こんばんわ。
突然ですが僕、実は作詞もするのです。隠してるだけで。笑
それで、何かそれにかこつけてやれるテーマはないかと考えて、こんなことやってみようと思い立ちました。
それが表題でもある「歌詞批評会」。
「会」ってついてますが、もちろん一人です。
好き勝手にやらせて頂きます。
僕は、たくさん好きなアーティスト、尊敬するアーティストがいますが、彼らの楽曲の中から歌詞に標準を絞ってやっていこうと思います。
ちなみに、楽曲批評会(単純に「曲」の批評ですね、コード進行がどうとか)も考えたのですが、マニアック過ぎる話になるので、やめておくことにしました。笑
記念すべき第一回は、Mr.Childrenの楽曲でアルバム「SUPERMARKET FANTASY」より、「口がすべって」。
歌詞はもちろん、桜井和寿。
では以下、取り敢えず全体を掲載。
①口がすべって君を怒らせた
でも間違ってないから謝りたくなかった
分かってる それが悪いとこ
それが僕の悪いとこ
②「ゆずれぬものが僕にもある」だなんて
だれも奪いに来ないのに鍵かけて守ってる
分かってる 本当は弱いことを
それを認められないことも
③思い通りに動かない君という物体を
なだめすかして 甘い言葉かけて 持ち上げていく
もう一人の僕がその姿を見て嘆いてるんだよ
育んできたのは「優しさ」だけじゃないから…
④争い続ける 血が流れている
民族をめぐる紛争を 新聞は報じてる
分かってる 「難しいですね」で
片付くほど簡単じゃないことも
⑤誰もがみんな大事なものを抱きしめてる
人それぞれの価値観 幸せ 生き方がある
「他人の気持ちになって考えろ」と言われてはきたけど
想像を超えて 心は理解しがたいもの
⑥流れ星が消える 瞬く間に消える
今度同じチャンスがきたら
自分以外の誰かのために
願い事をしよう
⑦口がすべって君を怒らせた
でもいつの間にやら また笑って暮らしてる
分かったろう
僕らは許し合う力も持って産まれてるよ
ひとまず そういうことにしておこう
それが人間の良いとこ
…はい。
もう批評会なしでも100点って感じですが、無理矢理やっていきます。
まず、出だしですね。これが素晴らしい。
①口がすべって君を怒らせた
でも間違ってないから謝りたくなかった
分かってる それが悪いとこ
それが僕の悪いとこ
まず最初の二段、これは至極当たり前のことを歌っています。
「間違っていない」ので「謝る必要がない」ということは、基本的にはほとんどの人の共通認識であるわけです。
なのですが、下の二段で桜井氏は突如その共通認識を崩しにかかる。
その共通認識を、「僕の悪いとこ」だと言い切ってしまうわけです。
そうすると、これを聞いたリスナーの頭にはクエッションマークが浮かびます。え、なんで?って。
クエッションマークが浮かべば、後の歌詞は真剣に聞くしかないですよね。だって、その答えが後には隠されているはずだから。
これでもう、リスナーは桜井氏の魔法にかかったことになります。
強烈にリスナーを引き込む、桜井氏のよく用いる手法です。
ここに僕は、俳句が芸術的に最高峰と言われる所以であるひとつの要素、「意外性」と同等のエネルギーを垣間見ます。
芭蕉の句であまりにも有名な、
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
というものがありますが、これは意外性の極致と言えます。
「(本来岩にしみ入るはずのない)蝉の声が岩にしみ入るようだ」という表現、さらにそれに「閑さ」を感じるという二重の意外性に、読者は圧倒的に引き込まれるわけです。
残念ながら、俳句には答えがありません。17文字しかないですから、答えなんて入れる余地がない。
よって、「答えは勝手に見つけてね」というのが俳句のスタンスです(というかそれこそが俳句の芸術性ですね)。
ですが、歌詞には文字数の制限がありませんので、答えを用意する余裕が十分にあります。
それを以下で探っていくことにしましょう。
②「ゆずれぬものが僕にもある」だなんて
だれも奪いに来ないのに鍵かけて守ってる
分かってる 本当は弱いことを
それを認められないことも
最初の歌詞を少し掘り下げているような内容ですね。
「間違っていない」→「謝りたくない」という構造と同じで、
「ゆずれぬものがある」→「謝りたくない」。
これも同じように桜井氏は崩してゆきます。
「ゆずれぬものがある」と意地を張るのは、「本当は弱い、それを認められない」ことが原因だ、と言うわけです。
①と同じく、これはクエッションマーク、所謂「問いかけ」の範疇と言えると思います。
③思い通りに動かない君という物体を
なだめすかして 甘い言葉かけて 持ち上げていく
もう一人の僕がその姿を見て嘆いてるんだよ
育んできたのは「優しさ」だけじゃないから…
これは、「僕」と「君」との関係性の一場面を切り取ったという意味では②の歌詞と同じような印象ですが、少し自分への肯定も感じられ、それが
「育んできたのは「優しさ」だけじゃないから…」の部分に表れています。
優しさ以外に育まれてきたのは「自尊心」でしょう。
ただ、二者間の関係性において「優しさ」と「自尊心」のバランスが大切だということは特に新しい発見ではないですから、そのことよりもこの③において良い点は「優しさだけじゃないから…」という歌詞で、もう一方で育まれてきた「自尊心」を表せているという、文章自体のセンスだと思います。
…えーっと…思ったとおりです。長くなりますねこれ。笑
続きは次回!