「小澤征爾の芸術的遺産」というBlu-rayがリリースされ一昨日届きました。

 

3時間近い映画「瞳をとじて」を土曜の午後と昨日日曜の早朝に二度鑑賞したので、「小澤征爾の芸術的遺産」を視聴したのはさきほど(月曜早朝)になります。

このBlu-rayは5つのコンサートが収められており、うち2つ(ガーシュインナイトとロシアンナイト)を持っていなかったことに加え、秋山さんがシューベルトの5番を振り、小澤さんが武満さんとブラ4を振る映像は持っていたとしてもレーザー・ディスクなのでダブリを承知で購入しました。

 

昨日、実演を聴いた秋山さんのシューベルトが気になり、4時に目覚めるやいなや聴き始めました。

画面比率は4:3。

秋山さんは比較的お若い頃から今のようなシルバーグレイの頭髪だったのでパッと見はあまり変わりませんが、振りの大きさとキレは昨日のそれとは全く別物でした。

昨日のブラームスも十分に細かな指示を繰り出されていましたが、1989年にサイトウキネンを振る姿は当たり前ではありますが「秋山さんも小澤さんも本当に若々しいなぁ」というものでした。

もっとも、振りの大きさとキレの有無は、音楽の充実と全く別物で、昨日のブラームスは、振りはお若い頃のようにはいきませんが、音楽は素晴らしかったです。

 

本当は、昨日のN響郡山公演が終わって家に向かっているときは、このBlu-rayを視聴するつもりでした。

ところが帰宅すると藤田真央さんの2枚のCDが宅配されており(ショパンの即興曲&スケルツォとパッセージという藤田さん10代最後のアルバムとされるもの)、そちらを聴き出したら止まらなくなりました。

 

妻は、ルツェルンでシャイーの振る藤田さんが弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のBlu-rayを何の予備知識もないまま視聴して一発で藤田さんに魅了されました。

中村紘子さんが、2016年の浜松国際ピアノアカデミー・コンクールの後で「藤田君のラフマニノフの協奏曲に恋しちゃったわ。あの演奏が心に絡みついてどうにも離れないし、夜も寝られない」とおっしゃっていたことを知ったのは最近のことです。

 

妻は、私のように小学生のときからクラシックに耽溺していたわけではありませんが、演奏の良し悪しはかなり明確に分かるようです。

その妻が、藤田さんには本当にはまりました。中村紘子さんの先の発言を知った時、惚れ込み具合という点では「なんだか妻のノリと一緒だなぁ」と思いました。

 

妻が惚れ込んでいるという理由で藤田さんのモーッアルト全集の購入しましたが、私はもう一つ入れ込めませんでした。おそらく私の場合は、ピリスやバレンボイムが沁みついているがゆえの不寛容なのだと思います。

もっとも、妻自身も曲によってはファジル・サイのモーッアルトを聴いて「藤田君。負けた」というくらいですから、藤田さんならなんでもいいというわけでもないようです。実際、先日の山田和樹さんが振るモンテカルロのラヴェルのは???でした。私も昨年のチェコフィルで弾いたドヴォルザークのピアノ協奏曲の快演を聴いていただけに藤田さんのラヴェルは???でした。

もっとも妻の場合、あのラヴェルは「山田さんに問題がある説」で落ち着いていますが・・・要するに藤田さんについては最終的に肯定で着地するわけです。

 

私は、藤田さん10代最後のアルバムという「パッセージ」を妻が喜ぶならいいや・・というくらいの気持ちで購入しました。

モーッアルトの18番に続いてショパンの3番が入っているので「なんちゅう組み合わせや??」くらいに思ってました。

1曲目のリストのハンガリー狂詩曲は「巧いねー」くらいでしたが、モーッアルトの18番が始まって私は一気に集中モードに引き摺りこまれました。

モーッアルトの18番が終わって「そうは言っても、この後、あのショパンの3番の切り込むような1楽章とどうつなげるのかな??」と頭によぎったのも束の間。

いきなりショパンの3番ワールドに持っていかれました。

やっぱり、この人すごいわー・・・

 

9月にはショパン・矢代秋雄・スクリャービンの24の前奏曲を完全収録した「72Preludes」をリリースするそうです。

早く聴きたい!!

 

藤田さんのアルバムと一緒に届いた動物図鑑。

音楽も花も動物も愛してやまないもので・・・こうなります。

 

追記 中村紘子さんが恋した藤田さんの演奏はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番です。