2017年8月16日より、米国、メキシコ、カナダの三ヶ国の自由貿易協定（NAFTA)の再交渉が行われていましたが、8月末、米・メキシコとの合意後、協定書公開期限の米国時間9月30日夜、米国とカナダとの間で合意に達した。米時間10月1日11時（日本時間2日0時）にホワイトハウスでトランプ大統領とライトハイザーUSYT代表が記者会見を行い、同時にUSTRホームページに、協定条文と概要が発表された。
NAFTAは、USMCAと改称される。
USMCAの条文、概要、日本側の解説の所在を紹介する。
トランプ政権の交渉方針の特徴は、自動車の輸入制限やカナダとの酪農製品の合意をみるとクォータ（割当制）を採用していること。さらに、知的財産問題では、バイオ製薬データ保護期間10年、著作権死後70年などの保護強化に加え、知財侵害に対する取締・罰則規定を設けたACTA条項などが追加されている。為替条項も加えられている。
10月1日 USTRホームページ
「USMCA条文」
https://ustr.gov/trade-agreements/free-trade-agreements/united-states-mexico-canada-agreement/united-states-mexico
知的財産、デジタル貿易、デミニミス条項、金融サービス、通貨、労働、環境
USMCAの特徴・知財関係
・バイオ製薬データ保護期間 10年
（TPP 米12年、ペルー・ベトナム10年、日本8年、ブルネイ4年、他5年）
・著作権保護
・特許保護
・医薬品と農業革新の保護
・著作権保護 死後70年
・デジタル・コンテンツの技術的保護手段の回避の規制強化
・企業向け著作権セーフハーバー
・地理的表示（GI)
・商標保護
ACTA？
・法執行機関の偽造品や海賊版の取締り
・知財権利侵害に対するIP執行手続き
・海賊版の元になっている映画の盗撮に対する刑事手続きと罰則
・衛星とケーブル信号の窃盗に対する民事・刑事罰
・国営企業に対しても、企業秘密窃盗に対する広範囲の保護
自動車、物品市場アクセス、繊維、附属書
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/fact-sheets/2018/october/united-states%E2%80%93mexico%E2%80%93canada-trade-fa-0
米国から輸出、カナダの酪農製品割当量
（注）下記表現の意味
Fluid Milk: 50,000 metric tons (MT) by year six of the agreement, growing one percent for an additional 13 years. Eighty-five percent of the quota will be reserved for further processing.
→液状牛乳：8,333トン（1/6）から始め6年目で5万トン。7年目以降13年間、複利計算年１％増。割当の85％は加工用。
割当の詳細は下記条文に
2.National Treatment and Market Access for Goods
・CA TRQ Appendix
カナダの供給管理制度について
供給管理制度における牛乳のクラス6、7の価格制度廃止については下記条文に
3.Agriculture
「JETRO解説」 10月2日
NAFTA新協定（USMCA）に合意、3カ国間の枠組みを維持
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/5636a9a04c638d70.html
NAFTA再交渉の合意をメキシコはおおむね歓迎
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/380d2ba9a26dec5c.html
NAFTA再交渉決着、カナダは乳製品市場のアクセスで譲歩
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/eedba18642b80542.html
自動車はじめ産業界は3カ国協定維持をひとまず歓迎
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/10/09c0cb26b3c53b69.html