③「分析読書」その1~「分類」と「透視」~
読みの第三レベル、分析読書の第一歩は「分類」です。つまりその本がフィクションか否か、理論的か実践的か、といったことを判断するのです。
分析読書の次なるステップは「透視」です。つまり、本の構造をX線撮影するように捉える作業を言います。ポイントは以下の3点です。
1その本全体の統一を捉える
2その本の主要な部分を押さえ、それらがどのように配列、構成され統一された全体を成しているかを捉える
3著者の問題としている点を知る
続いて分析読書の第二段階について述べます。
③「分析読書」その2~意味の吟味、そして批評~
分析読書の第二段階は「著者と折り合いをつける」ことです。
つまり、言葉の使い方に関して著者と読み手をシンクロナイズさせる作業です。
微妙なニュアンスの理解を著者と読み手で一致させることが重要になります。
どういう意味に使うか、読み手と書き手のあいだですでに折り合いのついた単語が、きちっとはめこまれている。残りの単語もぴったりはめこまなければならない。あれこれあてはめて合う場所をさがすわけだが、途中までできあがっている絵柄がのみこめれば、残りの単語をはめこみ、意味の折り合いをつける作業も簡単になる。(p.121)
言葉の折り合いがついたら、文単位での折り合いをつけます。具体的には、キーセンテンスを見つけ、その意味(命題)を理解する作業になります。
ここで著者は、理解度のテストとして「自分の言葉で言いかえること」、「別のケースに応用できるか」の二つを挙げています。
批評に際しては、
・本を理解した上で、「賛成」「反対」「判断保留」の態度を示す。
・筋道を立てて反論すること。
という2点を留意して、本を批評します。
④シントピカル読書
「シントピカル読書」とは「トピックを同じくする複数の本を読む」、という読書法を指します。
一つのトピックに関して多角的な視点を得ることができる方法です。
シントピカル読書は、あるトピックを定め、点検読書によって関連する本を集めることに始まります。次に集まった本に対して次の5ステップを踏みながら読み進めていきます。
①トピックに関連する箇所をマークする
②それぞれの著者の間で、言葉の使い方に折り合いをつける
③質問を作り、それぞれの本が与える答えを得る
④↑で得た複数の答えが食い違う論点を明確にする
⑤トピックについてのそれぞれの論考を分析する
シントピカル読書を進めるにあたっては、客観性と公平性を持ち続けるよう注意する。
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