福島原発事故による放射能汚染の範囲、汚染度が明らかになってきた。今後、この汚染をどのように解決するか、原発事故補償の行程表が明らかになっていないが、チェルノブイリ事故の事後処理をみると解決するまで長期間になる可能性が有る。

5月24日、原子力委員会の河田委員が「土壌汚染問題とその対策」で、福島の汚染地図を発表した。その資料によると汚染面積は
555~1480kBq/m2(中) 700km2(7万ha)
1480kBq/m2以上(高)  600km2(6万ha)
原子力委員会マップ
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo16/siryo2.pdf

合計1300km2(13万ha)となる。この面積は、森林も田畑も市街地も含む。汚染地域の市町村の田畑の面積を農水省統計から調べて見ると約2万6千haである。農水省の統計は市町村単位のため、非汚染地域も含んでいる。

さて、孫社長の電田プロジェクトでは、耕作放棄地と休耕田54万haの2割の10万haの土地に0.05kW/m2の密度の太陽光発電を設置すると5000万kWの発電所ができると説明されている。

福島の汚染地域の約半分の700km2(7万ha)に太陽光発電を設置すると3500万kW相当になる。この発電量は、管総理の言う1000万戸に設置する量と等しい。

「管総理が20年~30年住めないと言った」とある参与が記者に漏らしたが、上記河田委員の資料で明確になった。
2万6千haの農地のうちどれだけ汚染されているか分からないが、太陽光発電パネルを設置すると、長期間(20年)収益が得られる。

風評被害も考えたら多くの農地が使えない可能性がある。使えない農地、市街地、空き地などに太陽光発電パネルを設置し、地権者に事故がなければ得られる収入に相当する地代を太陽光発電の収益から支払うことにしたらどうか。2万haの農地に太陽光発電を設置すると1000万kWの発電所になる。

被災者の方々が一時でも早く自宅に戻りたいと思う気持ちは十分に理解しているが、一つの提案として考えて欲しい。

(参考)
太陽光発電に対するセシウム137から放出されるガンマ線の影響がどうなるか分からないが、発電に寄与するのではないかという研究をしている研究者もいる。または、放射線が太陽光発電の材料劣化を促すのではないかと調べている方もいる。

太陽光発電または太陽電池は、専門的には、Photovoltaic(光起電力素子、PV)と言われていて、その原理から考えると、光(電磁波)は、赤外、可視光、紫外、X線、ガンマ線を含むので、何らかの影響はあると考えられる。
PVと同じシリコンやシリカなどを使う半導体製造においては、放射性物質の存在そのものが問題になり、厳重な管理をしている。