タイトルからイメージするのは、アインシュタインの相対性理論を否定するトンデモ本だ。
しかし実際は、アインシュタインは本当に正しいのかを問う真面目な理論物理学者の理論だ。
重力の問題、宇宙定数の謎、インフレーション宇宙論の地平線、そしてVSL理論から超ひも理論まで丹念に追う。
この本が出版されてから十数年経つが光速(秒速30万キロ)を超える光の存在が証明されたという事を聞かない。
この本からは、何事も定説を疑う事の勇気が必要な事を感じた。
この宇宙の事を説明しようとすると偶然性が入り込んでしまうのは何故だろう。
科学者は「偶然」の正体に迫ろうと悪戦苦闘してきた。
そしてカオス、フラクタル、エントロピーなどを武器に、なんとか「偶然」を理解出来るようになった。
本書は量子の基本、非可逆性、統計力学から情報処理としての人間の脳までを思索する。
時どきこのブログに書いている人間原理の本である。
宇宙はなぜこのような宇宙なのか、偶然の一致にしては、出来すぎていないか?
ノーベル賞物理学者のワインバーグは真空エネルギーの値は、物理学的理由でなく何か別の理由で決まっているのではないかと考えた。
自分という人間が現に存在していることと矛盾しないための値として宇宙の真空エネルギー(宇宙定数λ)は10のマイナス120乗あたりに有ると予想した。
それから十年後超新星の観測結果から引き出されたλの値はゼロが百二十桁つづいたた末に有限の値が現れたのである。
つまり人間原理のアプローチが支持されたのである。
ひも理論が導いた強い人間原理と多宇宙。
我々の宇宙は無数の宇宙のなかの一つに過ぎないのか。
人間原理を自分という個人に適応すると自分の死は、宇宙の終わりを意味するのだろうか。
それとも、自分という存在を生んだ大自然の土になり宇宙と一体になるのであろうか。


