三脚厳禁! 『チビセブンファイト』…の本編
ところが、2010年に作った『チビセブンファイト THE MOVIE』は、海岸でのファイトシーンもうっかりと細かいカット割りをして動きをきっちり決めておくなど、まっとうな映像に近づけようという間違った(?)ことをやってしまった。
原点に帰ろう。
今回、クライマックスシーンの絵コンテは、アバウトな絵に「できるだけ入り乱れる」と文字を書き込んだだけ。
…もう、その場の勢いや気分で(キャラもカメラも)動いちゃおうということにした。
撮影現場で助監督から「カメラの水平、ちゃんと取れてますか?」と指摘を受けた。
そういう“正しい撮り方”をやったらダメでしょ。
我々が撮ろうとしている絵は、親が興奮しながら自分の子どもの運動会を撮ったような絵なんである。カメラの水平なんて考えないし、うまくピントは合ってないし、無駄にズームやパンをして非常に見づらい絵なんである。
そんな絵を無理やり編集した感じが欲しい。
うまく繋がらない部分はナレーションで誤魔化す。
しかし、上記のような助監督の指摘があったことは大きな落とし穴である。
上掲の絵コンテの枠外にも書いてあるが、このカットは三脚を立ててしまった! 三脚に水平器が付いているもんで余計に助監督は気にしたわけだ。
今回、構図の関係でカメラを固定する必要があったり、「入り乱れる」ために全員が画面に登場するので三脚を使わざるを得なかったカットがいくつかある。
いかんなあ。やっぱり手持ちカメラでないと、テキトー感が薄れてしまう。
一方で、周辺の小ネタではグリーンバックだの何だのを使った特撮カットを多用しているが、『ウルトラファイト』へのオマージュであるファイトシーンに特撮なんてご法度。
なのだが。
敢えてAfter Effectsという動画加工用のソフトを使って、三脚を使って撮影したカットを手持ちで撮影したかのような加工を施した。
別の手持ちカメラで撮影した映像の「カメラの動き」を検出して(これを「トラッキング」と言う)、その検出結果を三脚映像に適用する。手持ち映像を安定させる「スタビライズ」の逆をやったことになる。
これは、恐らくフルCGの世界ではリアルなカメラの動きを作るためにやっている技術ではないかと思われる。
シロウトのゆるゆるさを強調するためにけっこう高度な技を…無駄に使っているのだ。
…誰も気づかないと思うけど。
