきた」生徒が、「これくらいの問題が出るだろう」と思っていたものを大きく違い、ショックを受けたのかもしれませんね。もしそうだとすれば、私が常々繰り返しているとおり、そもそもの勉強法が「邪道」なのですから、相手に裏をかかれても仕方ありません。そして、もしそういった指導をしている塾に通っていたならば、塾は邪道の教え方をする以上、そういった危険性についても説明し、対策を教えた上で無いといけないのですね。

そうしておけば、仮に難しくなっても、全員が同じ条件なのですから、少なくとも「パニック状態」にまでなることはありません。それどころか、事前にきちんとした指導がなされていれば、むしろこの状況を利用して、他の生徒より有利に進めることさえできたはずです。

なお、話題になっていた問2(1)は、昔の岐阜県の特色化選抜で好んで聞かれたような出題で、実を言うと、そこまで目新しいものではありません。しかし、いわゆるパターン問題で無く思考力を問う問題ですから、上記のドーピング指導では対応できず、痛い目を見たことでしょう(笑)

得点調整をミスした感はありますが、出題傾向としてはむしろ良問化したと言えるかもしれませんね。ただ、思考力を目指したと言うよりも、新指導要領を意識したというほうが正しそうですから、来年からは新指導要領内の普通の問題が出るようになるだけという可能性もあります。岐阜県も大きな変化の年ですが、他県も動向がおもしろいですね。こういう時は、結局「本質的な学力」をつけた生徒が圧勝するため、迷っている生徒の皆さんは、ドーピング的な方法に頼らず、正統派の方法で頑張ってくださいね。