セルフビルド外壁杉板張り【1】
2018年は我が家にとって、とてもとても濃い一年であった。
3月末には新居に引っ越してはきたけれど、まだ外壁の単管足場が残った状態で入居した。
なぜなら、入居した時点では外壁の杉板を張り終わっていないから。さて、ここから住みながら外壁を張って行く日々が始まった。
さらに言うと内装は石膏ボードのままだし、室内のどこにもまだ建具が1枚もなかった。(元々1階〜2階〜ロフトまでほぼワンルームの空間として設計)寝室や子供部屋にもそのうちつければいいだろう、という考えでもあった。(娘には早く扉つけてくれ、と言われてるけど・・。)入居直後にはトイレにも扉がなかった。いや本当は引越前にトイレの扉くらいはつけるつもりだったのだけど、引越のドタバタで間に合わなかった。入居後5日間は合板パネルで隠しながらしのいだ(笑)
外壁の杉板張りは1月に上棟してから、外壁の下地と防水紙と横胴縁まで大工さんに仕上げてもらった。そして2月から、DIYにて外壁杉板張りを開始した。事前に板材に塗装したり、端部小口を水切りのために斜めカットにしたりの準備は進めていた。
*工務店さんの材料置き場をお借りして、巾広材の斜めカットをひたすらやっていた。
元々、設計・工事契約をするときから、できるところは自分たちでセルフビルドしながら家を作るというのが目標であった。
そこで節約できる分、家の質にお金をかけたいと思っていた。
家の質とは、主に構造と断熱性能(省エネ性能)のこと。自分たちで手をかけて節約できれば、そこの性能を少しでも上げられるのではないかという思惑もあったし、自分の家を作る時はできるところは自分の手でやってみたいとも思っていた。
じゃあ、実際どれくらい節約できたの?と聞かれると未だ答えられず。感覚的にはまあまあ節約できたような気はしているけれど、まだ自分たちで手をかけたところの金額の計算ができていないため、今後これからやるところも合わせて計算してみたいとは思っている。実際合算してみたら、なに?意外にかかってるんじゃないの?という結果がもしかしたら出てくるかもしれない。素人仕事だし、効率も良いとは言えず、手間がかかった分お金もかかってしまっているかも。
しかしだ、工務店に頼んだ建築費の金額は住宅ローンとして自分たちの今後にのしかかる金額であるけれど、自分たちで手をかけて作ったところは、大体の場合材料を買うところから今現在あるお金で買って作っているので、その分はローンの返済にはのしかからない。これからも、手元にお金の余裕ができたら材料を購入して少しずつ仕上げていくつもりだ。
というわけで自分でも今気づいたけど、セルフビルドは住宅ローン返済の苦労が(少し)減る、というメリットもある。(と、自分に言い聞かせてみる。)
外壁張りの話に戻ると、単純に外壁に板を張ると言っても、ある材料をただやみくもにカットして張るだけではなく、注文した材料が極力無駄にならないように、材料の「木取り」を行う。できるだけ少ない材で材料を無駄にしない「歩留まりを良くする」という作業。この木取りの作業が実際板材を金槌で打ち付ける以前にかなり手間を要する作業であった。試行錯誤しながら、竜一くんが木取り図をイラストレーターで作成。
大工さん達は、どうやって木取り図作ってるんだろう。やっぱりこんな地道な方法?
*展開図に、材料を並べて・・
*材料の木取り図(実際にこれの通りにカットしたのか怪しいところもあるけれど、最初に発注した枚数から材料が足りなくなることはなかったので、やはりこの図面のおかげ!巾広板だけで400枚以上!)
杉板をより長持ちさせるために、設計当初は焼杉にしようかな、と考えていた。現場でバーナーで炙ろうかな、と。しかしこれはすぐに諦めた。多摩は田舎とはいえ、この家の建つ立地では東京都心ほどではないけど家が立ち並ぶ住宅地。もしこの焼杉をこの地域で決行していたら、煙で近所中大迷惑だったに違いない。今頃近所から総スカンだったわ。
そうでなくても、今回杉板を釘で打つという作業音のため、2度苦情が来たので、焼杉にしなくて良かった。(苦情のお話はまた後ほど・・)
焼杉を採用できる現場は、建設費に余裕があり、元々焼杉という製品になった材料を買うか、現場で焼けるような敷地や周辺環境に余裕がある場所に限るのだね。
その後どうしようかと考えあぐねていたところ、その昔在籍していた設計事務所の時期に一緒にとある建設現場で仕事した、ゼネコンの現場監督さん(今では茅ヶ崎で活躍する工務店さんの社長)から、面白い材料を教えてもらった。
一度聞いたら忘れなさそうな【小川耕太郎・百合子社】というメーカー名の、木材防護保持材「ウッドロングエコ」という塗料だった。
通常「防腐剤」という種類の塗料だと、塗布後に膜を作って(浸透タイプだと木材に浸透して)防腐・防虫効果のでる塗料であるのに、こちらは一度塗ると木に元来棲息している不朽菌を殺して、木を腐らせないようにする「木材防護保持材」だと説明されている。ただし、防虫という効果はない。しかも、塗るとその1時間後くらいから、真新しい杉の材料がまるで何年も前からそこにあったような経年変化をつけたような仕上がりになるのであった。動植物にもやさしいハーブや鉱物を原料とした自然塗料。ホームページをつぶさに見て、コレでしょ!と思い即購入してみた。
(小川耕太郎・百合子社 https://mitsurouwax.com/cont02/)
そして届き次第即座に塗ってみた!これが、驚くほど自分たちの好みにピッタリな仕上がりを醸し出す!ウッドロングエコには半永久的に効果があると説明には書かれているけれど、それはこれからどうなるか我が家で確かめるとしよう。木を張ったときに表に出る面だけ塗る予定だったけれど、効果効能を熟読するうちにこれは絶対、裏表さらにはカットした小口も全て塗るべきだと思った。
しかもこの塗料、液体ではなく最初は粉である。この粉ペットボトルのキャップ約一杯分を1リットルの水で溶かして使う。塗ったときは透明でどこを塗ったかわからないくらいだが、1、2分もすると木材の表面に薄い墨のような色が浮かび上がってくる。そして1時間、半日、一日と置いておくとみるみると風合いのある色味の木材色に変わってくる。水みたいな材料だから、どんな素人でも簡単に塗ることができる。少し時間を置いて塗り残しのないように確かめていけば多少ムラがあっても時間とともに全体が均一になってくる不思議な塗料。よくわからないが、木材の内部で化学反応でも起こしているのか。
*ウッドロングエコの粉を溶かした液体をスポンジ刷毛で塗る。フミさんとハルカさん。ハルカさんはこのとき初めましてだった♡
しかししかし・・・塗ろうと思っている杉板(巾広板)は幅180ミリ厚さ18ミリ長さ3mの材が400枚以上ある。(さらに幅60×T15×L3000の押縁材も同じ400枚!)これを切ったら塗る、切ったら塗る、を繰り返さなくてはならない。裏表塗るためには、表を塗ったらある程度乾かしてまた反対面を塗るという工程も必要。準備を始めたころに塗ったときは慣れないのもあって半日で10枚くらいしか塗れなかった。
ここで、助けてもらったのが地域の仲間・友人たち。去年の今頃から、毎日色んな方達がヘルプに来てくれた。友人が友人を呼び、さらにその輪もひろがっていった。繋がりって面白い。初めましての人も一緒に作業するだけですぐ仲間になる。塗装の作業から、足場に上がって板を打ち付ける作業まで。ご飯を作ってきてくれる人がいたり。
気が遠くなるような作業だったけど、興味を持って来てくれてワイワイと作業できて、楽しい期間でもあった。去年作業してきた時の写真を改めて見てみると本当に色んな人が来てくれたなあ。
*ダブルじいじ達には最初から最後まで本当にお世話になりました。
*おしゃべりしながら楽しく作業。じいじ達も楽しそうだった。クロちゃんありがとう♡
*川元さんご夫妻。何度も来てくださって、どうやったら早く塗れるか考えたりしてくれた。
*外壁張りチーム!
*現場でほぼ毎日かかせなかった、tak beansさんのコーヒー
>>セルフビルド外壁杉板張り【2】へ
『セルフビルド外壁杉板張り・スライドショー』
https://vimeo.com/310517511
地鎮祭
台風一過の月曜日・敬老の日
地鎮祭を執り行いました。
色んな思いがありすぎて、まず何から書き始めようかと悩みすぎてなかなか書き始めることができなかった。
仕事としては、非常に久しぶりな一軒家丸ごとの設計作業でした。
やりたいことが多すぎて設計もまとまらないまとまらない。
しかも自分で勝手にプレッシャーを受けすぎて身も心も疲労困憊。
当たり前なんですが、施主であることもあり、お金のこともずっしりとのしかかる。やりたいことは多々あれど、その優先順位をどうつけたものか。やりたいことの半分くらいは諦める・・・?。
いやいや、
この家の目的はずっと作り続ける家。
「シロタダ・ファミリア」なんです。
Shirotada Família
(歴史的にも壮大な未完の建築。ここまで壮大ではないですが・・)
なので、今回の工事では未完のままで終わるものが沢山ある。
けど、気長に楽しく作り続けていこうよ、という家。
もう一つやりたかったこと。
これから多分長いこと暮らしを作っていく、
この地域に根ざした家づくりをしたいと思ってきました。
「家を建てる・買う」という事をただ単純に建築会社に依頼して、
「建築請負工事」という契約をして完成してもらう、という家にはしたくない。
建て主も家づくりに参加する。さらには、地域の人たちにも家づくりに参加してもらう。そしてまた、地域のどこかで家づくりやメンテナンスが必要になったときには、自分もそこへ行って家づくりに参加する。
「家」へ対する地域の技術力・関心を高めること、住む人が自分でできる限り家のことを考えて、自分で家をメンテナンスしていける地域のコミュニティを作りたいと思っています。
一人ではなかなか踏み出せない・やり遂げられないことも、一緒にやると楽しくできる不思議。色んな方にそれを体感してもらえたらと思っています。
この“シロタダ・ファミリア” から、家づくりに関する面白く楽しく役立つことを発信できるように頑張っていきたいと思います。
地鎮祭には、これから建築中にも沢山お世話になるであろう、
私と夫の両親たち、
そして地域のことで楽しみ事を一緒に作っているご近所さん、うーさん親子にも参加して頂きました。
もちろん今回ご縁があった、これから面白いことを一緒にできそうな大工さんたちにも。
地元神社の神主さんには、本当に念入りな地鎮祭を執り行っていただきました。
皆様、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
#Ichinomiya Project
#地鎮祭
#地域の人と家をつくる