Happy End ミヒャエル・ハネケ監督作品を観る | STUDIO F+

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オーストリアの映画監督、ミヒャエル・ハネケの新作Happy End(邦題:ハッピーエンド)を観てきました。

劇場は、たまに行くキネマ旬報シアターで鑑賞。



ゴールデンウィークの影響か、普段よりも人気のある映画にはお客が詰めかけている模様。

それでも都内の映画館よりはゆったりして鑑賞できるので、キネマ旬報シアターはお気に入りの映画館の一つになってます。



さて、ミヒャエル・ハネケ(Michael Haneke)と言えばヨーロッパ映画界の問題児でもあります。

本人もわかりやすい映画ではなく、お客に考えさせる映画作りを目指しているのだとか。

そのため、ハネケの映画作品は完全に好みが分かれるものが多いと感じています。

今回の映画 Happy Endも、タイトルからして胡散臭い感じがプンプンしていました。

ハネケ作品はどれをとっても「ハッピーエンディング」から、ほど遠い内容のものばかりだからです。

キネマ旬報シアターの別のスクリーンで上映していた、「スリービルボード」の方が圧倒的にお客が多いなか、ハネケの「ハッピーエンド」には10名ほどしかお客がいませんでした。



映画にハッピーな結末や内容を求めるお客さんは、ハネケの映画を観ないでしょうから、仕方ないと言えばそれまで。

個人的な感想としては、今までのハネケ作品と比べると、ラストの「衝撃」が強い映画ではなかったかなと。

スマートフォンを持つの若い世代と、ヨーロッパで問題になっている移民問題とを、裕福でお金に困らない家族を通じて描いているため、
ハネケ作品としては、いまいちテーマが絞りきれていないように感じました。

ハネケ監督のインタビュー記事で、少女エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)が自分の母親を薬を使って殺そうとする物語は、日本で起きた実際の事件を元ネタとしているのだそうです。

そのためか、後半のシーンでエヴが着ているTシャツに、「I ★Japan」 と描かれていました。
ハネケ流ジョーク何ですかね?

ショッキングと言えばショッキングな内容でしたが、1997年の「ファニーゲーム(Funny Games)」など、他のハネケ作品が強烈だったため、控えめな映画に見えてしまいました。

シーンとシーンをつなぐショットの展開の意外性や、意味があるのかないのか?わからない長回しのシーンなど、ハネケ監督こだわりのリアリズムに溢れている映画ではあります。

ハネケ監督の映画は、どの映画も極端で意図的なものばかりなのに、お客がダマされてしまうくらい自然な流れでシーンが演出されている
そんな気がしました。

大富豪のジョルジュ・ロラン(ジャン=ルイ・トランティニャン)が車椅子に乗ってひたすら進んでいるという長回しシーンでは、行き過ぎる車とは反対方向に進んでいくロランの車椅子が、かなり長く映し出されまます。


そして、ロランの反対側から歩いてきた複数のアフリカ系黒人に声をかけ、腕時計を外して、何やら交渉をしている様子がセリフなしで描かれていました。

観ているお客には、ロランは一体何をしているのか?想像しないとわからないようになっているシーンです。

あとでわかることなんですが、
実は、ロランは移民のアフリカ系黒人にピストルを売って欲しいと交渉していたことがわかります。

なぜ、あんなにも長くロランが車椅子をこいでいるシーンを長回しで撮影する必要があったのか?映画を観終わったあと、ずーっと考えていました。

なんとなくではありますが、
ハネケ監督の演出は、普段生活をしている人の流れを映画で再現しようとしているのではないかと思いました。

そこを描くことで、映画にリアリティが出てくる。映画的に作られた人工的な流れではなく、
自然のままの時の流れを描く。

一見すると当たり前、至極簡単な事ではないかと思うかもしれませんが、映画を作るにあたってこのあたりが非常に難しいと思うのです。

もともと、映画自体が本来「ウソの世界」であり、意図して人工的、恣意的なもので作られている芸術です。その「虚構の世界」をいかにして「ウソだ」と見破られないように映画を作り上げていくかが、とっても難しいんです。

お客が映画を観るときは、かなり冷めた目・頭で映画を観ます。次の展開はこうなるかもしれないと、ひとり想像しながらスクリーンを観ているわけです。

その冷めたお客を映画の世界に引っ張り込むには、映画の中にリアリズムがないとダメなわけです。

「ウソだ」とバレてしまうような映画は、
ダメな映画なんですね。

ハネケ作品を観終わってみて、色々考えてしまう。これもハネケ映画のマジックなのかもしれません。

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