これまでの実績から「重粒子、54GyE/12回」であれば私の腫瘍は制御できている。
患部に拠るが癌細胞の数は恐らく1×10^9個(10億個)から1×10^11個(1000億個)ぐらい。

「大雑把で古典的」な放射線による細胞生存率の目安として、
・2.0Gyの照射で55%
・3.0Gyの照射で35%
・4.0Gyの照射で20%
・4.5Gyの照射で15%
と仮定すると重粒子12回後の細胞数は(0.15^12をかけ)0.1個から10個程度に減ったハズ、。
まずまずだったと思っている。が、今回はそこまで追い込めない。通常は3Gy×10回どまり。

それだと(0.35^10をかけ)3万個から300万個程度癌細胞は生き残る計算。
2Gy×25回でも(0.55^25をかけ)300個から3万個程度癌細胞は生き残る。
これぐらいなら骨は溶けず再石灰化に転じるかも知れない、が癌も再燃するだろう。

これ以上の判断は素人にはムリなので小川教授に「良いプロトコルはないでしょうか?」
とお聞きしたところ「余り無茶は出来ませんが、全身状態も良く患者希望もあるので、、」
・2Gy×27回か、
・4Gy×12回(ただし回復時間をかせぐ為週3回)があり得ます。との事。

「1日おき」という考え方は微妙だが4Gy×12回なら単純計算で4~400個。
上腕の患部の大きさと感受性の良さを考え合わせると、ギリギリ制御可能かも知れない。
抗癌剤にもよるが、少なくとも1~2年は右腕は残せそうである。4Gy×12回を依頼。

しかしながら、これら計算は「あくまでも計算」の話であり、低酸素状態になってくると
(特にリニアックでのフォトンにおいて)殺傷効果が落ちてくる。(と私は信ずる)
それをカバーする為に下図の様に酸素を「供給」しながら治療を行った。

また増感剤は骨よりも腫瘍部により多く吸収される、、。、、かも知れない。つまり、
ビームによる「切り分け」は諦め、感受性による「メリハリ」も「期待」しての選択。
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乳がんや完全に溶骨した骨転移なら「エコー」でも可能で麻酔なども軽くて済むとの事。
が、私の様な患部の場合、筋肉注射で軽く麻酔をかけ、かつ局所麻酔、CTガイド下で導入。

神経障害、大量出血、感染症、骨折、等による治療中断の可能性もある。
最悪「癌は治らない、骨も繋がらない、治療も出来ない」状態になる事もあり得る。

上腕部への処置は高知大としても第一号。万全の注意はするが保証は出来ない。
治療できるか?すべきか?針は刺さっても薬液が腫瘍内に保持されるか?不確定要素も多い。
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最初の数回は安全の為と腫瘍の変成を狙い、増感剤は入れない。
このあたりのさじ加減は高知大側に知見と実績があり、私としては「お任せ」
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薬剤の注入自体には痛みは殆ど無く、処置自体には患者負担は少ない。が、私の場合の
「特殊事情」により、照射数時間後に疼き始める。(翌朝には完全に痛みは無くなる)
「効果の目安」にしているが、折角なので重粒子の際の自覚症状と比較しておく。

増感剤が入った日の照射は恐らく、相当な効果があったと「感じる」。
治療終盤になってくると増感剤を入れた日も痛みが出なくなった。これも良い兆候と想像する。
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