さきほどハーディングが振るフェニーチ歌劇場の2023年ニューイヤーコンサートDVDを改めて視聴しました。
昨日は、一曲目のメンデルスゾーンのイタリアで、私が早々にこのDVDをリタイアしたことをホ―ネック&ピッツバーグのブログ投稿で記したとおりです。
妻は私がDVD視聴をリタイアしたことを知らないので、さっき、昨夜リタイアしたことを伝えました。
「イタリアがダメでさ、止めちゃった」
「どうして?何がダメだったの?」
「シノーポリのイタリアばっかり聴いてるでしょ。未完成が終わっていきなり陽光が降り注ぐあれ!あれ聴いちゃってるから、どうにももっさりしててね」
ここから妻とハーディングのイタリアを聴きました。
「たしかに覇気がないね」
「でしょ」
ということで、その後も聴いたのですが、トータルでは魅力あるDVDだと思いました。ニューイヤーコンサートにイタリアオペラを使い放題なのはウィーンフィルのニューイヤーコンサートと較べるとアドバンテージかな・・・と。
ハーティングのDVDでマスカーニのカバレリア・ルスティカーナがバレエシーンと協演する形で流れました。
当然(私にとっての当然ですが)ゴッドファーザーⅢの終盤のシーンがよぎります。
カバレリア・ルスティカーナが流れる中でマイケルが愛した3人の女性とのダンスシーン。爆死してしまうアポロニア。最後まで添い遂げたケイ。そして亡き愛娘のメアリー。とても心に迫る終盤のシーン。
「当時、コッポラ監督って何歳くらいだったのだろう」と思いネット検索すると、ゴッドファーザーⅢが3年くらい前に監督編集で「最終章」として発表されていることを知りました。
全く知らなかった重要な情報です。
ネット情報では最後のシーンにいろいろ変更があるとのことで、「マジか?」とばかりにBlu-rayを購入すべく検索しました。
検索するとAmazonprimeで今すぐ視聴できることが分かりました。
早速、視聴しました。
最後だけ観るというのは反則とは知りつつ、大きな編集は冒頭とラストということがあちこちで書いてあったので、即、編集版のラストシーンを観ました。
その後、家にあるDVDでオリジナルのラストシーンも観ました。
(Blu-rayも持っていますが、ミツバチのささやき同様Blu-rayが見つからず、発掘できたのはDVDでした。)
私は編集版のラストシーンで号泣し、オリジナルのラストシーンで涙し、それから1階にいた妻を呼んでオリジナルと編集版を観て計4回連続で涙しました。
愛娘が亡くなり声にならない絶叫シーンのアル・パッシーノ。
このシーンを初めてみたとき、監督が絶叫しているアルの声を敢えてカットしたのかと思いました。
ところが、そうではなく、あまりに突然訪れた娘の死を前にしたアルが演じるマイケルの慟哭の深さを伝えるシーンでした。ここが変更されていたらどうしよう・・・と思いましたが、ここは変更なし。安堵。
続く、マイケルが愛した女性たちとのダンスシーン・・・ここが「最終章」で大きく編集されていました。
さらにはラストも・・・
たとえ作品にネガな印象を持っても、滅多なことではこういうところでネガなことは書かない私がちょっとだけ言いたいことがあります。
「なんなん?この編集??」
最後の回想シーン、とっても重要です。
だって、今ある自分は出会ってきた大切な人たちがいるから今の自分があるんでしょう。
アポロニアと妻であるケイがカットされるって・・訳わかりません。
それから最後のマイケルが崩れ落ちて犬がくんくんする名シーン。
私は奇跡のようなショットだと思っていましたがカット。
コッポラいわく「大切な人が皆いなくなっても生きていく苦悩」だそうです。
妻のケイいるでしょ。
生きてますよね。
娘死んだら全て終わりなんかい???
ケイがいるのに命が尽きる・・・これも人生・・・と私は30年間理解していました。
命が尽きる圧倒的なシーンを描いておきながら、30年経って「生き続ける苦悩」に変更・・・ちょとね・・・
絶大な権力を誇るゴッドファーザーが庭で崩れ落ちて亡くなるって、私には「人は死ぬときはひとり」という死生観をあらわした素晴らしいシーンだと心に刻まれていました。
今でも、老いぼれたマイケルのアップを観るだけでジーンとしてしまいます。
私はすべからくアートはそのアートに触れたその人の感じ方が一番大切と思っているので、このブログでも好き嫌いはやんわり記してきました。だから、こきおろすようなことはしてきませんでした。
でもね・・・
初めてゴッドファーザーⅢを観る人は「最終章」ではなくオリジナルのⅢを観てください。できれば、というより本当はⅠから観ないとどうにもならんのですが、Ⅰを観てⅡを観てⅢのオリジナルを観て、興味があったら「最終章」を観てください。
「最終章」を評価する人ももちろんいらっしゃるわけですから、そこは各人の感じ方ですね。
ちなみにゴッドファーザーⅢのマイケルの娘役メアリーを演じたのがコッポラの娘のソフィアだったこともⅢの批判のタネにされたことも知っています。
ブスだのに娘だから起用したとか・・・
そんなことはありません。
ソフィア・コッポラはしっかり演技しています。
先の批判はありがちな批判にすぎないと思います。
コッポラは、娘だけど役者としてきちんと評価したのだと思います。
ただ最終章のラストシーンの回想シーンを観ると「うーん」となってしまいます。
結局は娘かわいいんか・・・と。
3人の重要な女性の2人をカットして娘だけ残すというのはねぇ。
ここまで書いて30回以上観た映画ですが、ハタと気付いたことがあります。
オリジナルにはある最後の3人の女性とのダンス回想シーン。
これは妻ケイの死を暗示していたのかもしれないと。
老いたマイケルが庭にぽつねんと座り、愛した3人の女性を回想し、そこで人生を終える・・そういうことだったのかもしれません。
いずれにせよ再編集版のラストは一生知らない方がよかったな・・と、私は思いました。
メアリー役は、娘のソフィアの前に予定されていた女優はウィノナ・ライダーだそうです。
ライダーのゴッドファーザーⅢの出演は実現しませんでしたが、コッポラはライダーとゲイリー・オールドマン(レオンで超悪徳警官を演じたあの人。ベートーヴェンも演じてますね)で「ドラキュラ」を2年後に撮ってます。
この映画、凄いです。
エンドロールで流れる「ドラム」という曲。
全編を観た後で、この曲を聴くと、今、恋をしている人なら心が震えると思います。
この映画が公開された私が30歳の頃・・心が震えまくりました。
エンドロールでグッと来たのはコッポラのドラキュラと邦画の「ヤクザと家族」です。
キングヌーの常田大希さんがやってるミレニアム・パレードから井口理さんが歌う1曲が使われています。
インタヴューで常田さんが「試写を観てエンドロールで号泣してしまった」と語っていましたが、私も涙しました。
ちなみに劇場で観て、改めて観るべくネットフリックスを契約しましたが、ネトフリはエンドロール・・なんとカットされてました。
ここでも編集でこけました。