アドラーとドーレンによる『本を読む本』は、私たちの生活にありふれた「読む」という行為について、見つめ直すよう促しています。
『本を読む本』で問われる、「読む」という行為
著者アドラーは、“自分が本を本当の意味で読んでいなかった”、つまり、本の字面を読み、書いてあることは理解してきたが、そこに込められた意味や真髄を理解するには至っていなかったということに大学教授になって初めて気づいた、と告白しています。
さらに、本当の意味での「読む」という行為は、たゆまぬ努力が必要であることに多くの人は気づいていない、ということを述べています。
『本を読む本』は、真の意味での読書に至るための指針として書かれた本です。
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本を読む本 (講談社学術文庫)
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読書法「理解のための読書」
読書には「情報のための読書」と「理解のための読書」がある。
前者は、すぐに内容が理解でき知識が増えるような読書。
後者は一度では理解できないような、読み手と書き手の間に「理解の深さに差」があるような読書。
こうした読書の種類の違いを認識し、後者のような読み方を継続することで、読者のレベルを引き上げる。
こうした「理解のための読書」を要求するような名著を読むための技法。が書かれています。
「理解のための読書」に通ずる4つの段階
①「初級読書」、②「点検読書」、③「分析読書」、④「シントピカル読書」
①「初級読書」
「初級読書」とは、文法や単語の意味を知り、本に書いてある言葉の意味を捉えるレベルの読書を指します。
②「点検読書」
「点検読書」とは、限られた時間内での読書法です。「点検読書」は、書店でその本を買うべきか否か、読むに値する本か、を査定するための技術。
「点検読書」は、以下の7つの点を通じて、その本のテーマや構造といった概要を掴みます。
表題や序文を見る
目次から本の構造を捉える
索引を調べる
カバーの宣伝を読む
重要そうな章を読む
所々、拾い読みする
表面的な読みをすることで全体をつかむ
ポイントは
①「どんな種類の本か」
②「全体として何を言おうとしているのか」
③「どのような構成で概念、知識を展開しているか」
の3点。
