スタインウェイ、べヒシュタインと並ぶ世界三大ピアノメーカーの一つ、ベーゼンドルファー。
石橋にある 大阪大学 の 大学会館講堂には、1920年に製作されたベーゼンドルファーがあります。
なんでも、この講堂が改修されるにあたり、建物と同時代に生まれたピアノを、ということで選ばれた楽器だそう。
先日、阪大の音楽学研究室の学部生ゼミにお邪魔し、このピアノを演奏させていただいてきました![]()
奥に見えているものは、何本ものマイク!!
実はこちらのゼミ、オーディオ機器を扱う会社とタッグを組んで行っておられるもので、録音の技術を実演、体感してもらうという授業だったのです。
録音材料として、コンパクトで、かつ、色々な場面が出てきて音量の幅が大きい曲を、ということで
バルトーク ≪ルーマニア民俗舞曲≫
クルターグ(クルターク) ≪遊び≫ より、<手のひらで1a> <…星もまた花…>
を選曲しました。
弾いたのは、通して2回。
1回目。
講堂の客席に座った20数名の学生さん、先生、技術者さんたちに見守られ(?)演奏。
可能な限り余計な音を出さないようにという指示のもと、息まで止めていらっしゃるかと思うほどの張りつめた空気… 間違ってはいけないという気持ちも相俟って、とっても緊張しました。
2回目。
マイクがある場所で実際に鳴っている音や、講堂内の様々な場所での音の聴こえ方を確認するということで、皆さん思い思いにあちこちを歩き回られる中、演奏。
マイクと同じようにピアノの中に頭を突っ込んでおられる方もいました。
学生さんたちは後日スタジオにて録音された音源を聴き、実際に耳にしたときの印象と比較をされるそうです。
演奏会とはまた違った緊張感がありましたが、貴重な経験をさせていただきました
ベーゼンドルファーの、華やかではないけれど暖かく豊かな響きはもともと大好きなのですが、1920年に作られたこの楽器の音色には、さらにいぶし銀のような渋さを感じました。
一つ一つの音がつるんとコーティングされた印象の現在のベーゼンドルファーとは異なり、美しい響きのなかにもどこかジャリっとした感触があり、それこそがこのピアノのもつ旨味のようにも思えました。
偶然にも先月、このベーゼンドルファー1920を現在に甦らせた修復家さんとお話をする機会がありました。
今後この楽器を使ったコンサートを色々と企画されるとのこと・・・楽しみです![]()
satoko


