. 山口桃華さん(TS)、ついに神秘のベールを脱ぐ♪

 

 2020年6月26日、大和ミュージックで、ついに念願の山口桃華さんの絵をGETした。私の創作童話「雪女」に呼応して、かわいい雪女のイラストを描いてもらった。絵が上手いのは分かっていたものの、改めて眺めると、やはり素晴らしい出来栄えであった。ついに、私のイラストcollectionに新たな一ページが加わった。

 ちなみに、私は前日の25日から大和に行き、童話を渡したのは前日のこと。コロナ明けで三回公演だったので最終公演までいた。午後22時くらいかな。今週は桃華さんがトリだった。桃華さんは私が最終回まで残っていたことにすごく感激していた。ふだんの私は最終回まで残ることは殆どない。今回は三回公演のため例外であった。そんなことが桃華さんの心を打ったのか分からないが、最終のポラタイムで「また明日も来るね」と別れ際の挨拶をしたら桃華さんから「ありがとう。今度必ずお絵描きするからね!」という言葉が返ってきた。

 私は一瞬、その言葉を「えっ! ほんとうかな⁉」と驚きつつ受け止めた。

 そして、翌日26日の一回目ポラのとき、桃華さんから絵が渡された。

 そのとき私は天に上るような気分になった。

 

 実は、私がお絵描きブームになって三年近く経つ。

 新人好きと言われていた私が、今やお絵描きをしてくれる踊り子さんを中心に追いかけている。信じられないが事実である(笑)。そして、そのことは踊り子さんの周知の事実として広まっているはず。「太郎さんに応援してもらいたければお絵描きをする」それが踊り子さんの常識になりつつある。新人にそうアドバイスしているベテランのお姐さんもいるようである。絵が上手い下手は全く関係ない。とにかくお絵描きをしてくれる姿勢があれば私は喜んで応援させてもらっている。

 

桃華さんには三年前から「よかったらお絵描きしてね!」とお願いした。

桃華さんはよくボラの裏に絵を描いてくれていた。めちゃくちゃ上手い。ファンの間で桃華さんは絵の上手い踊り子として評判になっていた。もちろん私も描いてもらったことがある。そのため、お絵描きのおねだりも気さくに行えた。桃華さんも気さくにOKしてくれた。

私は童話と一緒に、たくさんの踊り子さんに描いてもらった絵を同封した。絵を描いてもらうことは私の童話が面白いという証拠になる。興味がなかったら絵は描けないはず。その絵を桃華さんは興味深く眺めた。「みんな上手に描いているわね」と思ったことだろう。そして、さっそく自分も描き始めた。「今日、描いたら渡すね」と言う。私は楽しみに待っていた。ところが上手く描けないようだ。「明日もう一度書き直してみるわ。もう少し待って!」と言う。私は急いでいるわけではないので、いつまでも待つ。桃華さんはきっと上手に描いているのだろうが、どうしても自分で納得しないのだろう。「私はもっと上手く描けるはず」腕に自信があればますますそうなるだろう。私はそんな桃華さんの気持ちがよく分かった。ともあれ、そうなると、桃華さんはなかなか私に絵が渡せなくなった。

私としては上手な絵を求めているわけではない。大好きな踊り子さんである桃華さんの絵を持っていることが自慢なのである。できれば他の人にも見せて自慢したいところ。

私の気持ちが分かっているとは思うが、桃華さんは私に絵を渡すことに慎重になっていく。

 

それから三年の年月が流れた。

 私はお絵描きしてくれる踊り子さんを中心に応援を回っていた。そのためか、まっすぐ桃華さん目当てで劇場に行かなくなった。しかしTS系の劇場に行くことが多いため、桃華さんとはよく会った。会えば必ずポラを買い、お絵描き用の用紙を同封する。

ときに「今年の目標は桃華さんにお絵描きしてもらうことだ」と桃華さんに笑いながら話す。しかし、なかなか実現しないまま年月が過ぎ去った。

 私はお絵描きは過剰サービスだと思っているので、お絵描きしてくれないから応援しないなんて全く思っていない。だから、桃華さんともふつうに接した。不思議と、踊り子を引退する前にいつか描いてくれれば十分だと割り切っていた。

 なんというか、私と桃華さんは、お互いに求めていることは分かっていながら、なんとなくそっけなく接している恋人のような感じに思えた。

 私にとって桃華さんは私の童話を愛してくれている大切な読者である。桃華さんはデビューからもう12年間もずっと私の童話を読んでくれている。しかも、すごく褒めてくれる。私は桃華さんの励ましがどれほど心強かったことか。童話は私自身。いや私以上に私自身だ。その童話を愛してくれていることは間違いなく私も桃華さんから愛されているのだ。

 これまでも桃華さんがお絵描きしてくれそうな気配を感じていた。最初はポラ袋にお絵描きしてくれた。二枚も。そのポラ袋を他の踊り子さんに見せると、みなさん「すごく上手な絵ね。誰が描いたの?」と聞いてくる。それだけ桃華さんの絵は抜群なのだ。ただ、ポラ袋だとコピーして他の人に見せることができない。私としては是非A4用紙に描いてほしいところ。

 今回の大和の前の週に、上野で桃華さんがポラの裏にお絵描きしてくれた。私の童話に沿った、アマビエとちんぽ三兄弟の絵だ。桃華さんが自分で作ったキャラクターだ。これは貴重である。特に、ちんぽ三兄弟のイラストはキャラクターとして採用したいレベルの出来栄えだ。簡潔に描けて、しかもかわいい。これを是非ともA4用紙に描いてほしいよー。そのことを手紙にもお願いしていた。

 そうした状況下、お絵描きが実現する下地ができていたように思える。

 そして、遂に遂に、お絵描きが実現した。

 

 私は夢を見ていた。

 三年間、是非とも付き合ってほしいと求愛を続け、ついに口説き落とした。私と桃華さんは初めての夜を迎えた。そして、二人の愛の結晶が出来上がった。それが今回の雪女の絵なのだ。

 これで私は十分に満足している。

 でも、あわよくば、ふたつ、みっつと愛の結晶を増やしたいとも思う。

 私はこれからもアタックし続けたい。

                                   

2020年6月                        大和ミュージックにて

 

 

 

 

 

 

■絵の管理について

 

 今やものすごくたくさんの絵がストックされている。私のそれぞれの童話に対応して、どの踊り子さんが描いてくれたものかを管理番号を付けて整然と整理している。整理用のファイルがある。私のコレクションは膨大なデータ化されている。事実、そうしないと収拾がつかないのである。しっかり整理しておかないとテキパキと踊り子さんに渡せない。童話など文章の管理だけでも大変なのだが、それに付帯した絵のデータ管理を合わせるとかなりの事務量となっている。毎週毎週、どの劇場に出演している踊り子さんに次にどんな文章と絵を渡すかをスケジュールするだけで膨大な時間を費やしている。それが私の日課なのである。そして執筆とともに、それが私の楽しい時間の過ごし方なのである。

 管理票には、左の欄に所属毎に踊り子の名前を並べ、右に頂いた絵の管理番号を付っていく。どの絵が私の童話に関係するかを別途コード化している。そして、童話ごとに絵の現物をファイルしておく。これが本棚に並んでいる。

最初のうちは絵を描いてくれる踊り子は少なかった。羽音芽美さんを始め、KAERAさん、浅葱アゲハさん、虹歩さん等からスタートしていった。次第にその数が増えていくわけだが、その中でもTS系列の踊り子さんが多いのだが、描いてくれそうな方を最初に名前を羅列していた。そして実際に描いてくれた人にはどんどん絵の管理番号が増えていく。新たに描いてくれた人はどんどん追加されていく。その中で、最初に山口桃華さんは必ず描いてくれるだろうと期待して最初に名前を登録していた。

こうした管理をしている中で、山口桃華さんだけが一枚も絵がたまらなかった。

でも、私はいつかは描いてもらえるものと信じて名前の登録を消さなかった。