今日もサントリーホールです。

ピアノ:チョ・ソンジン

曲目 ラヴェル:ソナチネ
   ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
   ラヴェル:夜のガスパール
   リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」
  (アンコール)
   シューマン:トロイメライ
   ショパン:英雄ポロネーズ
 
今日は言葉を失いました。
言葉を失ったといいつつ、あれこれ書くのも言行不一致の極みなので、言葉少なにします。
 
巡礼の年第2年はメジューエワのCDをおそらく年間数十回聴いてます。
というのはZWIFTというヴァーチャルの自転車トレーニングがあって、世界中の自転車乗りが参戦して競うのですが、その際に私が聴いているのが巡礼の年第2年だからです。
 
落ち着いたら前半のラヴェルと後半のリストの対比がどれほど鮮やかだったかといったことも記そうと思います。
 
チョ・ソンジンがリストを弾き終えた瞬間、爆発的な歓声が起きました。まあ、これは時々あることです。
私が凄いなぁ・・と思ったのは、弾き終えると同時にほぼほぼ会場全員が総立ちになったことです。バックステージのPブロックのお客さんまで、一斉に立ち上がって頭上に両手を掲げて拍手喝采と歓声!!
サントリーホールに通算すれば2000回近く通っていますが、こんな光景に遭遇したことはありません。
 
ここまで聴衆の心を打つ演奏をどう言葉で説明できるというのでしょうか・・・言葉ではけっして伝えることができない凄いものがそこにはありました。
ほとんどの聴衆は第7曲の「ダンテを読んで」を聴きながら、「今、とてつもなく凄い体験をしている」ということを感じ取っていたと思います。
 
クラシック音楽のパワーの現れ方には、大別すると二種類あると思います。
音が宙に消えたとき、今日のように熱狂が会場を支配するとき。
もう一つは、あまりに凄いものを示されて茫然自失してしまい拍手すらできなくなるとき。
いずれもクラシック音楽の深淵を魅せつけるものだと思います。
今日は前者のパワーの最上級のものを叩きつけられました。
 
チョ・ソンジンは、この秋、ラトルとともにブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴かせてくれます。
とにかく何もかもが規格外に凄いピアニストです。
どんなブラームスを聴かせてくれるのでしょう・・・
 
クラシックと出会って本当によかったと思える一夜となりました。