STUDIO-RELEIVE #009「真空地帯」
時々、道路の片隅で真空地帯を見掛けることはないか?
そこには、花束や子供のおもちゃだったり、タバコなんかが雨ざらしで置いてある。
それを見掛けたあんたは「ああ…かわいそうな誰かがこんな所で亡くなったんだなぁ」と思う。
そして次の瞬間には、今から食べに行くスイーツのことや、夕飯のメニューのことを考えている。
まぁそんなもんだよな、人って。
だけど、もしそこで死んだのが自分にとって大切な人だったら、あんたはどう思う?
なぜ?どうして?と問い掛けても返事は返ってこない。
一方通行の疑問だけが残り、やがてそれは真空に吸い込まれていく。
愛する者の名を持つ命が失われた場所を、通りに吐き捨てられたガムのように、あんたは無視できるかい?
