2024年1月28日 白河コミネス

小林研一郎&群馬交響楽団

 

私がバラ栽培を主として行っているのは、那須方面のセカンドハウスなので、家から車で30分ほどの白河コミネスにコバケンさんがいらっしゃると駅のポスターで知り馳せ参じました。

実は、前日のポゴレリッチと今日のコバケンさんは妻と一緒に行く予定でチケットを2枚押さえていたのですが、妻が怪我をしてしまい、昨日のポゴレリッチは友人に譲ることになりました。ポゴレリッチ初体験の友人はいたく感じ入ってくれたので良い人に譲れてよかったと思ったのですが、こちらのチケットは譲り先が難航し、結局、当日券を求める人に譲ることにしました。

ちなみにポゴレリッチを譲った友人は、来年読響でポゴレリッチが弾くことを知るや「絶対行く」と言ったので、彼にとって初ポゴレリッチは相当のインパクトがあったようです。

 

白河コミネスの当日券売場に着いたら、売場でちょうど代金を渡そうとしていたご婦人がいらしたのですが、主催者もあとはチケットを渡すだけというタイミングでの横槍はあまり気持ちのいいものではないだろうと思い声掛けを控えました。

ところが開演7分前になっても誰も当日券売場に現れないので「今日は一枚無駄にしちゃうけど仕方ないか」と思い始めた矢先、20代半ばの青年が当日券売場に歩を進めているのを発見。

「あのー、チケットお譲りしますけどいかがですか。もちろんお代は結構です」と声をかけると

「えっ、タダなんですか。わー、ありがとうございます」

ということで譲り先決定。

トイレに行って席に着くと先の青年が「こんないい席を・・・せめて半額くらいお支払いさせてください」と申し出ましたが「あなたが引き取ってくれなかったら、まだ私のポケットで眠っていたチケットです。聴きたい人に使ってもらえればこんな嬉しいことはありません」として固辞。彼はクラシックコンサート初体験とのことで、昨日に引き続き最適な人にチケットを譲ることができました。

前半は金川真弓さんのヴァイオリンでシベリウスの協奏曲。

まあ、まずまずといったところ。

でも青年が大感激してくれたので少し幸せ。

 

後半はブラ4。

実はこのコンサート、プログラムによっては見送りもありえました。

昨年11月に聴いたぺトレンコ&ベルリンのブラ4があまりに凄すぎて、ブラ4を実演で聴ける機会があるならそれを逃す手はないな、という選択でした。

ぺトレンコのブラ4は、ラトル&ベルリンの日本最後のツアーでも強烈なブラ4を披露してくれましたが、それを上まわる強靭極まりない演奏でした。「腰が抜ける」ほど驚くといいますが、終演後、本当に立ち上がれないほどの衝撃でした。

私が初めてブラ4を実演で聴いたのは20代の時にバレンボイム&シカゴ響で、それ以来、幾度となく実演に接してきた大好きな曲です。

 

この日のブラ4は、4楽章のフルートソロ以降の燃焼度が素晴らしかったです。フルートソロ以降と書くとフルートソロはいまいちみたいですが

そういうことではなく静なるフルートソロをブリッジにして対岸に渡りそこで動の世界に突入したという意味です。

私は、この指揮者凄いなあ・・、とかこのピアニスト凄いなあ・・と感じられるコンサートのよさを否定するものではありませんが、本当に心が震えるコンサートは、この演奏者凄いなあ・・ではなく、この作曲家(今日で言えばブラームス)凄いなあ・・・と感じさせてくれるものだと思っています。今日はコバケン&群響凄いなあではなく、ブラームスの素晴らしさを伝えてくれる演奏を聴かせてもらえました。

アンコールはダニーボーイ。

コバケンさんはいわきのご出身ですが、第二次世界大戦中白河に疎開されていたそうです。

だから白河は第二の故郷だそうで、母が子に「戻ってきておくれ」という歌詞のダニーボーイがグッとくるとのことで、この曲をアンコールとして選曲されたそうです(と、マイクでお話されました)。

私は、あまりそういった背景事情に引き摺られる方ではないのですが、いろいろなことが去来してグッときました。

 

なお、いつもつけているコンサートのポスター写真は今回ないので、私の育てているバラの写真をつけます。

 

↑シェエラザードという日本の育種家、木村卓功さんの作品です。