STUDIO-RELEIVE                      #008「キャベツ焼き」




キャベツ焼きって、簡単なのに美味いよな。

元々は関西のソウルフードで
使う食材は地域によって様々。


それでも
キャベツと玉子があればベースは十分。

あとはベーコンで肉感を出してやれば
育ち盛りの子供も大喜びだ。


俺も昔からよく作っていたけど、このキャベツ焼きのおかげで、ささやかな幸せを見つける事が出来た。


それは俺の同僚の子供が、学校で好きな食べ物に、母親の作ったキャベツ焼きを挙げたって話。

当の母親は“よりによって”と笑っていたが、大好きな母の手料理を自慢したんだから、何とも良い話じゃないか。


たとえ肉じゃがを挙げていようが、
カレーライスを挙げていようが、

子供がそのとき思い浮かべていたのは、
台所に立つ母親のうしろ姿なんだからな。


おふくろの味なんて
ひとつも思いつかない俺にとっては、

学校で発表する子供の姿も、
親子で仲睦まじく食卓を囲む様子も、

仕事のことで落ち込んでいる中
それを嬉しそうに語ってくれた事も、

その様子を思い浮かべるだけで
微笑ましく、幸せな光景に思えた。


そんな温かい家族の一枚を共有させてくれたのが、このキャベツ焼きだ。







いつどんな時でも

子供が見てる景色の片隅には

必ず母親の姿が映っている。




時々でも
そんな幸せを見つけられるのだから

この生きづらい世の中も
悪くないと思えるのだろう。