中央線でGo!な「東京レバーハッツ」 | studio7の映像実験室

中央線でGo!な「東京レバーハッツ」

  ディキシーランド・ジャズの学生バンド「東京レバーハッツ」の応援をしているわけである。

 とは言え…。

  私はジャズは好きだが、よく知らない。そもそも音楽そのものをあんまり聴いてない。
 ましてやコンサートやライブといった生演奏に接する機会は少なくて、年に3回コンサートに足を運んだら「今年はよく行ったなあ」ってなレベルである。

 そんな私をも惹き付ける何かが「東京レバーハッツ」にはある。
 しかし、素人受けするだけの音楽では無い。“通(つう)”をも唸らせるバンドであることがわかった。


 1月9日、JR中央線・阿佐ヶ谷駅近くのライブハウスで彼らの演奏を聴いた。

 例によってイキナリ余談だが、彼らの1stアルバムのタイトルは『オレンジトレイン』。これはJR中央線(の東京駅ー高尾駅間)のこと。

studio7の映像実験室-中央線
▲中央線

 103系の頃は全身(?)オレンジの車両だったんだよな…。


 結果としてそうなったのかよっぽど中央線に思い入れがあるのか知らないが、彼らの出没エリアはもっぱら中央線沿線である。


 で、ライブハウスもまたJR中央線の阿佐ヶ谷駅の近くなのである。


 観客は会場のキャパ ぎりぎりまたはオーバーフロー状態で、25人前後か。とにかく満員御礼。
 その半数は戦後のジャズ・ブームを体験してきた世代だった。私がアニメの主題歌を浴びて育ったのと同じように(違うか?)、ジャズを浴びて育ってきた世代である。。
 『テネシーワルツ』が演奏されると、一緒に歌詞を口ずさんじゃうような人たちである。
 
 昭和11年生まれという紳士は元バンドマン(トランペット)で、カントリー→ディキシーランド・ジャズ→スウィング・ジャズといった終戦後に日本に入って来た洋楽の流れや有名なプレイヤーの善し悪し(もちろん、ご本人の主観だが)などを熱く語ってくれた。
 言わば、その、つまり、えー、要は、アレですよ。口うるさいファンですよ。
 そんな強者が、レバーハッツの演奏を聴いて「青春が蘇る」とおっしゃっていた。

 孫みたいな若者たちの演奏に、人生の大先輩たち(しかも口うるさい)がノリノリで手拍子を打っている様子は痛快である。
 その手拍子も、ちゃんと「ン・チャ! ン・チャ!」と裏でリズムをとっている。決して表で叩いた後に手を擦り合わせるような手拍子ではない。

 いいですね、こういう空間。


 東京レバーハッツは、ソプラノサックス&トロンボーン&バンジョー&ベースという編成だが、この会場にはピアノが置いてあった。
 せっかくだから、ということで(なのかな?)曲によってはサックスがピアノに回る。
 また、バンジョーが楽器を傍らに置いてヴォーカルに専念してみたり。
 路上とは違う姿を見せてくれたのも楽しかった。

 ホントは「路上こそが彼らのステージ!」と思っていたのだが、どうしてどうして。
 「夜のライブハウス」も良い雰囲気ではないか。
 どこで演奏しても自分たちの世界を作ることが出来ちゃうということなんだろう。

 
 観客の中に、レバーハッツのメンバーと同世代の若者も何人かいた。
 その多くは、彼らが所属する“大学の母体サークル”の先輩・後輩らしい。

 で、ラストステージの後半は、最終的にオリジナルメンバーにその先輩・後輩がトランペットとクラリネットとピアノが加わっての演奏となった。
 
 「お願いするかもしれないから、一応楽器を持ってきてね」くらいの話はついていたようだが、会話を聞いているとほとんどイキナリである。
 脇での会話を聞いていたら、クラリネットなんか「あ、その曲は無理!」とか演奏拒否してたり(笑)
 …と言いつつ、結局はクラリネットも“その曲”からバッチリ参加してバリバリのアドリブソロをぶちかましていたが。


 最後はレバーハッツお約束の『When the Saints Go Marchin'in(聖者の行進)』をこの臨時セプテットで演奏して締めくくり。
 …の予定だったらしいのだが、会場からはアンコールの拍手。
「アンコールなんて想定していなかったので…」と嬉しそうに困るバンジョー。
「こんなことなら、“Saints”をアンコール用に残しておけば良かった」と笑いをとるサックス。
「じゃあ、『Danny Boy』でも…」とトローンボーンが言いかけた。(ちなみに、ベースは寡黙である)

 そこに観客から『スワニー河』のリクエストが入る。
 あんまり演奏しない曲なのか、7人の顔に一瞬困惑の色が…。

 それを打ち破るかのように、サックスがサクッと♪は~るかなる スワニーがわ~…という出だしのメロディ(私が習ったのは、この歌詞)を鳴らす。
 「あ、C(ハ長調)ね」
 「サビ、あったっけ」
 「ありますよ」
 「サビ、何でしたっけ?」
 「ゴー・イチ・ヨン・ゴー(←私がこれがコード進行のことだとわかったのは30秒くらい考えたあとだった)」
 「じゃ、ピアノから入って」
 これだけの会話で、演奏スタート。

 で、アドリブから掛け合いからエンディングまでバッチリ決まってしまう。

 ジャズのライブとしては普通の光景なのかもしれない。

 が、私にはカルチャー・ショックと言うか、理解を超えた世界である。
 理解は出来ないが、何かめちゃめちゃうらやましいぞ。

 もともとが同じサークルの仲間とは言え、ポン、と一緒に演奏に加われる楽しさ。
 それを自分たちも楽しみ、なおかつ観客と分かち合えること。
 しかも彼らはアマチュアである。

 いいなあ。

 前々から楽器が出来る人たちをうらやましく思っていたのだが、このライブはそのうらやましさを倍増させてくれた。

 まあ、残念ながら私には彼らのようなことは出来ない。

 が、幸いにして観客としてそのノリを楽しむことは出来る。ありがたいことである。

 そんなわけなので。

 月末、西荻窪(ここもJR中央線だ)のライブハウスでの「東京レバーハッツ」も観に行くことにした。


☆東京レバーハッツ ライブ情報
【日時】1月31日 19:30~
【会場】西荻窪Minton House(杉並区西荻南2-21-9 TEL/FAX 03-5370-4050 http://www33.ocn.ne.jp/~mintonhouse/)
【チャージ】500円