日米首脳会談の記者会見で、安倍首相は、茂木経済財政・再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が新しい貿易交渉を開始し、その結果は麻生副総理とペンス副大統領による対話の枠組みに報告されると発表した。二国間FTAになるのか米国のTPP復帰につながるのか不明。
西村康稔官房副長官は、記者団に対し「FTAは念頭にない」と述べた。(下記ロイター記事)
安倍政権は、二国間協定(条約)を結ばずに、TPP協定をテンプレートとして、米側の要求を聞き、譲許表の一部の変更とサイドレターを加えて、米国をTPPに復帰させることを考えていると想像する。トランプ政権は、米韓FTA改定交渉を終え、NAFTA再交渉がまもなく終結、中国には通商拡大法232条と通商法201条により追加関税を予告済み、11月の中間選挙に向けて、対日要求をリークするだろう。
(米国の貿易赤字が大きいのは、中国、メキシコ、日本、ドイツであり、個別に削減策を講じれば解決すると考えているようだ。)
出典 ニッセイアセットマネジメント株式会社
https://www.nam.co.jp/news/mpdf/180219_tj02.pdf
TPP協定のバイオ製薬データ保護期間5年に反対し12年を要求したハッチ上院財政委員長と酪農製品流通の枠組み(カナダ供給管理制度)とタバコ規制ISDS対象外に反対したライアン下院議長(前歳入委員会委員長)の米貿易権限を持つ有力議員がリタイヤする2019年1月以降の議会は、TPP協定を受け入れ易くなる可能性がある。茂木・ライトハイザー交渉は、2019年に山場を迎え、日本としては、合意済みだったTPP原協定に限りなく近いラインを目指すことになるだろう。
「日米共同記者会見」4月18日
(安倍首相読み上げの一部)
日米双方の利益となるように、こうした日米間の貿易や投資を更に拡大させていく。そしてその基盤の上に、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため、今回トランプ大統領と、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することで合意いたしました。
本協議は日本側においては、茂木大臣が担当してまいります。今後茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で実りある議論がなされることを期待しております。
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0418usa.html
IZA 4月19日
日米首脳会談 共同記者会見(3) 5頁
(記者から二国間FTAに行くのかTPPに行くのかとの質問に、安倍首相)
今般、トランプ大統領との間で、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することを合意しました。本協議は茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で行われ、麻生(太郎)副総理とペンス(副)大統領のもとで行われている日米経済対話に報告させることで一致しました。本協議は日米双方の利益となるように、日米間の貿易・投資をさらに拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域における経済発展を実現させるのものです。米側が2国間ルールに関心を有していることは承知をしています。いずれにせよ、我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えており、その立場を踏まえた上で議論に臨んでまいりたいと考えています。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/180419/plt18041911020011-n5.html
ロイター 4月19日
新日米通商交渉、国内に2国間へ強い懸念 米TPP復帰に未練
[東京 19日 ロイター] - 日米首脳会談で新たな通商交渉の枠組みを設定することが決まったが、トランプ米大統領は2国間交渉を強く志向し、日本国内には自由貿易協定(FTA)に発展するのではないかとの警戒感が高まっている。特に米国の標的となりやすい農産物で強い圧力を受ければ、国内農業生産者の反発を招きかねない。日本政府は環太平洋連携協定(TPP)への米復帰という希望を捨てていないが、米国に押し込まれるリスクも抱えている。
(略)
また、安倍首相に同行した西村康稔官房副長官は、首脳による会見後、記者団に対し「FTAは念頭にない」と述べ、日米がFTA交渉を開始するのではないかとの思惑を強く否定した。
(略)
https://jp.reuters.com/article/japan-us-trade-trump-idJPKBN1HQ1A7
