今日は、毎年この時期恒例のN響の郡山公演。
去年は角野隼斗さんがソリストでショパン。指揮は尾高さん。
一昨年はエマニュエル・パユがソリストで指揮は沖澤さん。
サントリー定期とは少し顔ぶれは変わりますが、N響の実力を毎年遺憾なく発揮してくれます。
今日は、なんと言ってもショパンコンクールで反田さんと2位を分け合ったアレクサンダー・ガジェブの私にとって初の実演。CDを愛聴しているのでとても楽しみにしていました。
コンマスはゲストコンマスで長原幸太さんでした。
私は、大植さんが朝比奈さんの後を継いで大阪フィルを牽引していた時期に、ちょくちょく大阪に聴きに行っていたので、大植さんが首まわりを痛めて指揮できなかったときに、長原さんがコンマスとして指揮者なしのオケで今日の演目のブラ4を演奏なさったのを聴いています。
やっぱり指揮者なしって本当に難しいんだなぁ・・・ということを実体験できたという意味では貴重なコンサートでした。ズレそうになると長原さんが弓で大きく合図を出して必死で軌道修正されている姿が焼き付いています。
今日は、長原さんが登場したので思わず隣の妻に「長原さんだ!やった!」とテンション高めのスタートでした。
ところがベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の入りの瞬間からおかしいんです。
私は「聴きなれないホールだからバランスがおかしく聴こえるのかなぁ」と内心思いましたが、終演後に話した妻も全く同じ感想を持っていました。
おおいに期待していたガジェヴも悪くはないんですがもう一つ噛み合わない感じが私はしました。
そうは言っても1楽章のカデンツァは独壇場。
2楽章もピアノが牽引する形で深い音楽を聴かせてくれました。
でも、月曜に聴いた反田さんのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番とどちらがよいですか?と問われたら、迷わず反田さんのそれを選びます。
バーゼル室内管とはツアーも終盤で呼吸もぴったり合っていたというアドバンテージもあるでしょうが、反田さんは自由自在にベートーヴェンを幸せそうに弾いていました。
ガジェヴは今週末金曜のオペラシティのリサイタルでその真価を聴けたらいいなぁと思っています。
後半のブラームスは、終演後の拍手喝采の際に妻が「よかったよね!」と耳打ちしてきましたがとてもよかったです。
終演後、駐車場に向かって歩きながら妻が「秋山さんが、ブラームスが始まるやいなや別人のようで驚いた」と言ってましたが、たしかに全然違いました。
5月23日のN響の投稿に記したとおり「N響のドイツものが得意ってほんとかなぁ・・・何やってもいいんじゃないの」という私の認識は少々誤っていたようで、5月のブラームスの響は極上でした。
今日のブラームスも響に魅了されました。
今年で指揮者生活60周年の秋山さんの指揮に要所要所で反応しながら演奏に打ち込んでいた団員の皆さんも素晴らしかったです。
ベルリンフィルはサントリーの2階から見ていると弦が大海原のように全体でうねるように見えるときがありますがN響もいいですね!!
2楽章の弦の全奏のときにとても心が揺さぶられました。
終演は17時。
18時前には帰宅しましたが、まだ路面が熱いので犬の散歩は19時前に。
日の入りが少しずつですが早くなっているのを実感します。
でもセミの声は確実に大きくなっています。
夕方に聞く、ヒグラシの「カナカナカナカナ」は27度の外気を少し涼しく感じさせてくれました。