キャリアカウンセラーの設置 | 中学生の勉強法と親の心得 ~塾長直伝! 高校受験対策と反抗期の対応法~

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 3日の岐阜新聞で、進路指導の専門家として「キャリアカウンセラー」を県立高校に配備するよう岐阜県教育委員会が検討しているとの記事がありました。東海地域で初の試みのようです。

~以下、岐阜新聞より引用~
 キャリアカウンセラーは、生徒一人ひとりの行き方や進路に対する悩みや迷いを受け止め、生徒の可能性や適性について自覚を深めさせるなど、生徒の進路選択に助言や援助をする。国や民間に資格制度があり、キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーなどの呼び名がある。
 県教委は進路指導を充実させるため、2010年秋から県立高校に「就職指導員」を配置。企業の人事や採用担当者などを経験した退職者を中心に、本年度は14校に15人を採用した。就職指導員はほぼ毎日勤務し、求人開拓や生徒と企業とのマッチングをしている。取り組みは功を奏しており、新年度はさらに数校増やして拡充を検討している。
 しかし、相談する前段階として「自分は何に向いているか分からない」「自分に合った仕事が見つからない」などの将来の生き方に不安を抱えた生徒が多いことが顕在化。せっかく就職できても「何となく合わない」と辞めてしまうことも多い。そこで生徒の職業観や働いて自立する意欲を養うため、キャリアカウンセラーの試行に乗り出す。
 キャリアカウンセラーは、現在県内の全中学校188校や26の学校に配備されたスクールカウンセラーと同じく、学校に週一回程度の訪問を予定。生徒の悩みを聞くだけでなく保護者との就職相談や教員の研修も行う。
 県教委学校支援課は「まずはモデルケースとして一部の高校で導入後、効果を確かめながら今後の展開を図りたい」と話している。
~以上、岐阜新聞より引用~

 就職指導員はもともと「緊急雇用創出事業」によって設置されたものであり、その名の通り「雇用の創出」が主目的の事業です。「取り組みは功を奏している」というのも内部関係者の自薦ですから、いったいどれほどの効果があるのか、またコストに見合う効果があるかは疑問が残りますが・・・そういった裏事情はともかく、就職指導員の存在自体は時代の要請に即したものであり、今後もますます必要とされるものだと思います。

 昨年配置された14校を把握していませんが、現時点では多治見工業、岐阜農林、郡上北、加茂などで求人が行われていますね。採用は、企業の採用担当3年以上職業、就職相談3年以上金融機関、商工会勤務で地域の企業情報精通などの経験を持っていることが条件で、時給1400円が目安です。

(ちなみに、かかるコストは月給で約20万円、年間で1人240万円ですから、15人で3600万円です。ちゃんとそれに見合うだけ高校生の就職率が増しているのか、はたまたそのお金を高校生の直接雇用に当てたほうがマシなのかは気になるところです)


 その就職指導員と合わせて、生徒のサポートに当たるのがキャリアカウンセラーですね。

 ただ「相談する前段階で、将来の生き方に不安を抱えた生徒が多いことが顕在化」など書かれていますが、そんなことは現場ではもっと前から分かりきっていたことで、顕在化でも何でもありません(苦笑)

 その程度のことに今頃気づいている教委にはかなり大きな潜在的問題を感じますが、とりあえず今回気づいてくれたことは大きな進歩だと言えます。それに、全国的にもまだそれほど多くはない制度の導入は良いことですよね。もともと特色化選抜は先進的な取り組みだったのが大した成果もなく消えていった経緯もあるものの、チャレンジ精神は評価に値するため、同じ轍を踏まないよう今回こそは形にしてもらいたいと思います。

 問題はどういった方がキャリアカウンセラーになるのかですが、週一程度の訪問で、生徒の悩みを聞くだけでなく保護者との就職相談や教員の研修も行うなどというのは少々望み過ぎの気がします。素直に聞く教員ばかりでは無いでしょうし・・・(笑)
 私の感覚で言えば、そこまでできる人でなくとも、ちゃんと生徒の気持ちが分かるそこそこ適切な方がなってくれさえすれば、それなりの効果は期待できると思います。
 反対に、下手に専門性を求めると理屈っぽい人が採用されやすくなり、肝心の「生徒の心に寄り添った対応」が抜け落ちそうで心配ですね。

(文中にもありますが、国家検定のキャリア・コンサルティング試験などは、よくある試験と同様に法制度や理論など知識重視の内容ですから、これができたからと言って多感な高校生の進路相談が適切にできるような代物ではありません)


 理想を言うと、生徒の話を聞くだけならスクールカウンセラーで良いという話になるので、将来的にはもう少し踏み込んで進路教育などを行うようになっていくのではないかと思います。進路を考える講座を学校内で実施したり、就職に必要な基本知識や基礎技能を習得するようなセミナーを補習の形で定期開催するなどですね。
 そこまでいくにはまだまだ時間がかかると思いますが、そうした方向性への第一歩が踏み出されたという意味では評価したい施策です。

 高校卒業後に就職を考えている方などは、説明会などでこうした就職指導員やキャリアカウンセラーがいるかどうか、設置予定があるかどうかなどを聞いておくのも良いのではないでしょうか。