8月26日のBSフジ、プライムニュースで「米大統領選を読み解く トランプ放言人気の裏」に出演された、自民党・牧原副幹事長、産経・小森特派員、慶応大・中山教授の3名のコメンテーターがそれぞれの解説と予測を行っていた。後編の最後にポスト・オバマ大統領は誰かと聞かれ、中山教授は「政治不信を乗り越えられるメッセージを組み立てられる人。分からない。」、古森特派員は「ヒラリー以外」、牧原副幹事長は「ヒラリー」と答えた。
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d150826_0


 次期大統領は誰なのか米メディアがどのように報じているか紹介する。米政界が夏休みのため、各党の大統領候補の予備選に向けての活動に関する報道が多い。
 共和党は、トランプ候補(69歳)の先行と支持率拡大、民主党はヒラリー・クリントン候補(67歳)のスキャンダルによる失速、独立系のサンダーズ上院議員(9月74歳)の支持率拡大、そしてバイデン副大統領(72歳)の担ぎ出し工作と、未だ態度を表明していないエリザベス・ウォーレン上院議員(66歳)の話題が多く報道されている。


「トランプ候補」
トランプ候補は、低学歴の白人ブルーカラー層の支持を集めている。


2015年8月19日 Newsweek
「台風の目」トランプの意外な実力
言いたい放題 過激な発言が白人低所得層の支持を集めるトランプ
By Jonathan Alcom - REUTERS

あの「トランプ節」が全開──6月16日、不動産王のドナルド・トランプ(69)が、満場の支持者とサクラたちの前で、次期米大統領選の共和党候補の指名争いに名乗りを上げた。
 出馬表明を行ったのは、ニューヨークのマンハッタンにそびえ立つトランプ・タワー。モデル出身の妻メラニアと共に、エスカレーターに乗って舞台に降りてきたトランプは、おなじみの俺様発言を繰り出した。「私は、神が生み出した最も偉大な『雇用創出大統領』になる」
 自らが論点に据える貿易問題について、挑発モードで語ることも忘れなかった。「貿易協定で、アメリカが最後に中国に勝ったのはいつか? 私は常に中国をたたきのめしてきた」
 異常なまでの自信と、無理があり過ぎる髪形。そんなトランプを、演出上手の目立ちたがり屋と切り捨てるのは簡単だ。しかし大言壮語で知られるこの大富豪が、大統領選の行方を左右することになるかもしれない。
 何といっても、トランプにはカネがある。本人が公表したところによれば、純資産額は87億ドル。実際の金額はそれ以下だとしても、選挙戦をかき乱すための資金は十分ある。巨額を投じてネガティブ・キャンペーンでほかの候補の足を引っ張る一方で、自身の主張を売り込める。
 今やトランプは、17人が争う共和党の候補指名レースで支持率トップ。今月6日に行われる同党の第1回候補者討論会に登場するのは間違いない。


・共和党に起きた大変化

 FOXニュースが主催する第1回討論会には、直近の世論調査5回の平均支持率の上位10人だけが参加できる。リック・ペリー前テキサス州知事らはトランプ人気で存在感がかすみ、討論会に出席できそうにない。
 論戦相手となる9人の候補者も、トランプお得意の「負け犬」呼ばわりにはひるむだろう。彼らに逆襲されても、トランプは痛くもかゆくもない。自己中心的だ、間違っている、という批判は聞き慣れているからだ。
 だがトランプが台風の目になる最大の理由は、共和党に訪れた大きな変化と関係がある。それは、共和党を支持する白人労働者層の急増だ。
 アメリカでは製造業の雇用者数が減少し、白人のブルーカラー労働者に打撃を与えている。失業の危機に直面する彼らは、トランプが掲げる「反自由貿易」論に魅力を感じやすい。
 白人ブルーカラー層の民主党離れは今に始まった話ではないが、近年その勢いは増している。
 彼らが、従来の支持政党である民主党を見限り始めたのは60年代後半のこと。80年代には、多くが共和党のロナルド・レーガン大統領支持に転じ、民主党との溝が広がった。90年代に民主党離れに歯止めがかかったのは、ビル・クリントン大統領が福祉改革や犯罪対策強化など、保守派寄りの政策を打ち出したおかげだ。
 00年以降は、銃規制や石炭火力発電所への規制が引き金となり、民主党を見捨てる白人労働者層が増えている。非大卒の白人有権者のうち、12年の大統領選でバラク・オバマを支持した人の割合はわずか33%、昨年の中間選挙で共和党候補者を支持した人は64%に上った。
「彼らは文化的にも経済的にも疎外されている存在だ」と、政治アナリストのロナルド


・ブラウンスティーンは指摘する。

 共和党支持に転じたブルーカラー層は、従来の共和党支持者よりも自由貿易に対して懐疑的だ。この事実が共和党を変化させている。
 ピュー・リサーチセンターが5月に実施した調査によると、自由貿易協定は自分の雇用を奪うものだと考えている人は、民主党支持者よりも共和党支持者に多かった。これはトランプには好都合だ。共和党の主要候補は、おおむね自由貿易を支持しているからだ。
 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に関連して、米議会は6月末、大統領貿易促進権限法案を可決した。これで米政府がTPP参加国と交渉して妥結した内容は、議会で一括して批准されることになる。つまり同法案に賛成したということは、事実上の自由貿易協定の容認だ。
 共和党の大統領候補指名に名乗りを上げているマルコ・ルビオ上院議員は、同法案に賛成票を投じた。現在、各種調査で支持率2位の座を争うジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事と、ウィスコンシン州知事スコット・ウォーカーも法案を支持した。こうなるとますますトランプの反対が目立ってくる。
 低学歴の白人ブルーカラー層は、当然ながらメディケア(高齢者医療保険制度)や公的年金の縮小に反対だ。この点でもトランプは、共和党支持者の多くと同じように、社会保障の縮小に反対する姿勢を示している。
 ただ、トランプの主張には共和党支持者に受けが悪そうなものもある。例えば増税だ。


・かなり善戦する可能性も

 トランプは、アメリカと公平に競争していない(と彼が考える)国からの輸入品の関税率を引き上げるべきだと繰り返し主張してきた。なかでもターゲットになっているのがメキシコだ。
 トランプは6月の出馬宣言で、フォードのメキシコ工場で生産された車には35%の関税をかけると公約。そうすればフォードは、メキシコ工場で生産していた車をアメリカの工場で生産するようになり、アメリカは雇用を取り戻せるというのだ。
 もちろん関税の引き上げは、所得税のそれとは違う(所得税の増税については、トランプを含む共和党の全候補が反対している)。だが、共和党は伝統的に増税に反対してきた。それだけに、たとえ関税でも「増税」という言葉へのアレルギーが、トランプ支持を鈍らせる可能性がある。
トランプのライフスタイルが敬遠される恐れもある。低学歴の白人有権者は、キリスト教福音派であることが多い。田舎町の超保守的な教会に通う彼らが、ニューヨークにギラギラの不動産をいくつも持ち、ド派手な人生を送るトランプに共感することは難しいだろう。
 それでもトランプにはいくらかチャンスがある。アメリカでは92年に、やはり大富豪のロス・ペローが大統領選に出馬。保護貿易を唱え、大成功したビジネスマンとしてアメリカ経済を立て直すと主張したあたりは(選挙費用を自腹で負担したことも)、トランプにそっくりだ。
 ペローは民主党でも共和党でもなく、いわゆる第3党の候補として出馬したが、11月の一般投票で約19%もの票を得た。
 だとすれば、共和党に一定の支持基盤を築きつつあるトランプが、予備選でかなりの票を集めたとしてもおかしくない。事実、トランプは現在、ブッシュやウォーカーを抑えて断トツの支持率ナンバーワンにある。
 たとえ大統領になれなくても、彼には痛くもかゆくもないだろう。自由貿易を攻撃して、共和党予備選に一波乱起こしたのだ、目立ちたがり屋のトランプは大満足に違いない。
[2015年8月11日号掲載]
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2015/08/post-3845_1.php


ロイター 8月24日
トランプ氏リード拡大、米共和党指名争い
支持率32%に(2位はブッシュ候補16%)
http://jp.reuters.com/article/2015/08/24/donald-trump-idJPKCN0QT0BD20150824


ロイター 8月26日
米大統領選、トランプ氏が支持率リード広げる=世論調査
(トランプ30%、ブッシュ8%、フィオリーナ3.5%)
 [ワシントン 25日 ロイター] - ロイターとイプソスがこの日公表したオンライン世論調査によると、2016年の米大統領選に向けた共和党指名争いで、ジェブ・ブッシュ氏の支持率が低下する一方、最有力候補となっているドナルド・トランプ氏は2番手のライバルに20ポイントの差をつけてリードしている。
 調査は、共和党員511人を対象に実施。過去5日間に共和党員らのブッシュ氏支持率は16%から8%に低下した。
 ブッシュ氏は移民政策をめぐってトランプ氏と激しく対立。また、ブッシュ氏は最近のインタビューで、不法移民の親から生まれた子供を表す用語で一部に差別的との指摘がある「アンカー・ベビー」という言葉を使用して人権団体などから批判を浴び、反論するなどしている。
 トランプ氏の支持率は30%前後で、過去1週間ほぼ変わっていない。
 順位としては、ブッシュ氏の支持率は元神経外科医のベン・カーソン氏と同一の3位。ハッカビー前アーカンソー州知事は支持率10%で2位となった。
 トランプ氏は、本音を語って権力に立ち向かう一匹狼のイメージで人気を保っている。
 同氏が注目される理由として、共和党員の77%前後が「政治的な正しさ」に関心がないことや、メディアと対決していることを挙げた。約68%が、資産家であるため寄付に頼っていないことを挙げた。
 また、トランプ氏の参戦で既成組織が挑戦を受け、共和党に新しい発想をもたらすと考えている共和党員が多数を占めている。
http://jp.reuters.com/article/2015/08/26/usa-election-republicans-idJPKCN0QV0IN20150826
支持率調査結果
http://polling.reuters.com/#!response/TR130/type/smallest/filters/PARTY_ID_:2/dates/20150731-20150825/collapsed/false


「クリントン候補」


WSJ 8月11日 
トランプ氏はヒラリー氏の秘密兵器、民主党候補の勝利は確実
By RANDALL W. FORSYTH

・クリントン元大統領とトランプ氏の電話会話

 権謀術数の代名詞、マキャベリは永遠だ。あるいはビッグ・マッキャベリ(Big Mac-iaveli)と言うべきなのかもしれない。ビル・クリントン元大統領のことだ。在任当時、ジョギング帰りにマクドナルドに立ち寄るのが好きだったので、こう呼ばれるようになった。2004年の心臓手術以来、不健康な食事を避けてきたが、このあだ名は今も健在だ。
 今年5月、クリントン元大統領がドナルド・トランプ氏と電話で話していたことが先週になって発覚した。それは豪快な不動産王が共和党の大統領候補指名争いへの参加を決断する直前であり、ヒラリー・クリントン氏が民主党の指名争い参加を公式に表明して間もなくのことだったという。
 クリントン元大統領とトランプ氏が、ゴルフやクリントン基金への寄付といった話題で互いに電話するのは珍しいことではない。しかし、ワシントン・ポスト紙が引用した情報筋によると、トランプ氏は「その会話の中で同氏の政治的野望やホワイトハウスを目指す可能性について率直に話していた」という。クリントン元大統領はトランプ氏に立候補を促すことはなかったが、その計画に関心を示したとその記事は付け加えている。
 共和党のライバル候補たちの一部、特にヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナ元最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏が民主党候補者側と連絡を取り合っていることに激怒、とまではいかないまでも眉をひそめた。8月7日の夕方、ゴールデンタイム前に放送された世論調査の支持率下位7人による討論会でフィオリーナ氏は他の6人に問いかけた。「候補者指名争いに参加する前に、私はクリントン氏から電話をもらわなかった。他の皆さんはもらいましたか」
 クリントン元大統領の策略は、筆者が気付かないのに筆者の賢明なる妻にとっては見え見えだった。元大統領は妻ヒラリーの勝利を確実にするために、トランプ氏が立候補するように仕向けたというのだ。トランプ氏はヒラリー・クリントン氏にとって最も簡単に倒せる共和党候補になるか、1992年のロス・ペロー氏のように、無所属候補として選挙運動を展開して民主党の勝利を確定させるかのどちらかというわけだ。
(以下省略)
http://jp.wsj.com/articles/SB12655068274443284796304581161483993828692


WSJ 8月18日
クリントン氏の電子メール、300本強に秘密情報か
By BYRON TAU

 【ワシントン】米情報当局は、クリントン前国務長官の私的なサーバーにあった電子メールのうち300本強について、秘密情報を含んでいるかもしれないとして一層の精査対象とした。私的な電子メール問題は、次期大統領選の最有力民主党候補であるクリントン氏の選挙運動に影を落としており、その新たな展開だ。

 米国務省は17日、裁判所文書の中で、5つの情報機関からのレビューの結果、これまで内容を精査したクリントン氏の電子メールのうち約5%に相当する305本を一層のレビュー対象とし、それらに秘密扱いされた資料が含まれているかどうかさらに精査することになったと述べた。同省はクリントン氏から引き渡された電子メール約3万本を精査中だ。
(以下省略)
http://jp.wsj.com/articles/SB12074596417245674887704581177323561354278

NHK 8月20日
クリントン氏にかげり バイデン氏に期待の声
 アメリカの大統領選挙で、民主党のクリントン前国務長官が私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で勢いにかげりが見られるなか、バイデン副大統領の立候補に期待する声が出ていて、その判断に関心が集まっています。

 来年11月に行われるアメリカ大統領選挙で民主党の最有力候補とみられているヒラリー・クリントン氏は、国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で批判が強まっています。
こうしたなか、アメリカのCNNテレビが行った世論調査の結果が19日、発表され、民主党支持者の間でクリントン氏の支持率が先月の56%から47%に下落していることが分かり、勢いにかげりが見られました。
 一方で、民主党の候補者選びに、オバマ大統領の下で副大統領を務めるジョー・バイデン氏が立候補すべきだと思う人は53%に上り、期待が高まっていることがうかがえます。バイデン氏は現在、休暇先で家族や友人らと立候補を巡って協議しているということで、来月にも判断するとみられています。
 ただ、民主党内の支持率でみると、クリントン氏がトップで、次いで上院議員のバーニー・サンダース候補が29%となっているのに対し、バイデン氏は14%で3位にとどまっていて、バイデン氏の判断に関心が集まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150820/k10010195941000.html


日経 8月27日
[FT]クリントン氏、メール問題拡大(社説)
 2016年の大統領選は、ヒラリー・クリントン氏圧勝の様相でスタートした。民主党選には説得力のあるライバルは出馬しておらず、共和党のドナルド・トランプ氏は、立候補表明以来党を混乱に陥れている。だがクリントン氏は、同氏自身が最悪の敵だということに対して、気の利いた言いわけを示そうと躍起になっている。

同氏は、国務長官時代に個人のサーバーを使用しており、その調査に対処する同氏の態度は被害拡大のよい事例となっている。同氏は、自身の過ちを認めて態度を改める代わりに、むしろ攻撃をかわし、都合良く話を作り上げ、大したことではないかのごとく振る舞い、つまり、問題に向き合う以外のことをやっている。結果的に調査は拡大し、いまや米連邦捜査局(FBI)も巻き込む事態となっている。さらに心配なことに、クリントン氏への信頼度評価はネガティブになっている。米国有権者の過半数の信頼を勝ち取れないままにホワイトハウスへの道を達成できた候補者はいない。バイデン副大統領は、クリントン氏の行き詰まりが続くならば、既に出馬の準備はできていることを暗示している。

 クリントン氏が状況を好転させることは簡単ではない。かいつまんで言えば、同氏は国務長官としての全ての電子メールを、ニューヨークにある自宅に設置した個人の暗号化されていないサーバーを通して送っていた。また同氏は、全ての電子メールの通信を自身の個人アドレスで行っていた。オバマ政権のほかの閣僚や連邦政府の職員も、だれもそうしたことはしていない。同氏が当時それをしたことは技術的には許されることだったが、政府高官の公務の通信全ては、連邦政府の財産だ。それにもかかわらずクリントン氏は、自身の行為を個人的なものとして扱った。さらに言えば、機密資料を暗号化されていないシステムを使って送ることは法に違反する。

 クリントン氏は2014年、政府の弁護士に対して嫌々ながら3万を超える公務の通信に使った電子メールを差し出した。しかし同氏は、個人的なものだと言って削除したそのほかの3万の電子メールに対して責任を負うことになった。現在FBIは、押収した同氏のサーバーからそれら削除された電子メールを復元しようとしている。

 さらに悪いことに、同氏が差し出した多くの電子メールには、実際に機密資料が含まれていたことが発覚した。そのうちのごく一部しか公開されていないが、もっとありそうだ。クリントン家の特性ともいえるが、まるで同氏にとっての法律が一つあり、他の人々にはほかの法律があるかのごとく振る舞ったというのが、同氏の行為に対してつけられる最も体のいい言い方だ。そうした一族の特性自体がまさに同氏に対する批判のネタを提供しているが、今回の事態はさらに深刻となる可能性がある。

□選挙戦、頓挫する可能性も

 同氏は、政敵から自身を守る道を探して、米国の安全保障を危険にさらした可能性がある。中国やロシアなどの外国に漏れることがほぼ確実な方法で、米国政府の支配下から自らの通信を切り離すためにあらゆる手を使った。エドワード・スノーデン氏の事件が示したように、暗号化されていないサーバーに侵入することは比較的簡単なことだ。今回も恐らくこうした事例であることが判明するだろう。もし高機密資料が含まれた同氏の電子メールが、米国情報機関の「出所と方法」を危険にさらしたことが判明すれば、同氏は気づかないうちに非常に深刻な問題の渦中に置かれる可能性がある。米司法省は起訴するか否かの決断をしなければならなくなるだろう。同氏の選挙戦が頓挫する可能性さえある。

 では、同氏が今の時点でそれに対してできることは何か。その答えは非常に限られている。複数の調査が進行中で、今後数カ月、同氏の目前で厄介な暴露が続く可能性があるこの段階にあっても、同氏は自らの過ちを認めなければならない。同氏は先週、SNSアプリの米スナップチャットにアカウントを開設した際、メッセージが消えてしまったという冗談を言って、ことの重大性を矮小(わいしょう)化した。これは許されないだろう。クリントン氏が問題を解決し、態度を改めない限り米国の有権者は、最高司令官としての同氏の資質に疑いを持つのは当然だ。
(2015年8月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91022240X20C15A8000000/?n_cid=TPRN0005


「ウォーレン上院議員」「バイデン副大統領」
8月22日バイデン副大統領ウォーレン上院議員と会談


産経 8月23日 バイデン氏、出馬へ本腰? 左派有力議員と接触

 米民主党のバイデン副大統領(72)が22日、首都ワシントンの公邸で同党左派の女性有力者ウォーレン上院議員(66)とひそかに会談した。米メディアが報じた。
 ウォーレン氏は、次期大統領選の民主党候補指名争いで最有力と目されるクリントン前国務長官(67)への対抗馬として、党内左派の期待を集めた人物。バイデン氏が指名争いへの出馬を本気で検討しているとの観測に拍車が掛かっている。
 ハーバード法科大学院教授として破産法を教えていたウォーレン氏は、ウォール街に象徴される既得権益を厳しく批判。リベラル層の間でカリスマ的な人気があるが、本人は一貫して出馬を否定している。
 米メディアによると、22日の会談はバイデン氏が要請した。自身が出馬した場合、応援してもらえるかどうかを探った可能性がある。(共同)
http://www.sankei.com/world/news/150823/wor1508230021-n1.html


米メディアには興味をそそる記事が多い。

The Blaze紙 8月13日
Hillary Clinton is Done. Get Ready for Elizabeth Warren.
(ヒラリーは済んだ。エリザベスのために準備しよう)
ウォーレン上院議員のファンと思われるWayne Root氏のコラム
(概要)
 クリントン財団への外国人の寄付、ベンガジ事件問題、それらの証拠が残っているメールサーバーの問題の追求などクリントン候補のスキャンダルを非難。サンダーズ上院議員は社会主義者で米国の大統領にはなれない。Crazy Uncle と言われるバイデン副大統領も大統領にはなれない。共和党と戦えるのは、エリザベス・ウォーレン上院議員。ヒラリーがスキャンダルで失速すれば、ウォーレン上院議員は、「私を党が必要とし、国が、消費者や労働者が求めるならば、大統領選に臨むだろう」と宣言すだろうと、Root氏が期待を込めて書いている。
http://www.theblaze.com/contributions/hillary-clinton-is-done-get-ready-for-elizabeth-warren/


The Hill紙 8月19日
Elizabeth Warren is still the key for Democrats
エリザベス・ウォーレンは、なお民主党のカギだ
(以下は要約)
 二人の一匹狼、サンダーズ上院議員と自己中のトランプ候補が2016年の選挙戦をリードしている。このことは、再び出発する道でもある。ビルとヒラリー・クリントンに、ブッシュ一家に、さよならを言って欲しい。東部支配層が、今日彼らの時代を超えて彼らを推薦しているが、60年代前半にビートルズがやってきた際、ペリー・コモとアンディ・ウィリアムズをレコード産業に推薦することを思い出す。

 サンダーズとトランプは伝統を打破する新しい始まりの象徴だ。ビル・マハーはまさしくトランプが反ロムニーであると語った。クリントン家とブッシュ家が単に懐古的であるのに対し、ミット・ロムニー元共和党指名者は、より真性の保守の伝統の基準と見なされるかも知れない。現在と未来と無関係な過去の代理人には、まかせられない。
しかし、トランプと共に保守は、今日、ロムニーの調和の真性保守基準を乗り越えると見なされるかも知れない。同じ事が、サンダースと民主党に言える。


 (1967年6月1日に発売された)ビートルズのSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandのレコードジャケットは、マダムタッソーの蝋人形館で撮影され、古いビートルズを葬り、新しいビートルズをカラフルな画像に仕上がっている。
(筆者挿入)

http://3.bp.blogspot.com/-etO1p25p1DU/T8PgMupMYpI/AAAAAAAADic/XCI9XigFmfc/s1600/beatles+5.jpg%3Cbr%3E


 民主党はビルとヒラリーを共和党は3人のブッシュを、マダムタッソーの蝋人形館に飾るかも知れない。しかし、リベラルと保守にとって大きな目覚めが前にあることは確か。それがアメリカのために戻って来て、サンダーズとトランプは、その目覚めの化身である。

 しかし、サンダーズとトランプは支持を集め続け決勝ラインにたどり着くことは出来ない。サンダーズは感謝祭までに10万人の群衆を引きつけなければならない。それまでの彼らの役割は新しい政治的文化的集団を示唆するとみられるかも知れない。

 保守主義は創造的変革に入っている。まだ創造されていない、それを誰が創るか見ることは出来ない。しかし、大統領になりたい17人の代理人から誰が昇ってくるのか見るのは困難ではない。私見としては、トランプの次に、ヒューレット・パッカードの元CEOのカーリー・フィオリーナ以外に戦える者はいない。彼女は、すい星が通過した後のようなトランプの目覚めに続く、反政治家である。


 同様に、古い水汲み人足が過去の忘れられた蝋人形館に送られるように、民主党は大いなる目覚めに直面する。サンダーズは先導する。しかし、この構図から見えないものがある。民主党のフィオリーナはどこにいるのだろうか。それは、マサチューセッツのエリザベス・ウォーレン上院議員だ。彼女は檜舞台に現れた時そして今も新鮮で輝く理想家であり、活気いっぱいで、リベラルを前進させる。


 トランプとフィオリーナは、道教における陰陽の一種のように、世界を再生できる多くのものをもたらす。
 サンダーズだけでは不十分。彼はウォーレンを必要とする。

 現在、非常に人気があり有能な大統領の8年後を期待し、共和党を支持する歴史がある。民主党はサンダーズより多くのものを望む。彼らは、オバマ、クリントン、ケネディの後の新しい政治的文化の建設を望む。

 サンダーズと共にウォーレンは、新しい出発点の創造的な基礎である。春の、サンダーズ、ウォーレン、バージニアのジム・ウェブ元上院議員、メリーランドのオマリー前知事の新しい民主党のラインアップから、今秋を考えてみよう。我々がこの新しい世紀においてそれを知るように、民主党のために再び始める事ができる、この世界でその4人組を創ることである。


 トランプのおかげで、保守はブッシュの懐古を置き去りにした。彼らは民主党より前にいる。民主党は、可能な限り早く、不和に満ちた不正行為と腐敗の過去-クリントン家-を置き去りにしなければならない。

 もう一度、サンダーズとウォーレンから始めて欲しい。ウォーレンはカギである。民主党の未来のために、彼女は全てのカギである。
http://thehill.com/blogs/pundits-blog/presidential-campaign/251452-elizabeth-warren-is-still-the-key-for-democrats


The Hill紙 8月23日
Left whispers to Warren: It’s not too late to run
左翼のささやき;出馬するには遅くはない
(概要)
 ウォーレン支持者の草の根の勝手連が各州で立ち上げている。彼らは熱烈なウォーレンファンで、サンダーズ上院議員も彼らに協力を呼びかけている。
 バイデン副大統領とアル・ゴア元副大統領(67歳)の担ぎ出しの話も掲載されている。
http://thehill.com/homenews/campaign/elizabeth-warren-not-too-late-to-run-2016-election


「まとめ」(今後の予測)
 民主党支持者の圧倒的支持を受けるクリントン候補が、クリントン財団への外国人の寄付、ベンガジ事件問題、それらの証拠が残っているメールサーバーの問題の追求により失速、その後、民主党指導部と一般党員がエリザベス・ウォーレン上院議員を押し上げる。その時期は、2015年末まで。2016年初頭から一気にウォーレン上院議員が大統領選に乗り出し、民主党大会で指名を受ける。
 サンダーズ上院議員は、民主党員ではないので、民主党候補にはなれない。現在、民主党内反ヒラリーの受け皿になっていて、いずれ、ウォーレン上院議員が浮上したときに、バトンを渡すだろう。


 トランプ候補が先頭を走るならば、クリントン候補いや民主党にとって戦い易い相手になる。しかし、共和党の2番手がカーリー・フィオリーナ元HP会長(60歳)になるかどうかは分からない。トランプ候補の役割は、既成の連邦議会議員をなぎ倒し更地にするブルトーザーの役割かも知れない。

 連邦議会の議員が、政争に巻き込まれ、予算執行の停止などによる政府閉鎖やオバマケアなどの執行に混乱をきたすなど、米国民の政治への失望が根底にあり、政治家でないトランプ候補やフィオリーナ候補への支持が増える。民主党は、議員の老齢化が進み、若手が少ない。従来の政治家ではない2012年まではハーバード大の教授であったウォーレン上院議員も2年後は68歳になる。しかし、彼女は新鮮でパワフルなおばちゃんである。


 2015年3月に民主党上院のハリー・リード院内総務(75歳)は、1月の負傷問題もあり2016年選挙に出馬しないと引退声明を出した。2014年中間選挙で民主党が少数派に転落したが2016年は多数派に復帰するため、選挙資金の有効な配分を行うためだとしている。自分のためではなく民主党のために戦いの先頭に立つことを宣言したのである。


 2014年中間選挙の共和党の躍進は、保守のコーク(Koch)兄弟の政治資金支援が大きく、ティーパーティー派を含む保守候補の当選者を増やした。コーク兄弟は、リード上院議員を追い出すために2016年選挙に多額の資金を投入すると予想されていたが、先にリード上院議員が手を打った(引退声明)。二人の資産を合わせるとビル・ゲーツを越える大富豪の資金力は脅威である。

 コーク兄弟が連邦議員の共和党議員に多くの選挙資金を提供していることは、現連邦議員の大統領候補も資金提供を受けることになる。従って、選挙資金10億ドルを用意しているトランプ候補(総資産87億ドル)の最大の敵は、コーク兄弟(総資産440億ドル以上)になる。


 政治家として最も老練なダーティ・ハリー(MSNBCがリード上院議員につけたあだ名)が、2016年選挙を仕切ることは間違いなく、ハーバード大学からウォーレン教授を政治に引き込み、2015年から上院民主党政策委員会議長の幹部にウォーレンを選んだのもハリーである。彼は、上院、下院、そして大統領の選挙全てで勝つことを狙い、戦略を立てているはずである。

 2015年5月、下院ナンシー・ペロシ院内総務(カルフォルニア選出)は、全米最大のカルフォルニア州民主党大会に、ウォーレン上院議員を招聘し基調演説を依頼した。このように、民主党幹部はウォーレン上院議員を取り込んでいる。


 ヒラリーを民主党大統領候補に推薦すれば、上院と下院は勝てるだろうか。
それには、The Hill 8月19日の「ウォーレンは民主党のカギである」に記載されているように「新しい政治的文化」を創造する政治家の登場が必要だ。


「東京財団のコーク兄弟解説」
 カンザス州ウィチタには、エネルギー・コングロマリットのコーク・インダストリーズ(Koch Industries)がある。同社を経営するチャールズ・コーク(Charles Koch)とデイビッド・コーク(David Koch)の資産はそれぞれ二二〇億ドルに達し、二人は共に『フォーブス(Forbes)』誌の世界長者番付(二〇一一年版)の十八位に入っている。
(以下下記本文で)
http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=763


ニューヨークタイムズ 2015年1月26日
Koch Brothers’ Budget of $889 Million for 2016 Is on Par With Both Parties’ Spending
コーク兄弟は、2016年選挙戦に約9億ドル(約1000億円)用意する
 コーク・イベントに招待されたのは、共和党指導部ではなく、大統領候補と言われているウイスコンシンのスコット・ウォーカー知事、マルコ・ルビオ上院議員、ランド・ポール上院議員、テッド・クルーズ上院議員等5名。
http://www.nytimes.com/2015/01/27/us/politics/kochs-plan-to-spend-900-million-on-2016-campaign.html?_r=0  


TPPに関する態度表明
トランプ候補(2015年8月11日ニューズウィーク記事)
自由貿易反対、関税引き上げ、国内雇用を優先


クリントン候補(2015年7月30日)
「私がTPPに望むのは、労働者の保護と賃金引き上げ、経済的な機会や安全保障上の国益増大の3つです」


ウォーレン上院議員、サンダーズ上院議員
自由貿易反対、ISDS拒否、TPA反対(大統領への委任は危険)