今回は男性、女性の身長が低い方(私のこと)が650Bホイールを選択すべき理由について共有したいと思います。

 

私自身がこの問題の当事者であり経験者として、これまで得た知識と経験を共有することで、身長の低い男性や女性がより良いロードバイクライフを実現するために650Bのロードバイクという選択肢があり、その良さを知っていただけたら幸いです。

昨年フルモデルチェンジしたCanyon aeroad 2020とSpeedmax 2021モデルで比較しながら考えていきたいと思います。

 

なぜ700Cが主流?、650Bとは?

ロードバイクのホイールは700Cが標準となっています、しかし何故700Cなのかの理由について疑問に思う人は少ないと思います。

700Cとは28インチホイールのことで、ホイールの外径(リムの底の部分)は622mmです。

表記は700-25C

650Bとは27.5インチホイールのことで、ホイールの外径(リムの底の部分)は584mmです。

表記は650-25B

ホイールを使用する際にはタイヤを付けますので、ホイールの外径にタイヤの高さが加わり、タイヤ直径が決まります。

そしてタイヤ直径によってタイヤ周長(タイヤが一回転すると進む距離)が決まります。

ホイールサイズの差はタイヤ高さが同じであればタイヤ周長の差となり、その他の要素も含めて走りに影響が出てきます。

この辺のホイールサイズやタイヤについての規格はヨーロッパとアメリカで異なっています。詳しく知りたい方は調べると直ぐに判ります、700Cに一本化されたのは割と最近のことです。

ロードバイクの起源や主流は欧米である事に疑いの余地はありません、アジアでは無いのです。

ですから欧米人の平均身長に合わせてフレーム、ホイール、サドル、ヘルメットから細かなアクセサリーパーツに至るまで総てが欧米人をモデルに基本設計されています。

ロードバイクのフレーム設計はおおよそMサイズが基準でホイールは700C、サイズが変わるとフレームの各部分の角度や長さで調整し適正サイズに仕上げていきます。

そこでフレームの設計上の限界が出てきます、例えば3段階小さな2SXや3段階大きな2XLなどは簡単いうとホイールが大きすぎたり、小さすぎたりするわけです。

当然、見た目もバランスが悪くなっていきます、Canyonならバイクのモデルによりますが、

2XS-XS-S-M-L-XL-2XLとMサイズを中心に小さい方は3段階、大きい方は3段階、合わせて7サイズで展開されています。(一部3XSまでのモデルもあります)

適正身長は低い方では〜160cmに始まり高い方では196cm〜まであります、その差は36cm〜50cm以上ということです。

しかしホイールはすべて700Cに一本化されてるってどういうことでしょう?

UCIではホイールサイズを統一化することでロードレースなどで平等を保とうとしているのでしょうか?

プロのワールドツアーやオリンピックなどの国際大会ロードレースならスポーツ競技上のルールがありますので致し方ありませんが、一般のライダーや日本国内だけのロードレースであればUCIルールに縛られる必要はありませんし、追加のローカルルールを設定すれば良いです。

つまりわざわざ欧米人に合わせなくていいということです。

身長に合ったホイールやフレームを各メーカが開発し販売しなければユーザーは購入して乗る事はできませんので、事実上の国際規格を取り仕切っているUCIには世界基準として人種による身長差を考慮し650Bなどのホイールも選択できるようにルール改正してもらえたり、ユーザー側は違和感を持ってアジアでもロードバイク人口が増えればメーカーも開発してくれるかもしれません。だって世界の人口の6割以上がアジア地域なんですから。

 

700Cというホイールサイズが適正な身長は?

700Cが適正な身長というか、ロードバイクのフレーム設計の基準はおそらく180センチだと思います、なぜならヨーロッパのロードバイクは設計の際にMサイズ(Canyonなら178cm〜184cm)を基準にフレーム設計をしていますので、700CはMサイズに最適なホイールなのかもしれません。

そうであると仮定した場合、Mサイズより上下2段階まで、つまりXS-S-M-L-XLまでが700Cホイールが履ける限界なのでは無いでしょうか?

実際のロードバイクを見てみると同じモデルでも全く別のバイクというくらいジオメトリが違います、当然のことながら段階ごとに外観もカッコ悪くなっていく。

Canyon aeroad 2020モデルで比較するとバイクの中心の三角部分の大きさが違います、特にヘッドチューブとシートチューブに大きな違いが見られサイズによってバランスが大きく崩れています。こんなに違っているのに基準のMサイズ同じ剛性、同じ乗り味でしょうか?

何よりもライディングで重要と思われるライダーとバイクの相性や一体感など一致した時にしか感じられない感覚が犠牲になっている可能性があります。

 

Canyon Aeroad 2020 2XS 

フロントフォークが寝ていてタイヤに乗ってる感じ

Canyon Aeroad 2020 M 

バランスが良くカッコイイ

Canyon Aeroad 2020 XL

タイヤが小さく見えます、乗車位置から下方にある感じ

 

Canyon Speedmax 2021モデルでは650Bを採用しているためバイク中心の三角部分の大きさは違うものの、ヘッドチューブとシートチューブのバランスが取れていて、Mサイズをそのまま小さくしたような外観となっています。

これならサイズが変わっても同じモデルという感じがします。

Canyon Speedmax 2021 XS 650B

一見650Bとは思えないほどバランスが良いです

Canyon Speedmax 2021 M 700C

 

650Bを採用することで最適なフレーム設計を実現できる

小さい方を考えた場合、700Cのフレームで身長の低い人向けのロードバイクを設計すると、身長が低い=股下長が短いので当然シートチューブが短くなります、シートチューブ角度は変えませんからシートステーの長さを変えて外観のバランスをとっているのでしょう。

つまり、後ろ三角はサイズによって変わり、前三角も同様に調整するしかないです。例えばダウンチューブが他のサイズと同じ長さなら自然とスローピングになります。

スローピング化を防ぐためにはヘッドチューブを短くするしかありません、さらにトップチューブを短くしステムを短くすることでリーチを確保します。短くなったホイール ベースはフロントフォークを寝かせることで、つま先が前輪に当たらないように前輪を送り出して調整します。

これでは同じバイクにはなり得ないのは仕方ありません、大きいほうはもっと歪な形になってしまいます。

しかし、650Bサイズのホイールを採用すれば多くの問題が解決できます、ホイールサイズが小さくなったことでチェーンステーは短くなり、シートステーを最小限で短くできます、また650Bの採用でフロントフォークが短くなれば、ハンドル角度も適正に、トップチューブも最小限の短縮化でダウンチューブも少し短くなりMサイズの基本設計により近いジオメトリが実現できると言うわけです。

特にフレームのデザイン上、エアロロードなどホリゾンタルに近いデザインを採用すると上記のような課題が発生しフロントフォークを前に出す以外の対策は無いように思われます。軽量バイクなどスローピングの場合は見た目はカッコ悪くなりますがなんとか収まる感じでしょうか。

 

乗って楽しい最適サイズでパフォーマンスを最大限に発揮する

また、ロードバイクを購入したらまずはポジションを決めますが、適正なポジションが出せたとしても、バイクのジオメトリが最適でなければ購入したモデルの最大効果は得られないのではないでしょうか?

多くのスポーツバイクプロショップでは身長や股下寸法から適正なフレームサイズ選択の重要性を訴えており、私もその考えに同意しています。

メーカーによってスモールサイズのフレームへのアプローチは様々あり、あるメーカーではジオメトリを崩してまでスモールサイズを展開しないというメーカーなどもあります。特にとトップチューブをホリゾンタル(水平)に近くすればシート高さを650mm以下にすることは難しくなりますのでスローピングにせざるを得なくなります。

私自身650Bのバイクと出会わなかったら、どこどこメーカーの〇〇モデルを所有しているという満足感に囚われてバイクの持つ開発上の特性や大切なフィーリングを蔑ろにしていたかもかしれません。

ロードバイクはバイクのジオメトリや各部のバランスとライダーの身体が合っていてこそ、つまり身体に合ったサイズやバイクバランスがダンシングやバイクを振る際などライダーのパフォーマンスを最大に発揮させられると考えています。

ロードバイクは趣味の世界ですから、何を大切にしようがユーザーの自由に決まっています、好きなメーカーで憧れのモデルで身体に合ったカッコいいバイクに乗れたら、自分のパフォーマンスを最大限に発揮できたらロードバイクライフは更に愉しくなることでしょう。

このようなことから身長が低いアジア人向けに650Bモデルが多くのメーカーで展開されると嬉しいです。

 

Canyon Inflite 2XS 650Bに650Bホイール
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Canyon Inflite 2XS 650Bに700Cホイール

大きな違いはタイヤ周長だが650Bは700Cに比べ7%空力に優れ、12%軽量であると言う事実

700Cと650Bを比較した場合、大きな違いはホイールの直径の影響を受けるタイヤ周長と小さなホイールと小さなタイヤの影響から重量差、全高によるエアロ効果ではないでしょうか?

どちらも同じタイヤ幅で舗装路を走行すると仮定した場合ですが、

650Bは700Cに比べ7%空力に優れ、12%軽量であるとホイールメーカーのZIPPは検証結果を公表しています。

・タイヤ周長の差はおよそ10cm(タイヤ1回転あたり)

・ホイールとタイヤの重量差はおよそ(150g~200g)

・全高は18mm程度下がる

不利となる要素としてホイールの慣性について、物理学に詳しい方から情報を頂きました。

 

700Cと650Bを比較するとリム重量が同じであれば僅かながら慣性モーメント上700Cが有利になるとのこと、現実にはリム重量とタイヤ重量差があり、DT swiss ARC 1400 では650Bが100g以上程度軽いので、慣性で生まれた差は逆転すると思われます。
情報を頂いたゆうちゃんには大変感謝しています。
私の質問への回答記事の他、大変興味深い記事を物理学を用いて詳しく解説されていますので、興味のある方はお読み下さい。
 

不利ではない理由として、繰り返しますがホイールメーカーのZIPPは舗装路において650Bは700Cと比較して7%空力に優れ、12%軽量であるとの検証結果を発表しています。

・700Cでも650Bでも必要なパワーは同じです。軽い分だけ650Bが有利。

・タイヤ周長の差はギア比とケイデンスでカバーできます、つまり出力するパワーは同じ

・全高が下がるためエアロ効果が高くなる(18mm程度)

他にもクランク長の差も影響するでしょう。

つまり、身体能力を考慮しなければ700Cと650Bを比較すると空気抵抗分は650Bが有利ではないかと考えています。

さらに、バイクの取回しやダンシングでバイクを振る際も振りやすいでしょう。

軽さは正義というのであれば650Bは正義かもしれません。

 

< 追加記事 >

 

 

 

 私は49歳でFTP200程度と貧脚ですが、

Speedmax 2XS 650-28C  TTポジション

Tarmac SL6+レーゼロコンペ 700-25C 下ハンポジションを比較した場合

40kmの脚を残した走行でも1分以上短縮できました。

次回はInflite 2XS 650-28C、つまりホイールは同じでバイクのみの交換でどうなるかテストします。

 

 

Canyon Aeroad Disc 2021モデルならCF SL 2XS 650B

昨年モデルチェンジしたcanyon aeroad disc 2021 モデルなら最上位モデルのCFRやセカンドグレードのCF SLXでは2XSサイズはありますがホイールは700Cが採用されています。

同モデルのCF SLモデルなら2XSサイズから650Bが採用されていますが、ハンドルは高さや幅の調整が効かないタイプでケーブルは外出しになってしまいます。ホイールは前後共Reynolds AR 58 650B DBがアッセンブルされています。

 

最新のハンドルシステムやケーブル内装を諦め、設計上のトーラルバランスを重視するか、我慢してCF SLX以上の上位グレードで700Cにするか‥

これは嫌な選択を迫られますね、身長の低い方や相対的に身長が低い女性に対して、新型Aeroadの上位モデルに乗れないという差別化は世界的なメーカーなのにとても残念です。

ですが、他のメーカーと比較した場合、Aeroad 2021モデルよりCF SLモデルで650Bを設定してくれているところは世界的なメーカーらしく大いに前進しており賛辞を送りたいと思います。

因みにCanyonではAeroadの他、Inflite、Glail、Ultimateなどほとんどの車種で650Bを採用し、メーカーのポリシーとしてユーザーに適切なジオメトリのバイクに乗ってもらおうとしているように思える。

 

後述するスタンドオーバーハイトが合わなければ、ジオメトリや外観のバランスを考慮するとCF SLを選択し、コンポをDi2か無線に交換したほうが良いと思います。YouTubeのインプレ動画では乗り味や走行性能はCFRとCF SLの性能差はプロが乗っても大きく感じないほどと紹介されていました。

Canyon aeroad cf sl7 2XS 650B           

Canyon aeroad cf slx 2XS 700C

まとめと結論

Aeroad CFRまたはCF SLX 700Cのフレームも含めての良い点、悪い点

・ヘッドチューブがちょっと不自然な外観

・ホイールを交換したい場合に多くのホイール選択肢がある(最初からDTswisが付いている)

・最新のハンドルシステムが搭載

・Di2が選べる

・ケーブル完全内装

・DHバーが取り付けできないので巡航重視ではない、トライアスロンには不向き

・トライアスロンしない、ホイール変えたいならCF SLXの2XS 700C

 

Aeroad CF SL 650Bの良い点、悪い点

・適正なジオメトリとバランスの取れた外観

 ヘッド角がXSと同じ71.5°

・全高が低くケーブル外装、エアロ効果は変わらないか上回る

・コンポが105のみでDi2が選べない

・車体、ホーイールなどトータル重量が軽く登りや加速で有利

・チェーンステーが5mm短く掛かりや加速が良い

・リム高50mm以上のホイールがほとんど見当たらない

・700Cと比較して空気抵抗で7%、重量で12%軽量(ホイールのみ)

・加速重視、ヒルクライムするならCF SL 2XS 650B

 

選択基準としてスタンドーバーハイトを考慮(地面からトップチューブまでの高さ)

身長が低めの方がCanyon aeroad disc 2021を購入場合、CFS LXとCF SLではシートチューブやリーチが同じな為、スタンドオーバーハイトを考慮すると良いと思います(2XSでは少なくともタイヤ分は低くなる、股下寸法+シューズ高さ)

つまりサドルから降りた際にトップチューブを跨げるかどうかということです。

同じ2XSでもCF SLX 733mmとCF SL 729mmと4mm CF SLの方が低くなっています。跨げればCF SLX、跨げなければCF SLという選び方もできます。

また、CF SLXとCF SLではBBドロップがCF SLX 72mmとCF SL 57mmと15mmCF SLが高く設定されています。これについては650Bの採用によりホイールの高さ分車高が下がるので重心が高くなる影響は少ないと考えられます。さらにチェーンステーもCF SLが5mm短くなっており、こちらは加速重視になるでしょう。

スタンドーバーハイトを考慮して跨げなければ迷わずホイールが650BのCF SL7.0 2XSを選択し、コンポの105を売却してSRAM FORCE ETAP AXS(無線)ならブレーキホースのみ外装となるし、シマノ アルテグラDi2に交換するのが最適ではないかと思います。

さらにヘッドバーツの交換でハンドルも交換できるのでトライアスロンバイクとしても有効活用できます。

Aeroad CF SLX 8 DISC Di2 609,000円

Aeroad CF SL 7 Disc 369,000円

価格差240,000円ですから12速のSRAM FORCE ETAP AXSでも買えます。

105を売った分でエアロハンドルやDHバーなどのアクセサリも買えます。

身長164cm、股下735mmの私なら微妙なところです、Canyon aeroad disc 2021モデルのハンドルシステムとケーブル外装を諦め、Canyon aeroad CF SL 7.0 Disc 650B"改"もありかなと思います。

 

私の場合は股下735mmくらいで、シューズとクリート(Speed playは低い)の高さで+15mm、合計750mmなのでどっちも跨げますが、トライアスロンでの使用が前提のためジオメトリを考慮するなら巡航重視の650BのCF SL 2XSサイズかな、

さらにトライアスロンでDHバーは必須なので、Canyon aeroadエアロバイクに乗るならDHバーをインストールしてエアロ効果は追求したいのでコックピット周りをステムから交換できるaeroad CF SL 2XSサイズ650Bにすると思います。

 

Canyon aeroad CF SL 2XS 650Bは見るからに速そうです

もちろんですが、Canyon以外のメーカーのエアロロードバイクについても検討していますが、自分の身体に合った小さめのフレームが扱いやすく軽量な650Bのタイヤサイズに特に不満は感じません。