太陽光発電が社会に及ぼす影響をマクロ的に見てみよう。3回に分けて報告する。

人類は、化石燃料を大量に手に入れ、それを燃焼させ熱エネルギーに変換、水あるいはガスの膨張を利用し、その運動エネルギーをレシプロエンジンを使い力学エネルギーに変換した。
 19世紀後半には、電気自動車、内燃エンジンおよび自動車、発電機、蒸気タービン、水力発電と多くの発明があり、電力を手に入れた。
 熱(燃料、原子核反応)、力学(運動)、位置(ダム)、化学(蓄電池)、自然(風、太陽光、地熱)、電気などのエネルギー形態のうち、蓄積が容易な形態と困難な形態とがある。
 燃料(固体、液体、気体)は、その状態で保存できる。熱にすると、熱媒にエネルギーを蓄積できる。力学エネルギーは、フライホイールという装置に運動エネルギーを蓄えることができる。ダムに水を貯めることにより、位置エネルギーを維持できる。蓄電池の場合は、化学的物質量の状態を保つことにより、エネルギーを貯蔵できる。

 ところが、電気エネルギーの場合は、他の形態に変換して貯蔵することが求められる。

 太陽光を利用した発電システムは、太陽電池(光起電力素子;Photovoltaic 以下PV)と太陽熱発電の2種がある。PVは直接電気を発電する。太陽熱発電は、一旦熱を熱媒に移しその熱を利用して、タービンやエンジンを駆動し発電機を回す。

 PVで発電された電力は、それ自身電力を保存する機能がなく、保存するためにはバッテリーなどの二次電池が必要である。(研究的には、蓄電機能を持つPVが提案されているが、まだ実用化されていない。)

 太陽光発電、特に系統に接続されているPVが多くなるとどのような問題が起こるか、提起したのが、経済産業省の3月3日発表の「再生可能エネルギー大量導入に伴う系統安定化対策コスト」である。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100303a03j.pdf

「余剰電力問題」「出力急激変動」「電圧の変動」が要対策項目として上げられているが、極端な場合、系統制御が制御不能状態に陥り大停電の可能性もある。

余剰電力対策として、PV側の出力抑制が提案されているが、これは、買取電力が制限されることであるから、設置者の償却計画が狂うことになる。

 余剰や出力変動を平準化するため、各設置場所に蓄電池を追加投資すると、3500万kWのPV設置の場合、85.7兆円が必要となる。 系統側(電力会社側)に設置する場合は、24.2兆円となる。