映画『アイ・アム・デビッド』さあ泣いて。 | haienaのブログ

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この十年くらいでしょうか。

自分にはカラオケで遊んだという覚えが

ありません。

十年というと大袈裟やもしれませんが、

それくらいご無沙汰しているわけであります。


以前、カラオケに行った際に

必ず歌っていた曲があります。

「赤いスカーフ」

宇宙戦艦ヤマトのエンディング曲なのかしら。

曲調はひどく昭和だ。ムード歌謡の印象だ。

何より歌詞が凄い。

(記憶に頼って書きますので、間違いもあるかと)


あの娘が振っていた真っ赤なスカ~フ♪

誰のためだと思っているのか

誰のためで~も、いい~じゃないか。

みんな、その気でいれ~ばいい・・・


ちょっと思い出しまして。

余計な話をしました。失礼致しました。


映画『アイ・アム・デビッド』でございます。


映画を観て泣くというのは、ひどく心地の良い

ものです。

心が晴れます。明日からはもっと清浄な人間に

なってやろう、そんな考えにも向かいます。

もちろんそんな心持ちは短命ですが。

とにかく良いものです。

故、自分は映画観賞において、いつも泣く機会を

執拗に探してしまいます。


しかし近頃のどんな映画を観ても

泣けない自分でございます。

登場人物がメソメソしていると

「何が哀しいってんだ!」というような

宜しくない心理まで覚えます。


それで『アイ・アム・デビッド』のお話をしようかと。

白状致します。泣かされました。

この映画は自分においては

最近の映画という把握でございます。

最近の映画でこんなに負かされるとは。


ブルガリア。圧政により収容所にて強制労働に

就かされている少年デビッドが主人公です。

様々な事情が在って脱走叶い、デンマークへと

向かうデビッド。旅物語といっても構わないと

思います。


このデビッド君が泣かしてくれます。

自分は子供が主人公の映画ではおよそ

泣きません。

「僕ってかわいそうだろ!」という調子で

くしゃくしゃに泣いたりされるとゲンナリして

しまう薄情な自分であります。

デビッド君は違います。凄い演技だなと

感心致しました。

目が凄い。過酷な生活の反映というのか、

虚無と恐怖の映る目、

少年のようでそうではないような悩み果てた表情など

そこらへんの子役では到底やれません。


物語も神的な気配があり、人間の心の尊さが

大袈裟にではなく、自然として描かれていて……

ジム・カヴィーゼルさんも出演されていらっしゃるの

ですが、本当にこの俳優さんは素晴らしい。

あれだけの美男でありながら、二枚目俳優の路線

に終始しない。喪失や挫折、傷ついた男を

演じさせるなら、この人だ。暗い男前であります。


ラスト10分くらいだろうか。猛烈に泣きました。

「ダミアン・ライス」さんというミュージシャンを

ご存じでしょうか?

ダミアン・ライスの『Cold Water』という曲が

流れるのですが、いやはや……

まるで、この映画のためにあつらえたよう。

『ニューシネマパラダイス』のエンニオ・モリコーネ

の楽曲も泣かせてくれますが、

それに勝るとも劣らない名曲(まったくジャンルの異なる

音楽なので比較するのは下らないのですが)


とにもかくにも泣けます。泣けると先に言われていると

泣けないこともありますが、この映画は別であります。