衝撃その1
クラシック音楽との出会いは小学2年生の頃と記憶しています。
もう50年くらい前のことになります。
生まれ育った地方都市にN響(大阪フィルだったかも)が来てくれました。
指揮者は覚えていませんが、ピアニストは野島稔さんでした。
亡父が言うには「皇帝を弾くピアニストを身を乗り出して観ていた」そうです。
野島さんのことは最近では藤田真央さんの師匠として耳にすることが多いですね。
それからというものターンテーブルがEP盤のサイズのポータブル―プレイヤーのターンテーブルからはみ出る家にあったクラシックのLP盤をいつも聴いていました。
中学生になって父親のおさがりのステレオセットを使わせてもらうようになってからはLP盤が乗るプレイヤーで小遣いで買った月に1枚のレコードをひたすら聴いていました。
令和5年夏に休刊となったレコード芸術もその頃には読み始めていました。
衝撃その2
大学進学で東京に来てからは在京オケを時々聴いていましたが、それほど感動した記憶はありません。
むしろレコ―ドで聴くベーム&ウィーンフィルを聴いていた方がよいなあ・・と思っていました。
大学は卒業していましたが、お金にとても不自由していた頃に小澤征爾&ボストン響とショルティ&シカゴ響が来日しました。なけなしのお金でそれぞれNHKホールと文化会館の末席で聴きました。
野島稔さん以来の衝撃でした。
「超一流オケを聴くことは何ものにも代えがたい素晴らしい経験になる」と確信しました。
他のことに使うお金を削ってでもできる限り会場に足を運ぶようになりました。
衝撃その3
サントリーホールのオープンは第3の衝撃となりました。
オープニングシリーズのために来日したスラトキン&セントルイス響のマーラー1番をPブロックで聴きました。
バックステージから指揮者を正面から見たのも初めてでしたが、なによりもホールの響の素晴らしさに圧倒されました。
30代になってお金をコンサートにつぎ込めるようになってからは多いときで年に100回近くサントリーホールに通うようになりました。
サントリーホールに通うために自分の仕事場をサントリーホール徒歩10分以内にしたほどです。
そうこうするうちに、野島稔さんに開花していただいた素晴らしいクラシック音楽と触れ合うようになって早半世紀が過ぎました。
クラオタの諸兄のブログを楽しく読ませていただくにつけ、私も心に残ったコンサートをこんな風に記録できたらいいなあ・・と思っていましたが、なにしろブログの開設など自力でできるはずもなく(ひとえにスキルの問題)年月だけがいらずらに過ぎていきました。
昨年秋、サントリーホールに通い詰めたファーストクラスオケの来日ラッシュの頃に、再びブログ開設を思い立ちましたが、スキルのなさと忙しさにかまけて年が明けてしまいました。
年が明けて年初から当りのコンサートが続き「今年こそはブログに大事な記憶を記すぞ」と決意し、スタッフにそのことを話すと「そんなの簡単ですよ」ということで、その日に開設してくれました。
これから1月の東フィル、N響、ポゴレリッチのことなど書いていこうと思います。
ブログタイトルの「クラシックとバラの日々」はジャズのスタンダード「酒とバラの日々」に由来します。
クラシックと並び私を魅了してやまないバラの育成についても並行して記していこうと思います。
クラシックとバラは、こちらが本気で向き合えば向き合うほど大きな幸福を返してくれるところが似ていると思います。
バラは「女王」と称される植物ですが、とにかく手がかかる。
でも手をかければかけるほど綺麗な花を咲かせてくれます。
クラシック音楽は音が消えてしまえば記憶にしか残らない、バラも開花して1週間か10日でしおれ土になり、その美しい姿と香りは私の記憶とせいぜい私のスマホのフォトフォルダーに残るだけです。
たくさんの幸福を送り届けてくれるクラシックとバラを、これからこのブログに記していこうと思います。