まずは物真似 | studio7の映像実験室

まずは物真似

 ほとんど何も決まっていない状態のまま、撮影の日が迫っています。
 決まっていたのは登場するキャラ。
 プロデューサーであるチビセブンさんが成り切るヒーロー“チビセブン”
 怪獣造型師のマック&シュンカナさん自ら演じる“マック怪獣”
 それにチビセブンさんのご子息“プチセブン”

 さて、このキャラをどう動かしてどう撮れば良いのか?

 実は、今回に関してはそのへんの作業は難しいことではありませんでした。
 理由のひとつは3分足らずの短い作品だったこと…本当は「短くまとめる」というのは逆に大変なことなんですが、何よりお手本となる映像があったことが大きな理由でした。

 早い話、そのお手本映像を真似するのです。

 私たちはド素人ですから、「このシーンの流れをスムースに見せるには」とか「このカットを効果的にするには」といった基本的なことはほとんどわかりません。なので、お手本映像と同じような流れや絵を撮ることにしました。
 …これも偶然というか何というか、そもそもの企画が“そのお手本映像”のパロディだったんです。

 さあ、核心に迫りましょう(笑)

 私たちがお手本にした作品とは!

 ここで「いや~、タルコフスキーの…」とか「ゴダールの…」などと言い出してはいけません。本当の映画ファンでない限り観ていないからです。少なくとも私は観てません。
 また「黒澤」「小津」も禁句…とまではいきませんが、キャストに志村喬とか三船敏郎とか笠智衆がいない場合はお手本にしない方がいいような気がします。
 
 改めて…私たちがお手本にした作品とは!



 『ウルトラファイト』


 …。
 思わず文字を小さくしてしまいました。
 気をとりなおしてもう一度!

『ウルトラファイト』

 ご覧になったことが無い方は、YouTubeの円谷チャンネル(http://www.youtube.com/tsuburaya)で観てみてください。

 同作品の詳細な説明は省きますが、ド素人が初めて映像作品を作るに当たり、これほど参考になる作品も無いような気がしませんか?

 海岸や野原でヒーローと怪獣が闘うだけ。これにナレーションによって強引にストーリーや設定が説明され、不条理とも言える独特の世界観を作り出しています。
 超低予算にしてイージーな作り方。ミニチュアも合成もありません。
 にも関わらず、強烈なインパクトを与えてくれる作品群です。
 私は『ウルトラファイト』を否定的にとらえるファンと合ったことはありません。

 私たちは、そのテイストと画面展開を徹底的に研究…しませんでした。
 スタッフ全員の頭に“イメージとしての『ウルトラファイト』”がしっかりと刻まれていたのでその必要がなかったのです。
 ただ、一応YouYubeにアップされている作品はチェックしましたが。


 さて、まずは己の脳内を『ウルトラファイト』で満杯にします。
 その状態で絵コンテを作りました。

studio7の映像実験室-conte01


 絵コンテというのは、ストーリーを漫画のように絵で説明するもので、これによってキャラの立ち位置とかカメラの角度とか「どんな絵を撮るのか」という方針が決まります。また、キャラやカメラの動き、特殊効果なども絵コンテに記されます。
 絵コンテの形式は、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』メモリアルボックス特典の「絵コンテ集」を参考にしました。


studio7の映像実験室

う~ん、やはりプロの仕事は違うなあ(笑)
 もっとも、プロでも人によって絵の書き込み具合は様々なんですが…。

 さて。今「ストーリーを…」と書きましたが、絵コンテを作る段階でストーリーらしきものも決まっていませんでしたので、絵コンテを描きながら流れを考えていきました(脚本はすっ飛ばしました)。

 いや~、作業が進む進む(笑)
 『ウルトラファイト』の世界に合わせて、冒頭に書いたキャラクターが勝手に動いてくれる感じでした。
 また、カメラの動きや構図も絵コンテの中のバーチャル・カメラマンがどんどん撮影を進めてくれているみたいでしたし、バーチャル・エディターがテンポ良く編集してくれているようなノリです。

 『ウルトラファイト』恐るべし!

 イメージの世界なので文章にするのが難しいんですが、私は『ウルトラファイト』のお約束に従っただけ…。

・相応な場所で“怪獣ごっこ”をして、それに適当な流れを付けてやる。
・セリフは無く、全てナレーションで設定や状況を説明する。
・無意味に「岩に打ち付ける波」などの映像が挿入される。
・至近距離で撮ったカットと遠距離から撮ったカットを上手くつなげる。
・下からあおったカットを適量。
・逆光によるカットをおおさじ一杯。
 etc.

 かと言って、単に『ウルトラファイト』をなぞっただけではなく、私たちのオリジナルのネタも入っています。
 “作品を撮影しているカメラマンが襲われる”とか、最終ヒーローがお子さんであるという展開から発生したネタとか…。
 それでもなお『ウルトラファイト』テイストの作品になったのは、やはりオリジナルの映像が特徴的で真似しやすかったからだと思います。

 「学ぶ」という言葉は、「まねぶ(=真似をする)」という古語から出ています。
 映像を作るときも、最初はお手本を真似ることから入っても良いのではないでしょうか?

 で、今回私たちが「学んだ」こと…。
 「撮影前に、せめて絵コンテくらいは用意しとかないといかんなよなあ…」
 …いや、これではレベルが低すぎますね…。真面目に言うと、絵コンテの段階で“絵づくり”の大半は決まるんだということを体感しました。
 実際に、ほとんど絵コンテどおりに撮影を進めて編集をしましたから。
 とは言え、絵コンテにギチギチに縛られる必要も無いという柔軟性も必要でしょう。
 これまた実際に、撮影現場で出た意見やアイデアも取り込んでいきながら撮影をしました。


 てなわけで、次はいよいよ撮影編です。
 えー、鋭い方はお気づきと思いますが、本当は撮影前に決めておかなければならない大切なことが他にも沢山あります。でも、私たちは本当に何も決めずに撮影に入りました。
 くどいようですが(そして今後も何度も書くと思いますが)私たちは「本格作品」を目指していたわけではなく、撮影ごっこで遊ぼうとしていただけなので…。


【今回のレシピ】
 絵コンテ=自作
 参考資料=YouYube『ウルトラファイト』/『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』メモリアルボックス特典絵コンテ集