今日は夢の話なので戯言です。
20代の頃に見た夢ですが、何十年経ってもリアルに覚えているし、私のポリーニとハービーに対する憧れを投射するような夢なので記しておきます。
どこか外国の格式高いホールの楽屋口を出てステージ手前に私はいました。照明に照らされたグランドピアノが見えます。
タキシードを着たスタッフらしき人が「今日はポリーニでいきますか?それともハービー?」と私に問います。
私はバッハの平均律の1曲めしか弾けないことを自覚しています。
でも関係者らは私を偉大なピアニストと思っています。
私は、ポリーニにしようかハービーにしようかまだ迷っています(どっちも無理なのにね)。
スタッフに答えないままステージに歩み出した私に聴衆はスタンディングで拍手喝采。
「どうしよう・・人さまの前で弾けるような技量もないのに・・」
と思いながらピアノに歩みます。
「スタンウェイじゃなくてベーゼンドルファーなんだ・・」
そんなことを思います。
ピアノの前の椅子に座って・・・あー、困った・・・私、弾けないんだよ・・・そこで目が覚めました。
ポリーニとハンコック、クラシックの世界とジャズの世界の最高峰のピアニスト。
あなたはどちらにもなれますよ。
どちらを選びますか??
と私は夢の中で問われたわけです。
夢の中でも答えは出ませんでした。
この2人はどれだけの幸せを私に届けてくれたことか・・・
ポリーニが昭和女子大人見記念講堂(記憶違いならすみません。NHKホールだったかも)でベートーヴェンの熱情を弾いた映像をNHKで観ました。3楽章のギアチェンジするところで、本当に発火しました。
既にショパンのエチュードのレコードでどれほど凄いピアニストか知っていましたが、これほどまでに凄いのかと思い知らされました。
(ちなみに同時期にリリースされたアシュケナージのエチュードはポリーニと比較され、ネガな評価が多いですが、素晴らしいエチュードです)
後にポリーニのベートーヴェン全集には入っていませんが、熱情のライブはグラモフォンから出ています。あの日の熱情を聴けるかとゲットしましたが、日本での演奏を超えるものではありませんでした。
あの日のポリーニは鬼神でした。
10年以上前になると思いますが、ポリーニがサントリーで平均律を弾きました。この頃、私は耳鳴りに悩んでいて、コンサートに行っても「あー、うるさいなあ・・・」とシーという音に困っていました。
ポリーニのバッハを聴き終えて、私は「あれっ・・・今日は耳鳴り忘れてた」と気付きました。それくらい全てを忘れさせてくれる夢のような平均律でした。・・・と記していてもう一人、夢のような平均律を聴かせてくれたピアニストを思い出しました。
ダニエル・バレンボイムです。
サントリーで2日かけて全曲弾いてくれました。
この2日間も、思い出すと涙が滲むようなあまりに美しい時間でした。
(今、思い出して・・本当に涙が出てます)
初日は一曲ごとに拍手をする困った人がいて2000人が辟易しました。
何曲目かで、バレンボイムが右手で「止めろ!」と制しました。
休憩のときに「止めてね・・」というアナウンスも流れました。
バレンボイムがドレスデンでブラームスチクルスをやったときも3番の音が消えると同時に「ブラボー!」とやったアホがいました。
バレンボイムは「あー、なんなんだよ」と首をグリグリしてました。
休憩のときに「曲が終わった時の拍手は・・・」というアナウンスが流れました。
閑話休題。
ハービー・ハンコック。
私が、こんな風にピアノが弾けたらどれだけ幸せだろうなあ・・と思ったのは81年のロン・カーターとトニー・ウィリアムスとのトリオでのレコーディングです。77年の盤も至宝ですが、81年は神ってます。
オールドブラックマジックのブラシで叩いていたトニーが後半スティックで全開放するところもあり得ないくらい凄いです。
ポリーニとハンコック、ジャンルは異なりますが、二人とも「人間って凄いなあ・・ピアノという楽器一台でこんなことできるの??」レベルのピアノを平然と弾く神のようなピアニストです。
若い頃、私は、こんな風にピアノが弾けたらどれだけいいんだろう・・・と思っていたんでしょうね。
私は冒頭で記した夢を二度も見ています。
シュチュエーションは聴衆もスタッフも私が空前絶後の世紀の大ピアニストと思い込んでいるというものです(コワッ)。
でも・・・本当に神様がポリーニかハービーかどちらか好きな方にしてあげるよ・・・と声をかけてくれたら・・・
馬鹿げた話ですが30年くらい前に目が覚めたとき、私は本当に「どっちを選ぶのか?」と考えました。
30年以上経ちますが、今でも答えられません。
今、テンペスト・イン・ザ・コロシアムというハービーの田園コロシアムのCDを聴いてます
VSOPというタイトルで投稿した奇跡のライブの2年前のものです。
スイングジャーナルではアメリカのライブ盤に較べると落ちる、と書かれていたライブ盤です(40年前のことなのにどうしてこういうことは覚えているんだろう??)
全然落ちません。
凄いです。
ハービーもフレディもウェインもロンもトニーも全員何から何まで凄いです。
神は神です。
昨日の弁慶橋。
桜満開。
このあと親友と寿司食べました。
幸せな一日でした。
幸せの余韻がポリーニとハービーを思い起こしてくれました。