今回は、MY童話マンガ化の、この一年を振り返って、「絵は踊り子さんの真心だ」という題名で語りたい。

 

 

Ⅰ.前置き

 

ちょうど昨年の今、H29年10月頭のシアター上野で羽音芽美さん(晃生所属、愛称メイミン)が初めて私の童話「うさぎとカメのかけっこ」をマンガ化してくれた。本当にびっくりした。それまで、自分の童話を漫画にしてもらうなんて考えもしなかった。ましてや踊り子さんに。ほんと夢のようだった。

うまく描けたメイミン自身も面白かったようで、すぐに続編をリクエストされた。これを皮切りに、ストリップ童話「森のストリップ劇場」シリーズは凄いスピードで展開していった。そして未だに、ディズニーやジブリ等の新しいテーマで書き続けている。メイミンにはいくら感謝しても足りないほどだ。

あれからちょうど一年が経つ。今や、どこの劇場に行っても、私に絵を描いてくれる踊り子さんがいるようになった。これまでは楽しく手紙交換してくれる踊り子さんを中心に劇場を回っていたが、今や絵を描いてくれる踊り子さんを中心に劇場を回っている状況である。以前は熱烈な新人好きとも言われていたが、今は全く新人にこだわっていない。ほんと以前の私から想像もつかない信じられない事態であり、合わせて私にとって悲鳴をあげたいほど嬉しい事態でもある。

 

私はかれこれ20年のスト歴になる。私の場合、たまたまストリップと執筆の趣味が重なった。ストリップだけだったら途中で飽きてしまい劇場通いを辞めてしまっていたかもしれない。それだけ、ストリップ童話の存在は私の中で大きい。

私が踊り子さんのステージからインスピレーションを受けて童話を創造する。そのストリップ童話をプレゼントする。踊り子さんとすれば、自分のステージを童話にしてもったのである、そんな‘世界でたったひとつの自分が主人公の童話’であるから、嬉しくないはずがない。だから喜んで読んでくれる。私としては大好きな踊り子さんに心から喜んでもらい、しかも私の読者になってもらえるわけだから二重の喜び。ストリップ童話を書けるのは私だけだから、次第に私は踊り子さんの間で有名になった。

ただ、私のストリップ童話がどれだけ面白いかは別問題。踊り子さんは自分の童話は喜ぶが、自分に関わるもの以外の童話を必ずしも面白がらない。私は童話を書くのが趣味とはいえ、やはり執筆者として誰にでも喜んでもらえるようなものを書きたいと思っている。この20年近く、試行錯誤しながら書き続けてきた。

 

Ⅱ. MY童話マンガ化の進展

 

最近では踊り子さんの手によるMY童話のマンガ化が進むようになる。

まずは、この一年間のMY童話マンガ化の進展具合を少し詳しく話してみたい。

考えてみれば、私はこれまで踊り子さんに絵を描いてほしいというのは禁句と思っていた。踊り子さんに色紙を頼む人を見かけたり、中にはその色紙に絵を描いている踊り子さんがいるのは見て知っていた。しかし、それは特別に絵心のある人に限られていると思っていた。なにせ絵を描くというのは手間がかかるから、忙しい踊り子さんにそんな面倒なことをお願いしたら嫌われるだろうと勝手に思っていた。

最初にメイミンが描いてくれた漫画を他の踊り子さんに見せたとき、皆さん一様に驚き、かつ面白がってくれたが、誰も自分から進んで「じゃ、私も描いてあげるわ」とは言わなかった。それは、ひとえにメイミンの絵が上手すぎたからだ。とても、メイミンのように上手に描けると思わないだろうからね。たしかに漫画というのはコマワリなど特殊な技能が必要で、とにかくセンスが要るし手間がかかる。メイミンは最初のうち楽しそうに数話描いてくれたが、すぐに体調を崩し休業してしまった。本当に残念だった。

そんな中、長年仲良くしている踊り子さんの中で「よかったら、私も描いてあげようか」と気さくに声をかけてくれた踊り子さんが現れた。TSのKAERAさんだ。そして同時に、彼女の仲良しの浅葱アゲハさんが、KAERAさんが楽屋で描いているのを見て「私も描いてあげる」となった。次にこの二人と仲良しの虹歩さんまで加わった。こうして大御所トリオが私の専属漫画家になってくれた。三人ともそれぞれ個性があって絵に味がある。これは凄いことになったという実感があった。実際にこの漫画が踊り子さんの間で大反響となる。なにせ、この三人は踊り子さんの間で人望が厚いから、MY童話を全面的にバックアップしてくれた影響はめちゃくちゃ大きい。

 次にマンガ化に協力してくれたのが若手の松本ななさん(東洋所属)。彼女の漫画がこれまた素晴らしかった。今思うと、ちょうどストリップ童話「森のストリップ劇場」シリーズが後半に入る頃で、「バレンタインの日」「桃の節句」「ホワイトデーを迎えて」の連続三部作が物語全体のひとつの盛り上がりになっていた。その中で、ななさんが素晴らしいタッチで「バレンタインの日」「桃の節句」を漫画にしてくれた。他の踊り子さんがみな絶賛していた。できたら最後の「ホワイトデーを迎えて」も是非ともななさんの手で漫画にしてもらい三部作を完成させたいと願っている。

こうして探してみると、踊り子さんの中で、漫画が好きで、絵が描ける方は何人かいた。ここからMY童話マンガ化の次なるブレイクが起こる。

この時点までは、ストーリーを付けたマンガ化ばかりであったものを、それだと作業が大変なので単品のイラストを求めるようになった。そうしたら、皆さん絵を描いてくれるようになる。

最初に、晃生の新人・北原杏里さんがお絵描きが大好きと知り、頼んだら喜んで毎回のポラ時にお絵描きをしてくれるようになった。昔、自分の娘たちにお絵描きしてもらったのを思い出す。私は踊り子さんがみな自分の娘のように感じていた。太郎チルドレンと呼ばれている方々にどんどんお絵描きをお願いし始めた。すると殆どの方が喜んで対応してくれるようになる。他の踊り子さんの絵を見て、私が絵を描いてもらうのが好きと分かった踊り子さんがどんどん協力してくれる。こうしてMY童話マンガ化のビックバン現象が起きる。

私の踊り子さん秘蔵コレクションがどんどん貯まる。このコレクションを見て驚き、協力してくれる踊り子さんまで現れる。その一人がTSの鏡乃有栖さん。「踊り子さんそれぞれの絵がすごく特徴があって面白いと思いました」と言って、自分でもセーラームーンの絵を描いてくれた。世のストリップファンには、ポラ写真を丁寧にアルバムに整理し保存している人も多く、中にはポラ写真だけでなく「俺は300枚ももっている」と自慢する下着のコレクターもいる。男はとかく蒐集癖があるからね。まぁ、私の絵のコレクションも同じようなものだが、下着集めよりは趣味がいいよね(笑)。

 

もうひとつ付け加えておきたいのが、踊り子さんの絵が私の童話に与えた影響について。

踊り子さんから絵(イラスト)を描いてもらうにあたって、なにも私の童話に限ったネタばかりではない。踊り子さん自身が好きなキャラクターや絵を自由に描いてもらう。その中に非常に面白いものがある。

例えば、渋谷道劇の本城ナナさんは漫画で絵日記を描いてくれた。キティに似た猫が主人公で、毎回の公演に合わせたストーリーを展開している。そういえば、私の童話に猫のキャラクターがいない。そう思っていたら、同じ渋谷の星乃結子さんも星乃にゃんこを、西川口のJUNさんも猫のじゅんこを描いてくれた。またロックでは、星崎琴音さんがツイッターで話題のネコのホイップ、雪見ほのかさんが自己のキャラクター雪猫を描いてくれた。猫は人気あるよねー。そこで、この際と、猫キャラだけ集めた101匹猫ちゃん構想を童話で書いてみる。もちろん踊り子さんが喜んでくれる。更に猫キャラが増える。この際、48人のグループにすれば一気に101匹猫ちゃん構想も実現しそう(笑)。

ときに、踊り子さんが自分の好きなキャラをリクエストしてくることが多い。これがMY童話のスパンを無尽蔵に広げてくれた。

最初はTSのKAERAさんがサンリオのキキララを、次に浅葱アゲハさんがなめこちゃんを。特にサンリオキャラは私のストリップ童話「森のストリップ劇場」シリーズの物語進行の中で非常に大きな位置を占めていくようになる。

最近では、ロックの中条綾乃さんがプリキュア、ミニオン、ボスベイビーと次々に童話のリクエストをくれた。私自身、こうしたユニークなキャラクターに完全にはまった。面白いキャラクターたちが新しい話のネタを次々と運んでくれる。お陰で、新しい「サワティ王子のストリップ物語」シリーズにつながってきた。

私の童話マンガ化はこうしてスパイラルに進展していった。

 

Ⅲ. MY童話マンガ化の感想

 

この一年を通して、MY童話マンガ化で感じたことを今回まとめてみたいと思う。

 

Ⅲ-(1).踊り子が絵の上手な理由

 

まず、「なぜ踊り子さんはこんなに絵が上手なのだろうか?」という点について。

ひとつは、女の子は小さい頃からお絵描きが好きでたくさん描いているから、お絵描き以外のものに興味が向かう男の子に比べて、当然に上手いはず。自然と絵心が培われる。時にプロの漫画家並みに絵が上手な方がいる。そうした方は学生時代に美術部にいたり、美術学校を出ていたりする。メイミンも服飾デザイナー学校で絵を修業していた。ところがそういう特別に絵の勉強していないという方も多い。劇画タッチで素晴らしいイラストを描く星崎琴音さん(ロック所属)に「どこで絵の勉強をしたの?」と尋ねたら「特に絵の勉強をしていない」と言う返答に驚いた。ほんと女の子というのは素晴らしい才能を持っている。これは私の三人の子供たちを見ていてもよく実感できること。(長男に比べて二人の姉妹は全く違ったもんな♪)

言い方を代えると、女の子にとってお絵描きとはお化粧なんだな。毎日せっせとお化粧をする感覚でお絵描きができるんだ、きっと。その点、お化粧なんて殆どしない男子にとってはお絵描きなんて面倒くさいことは一切ダメ。ただ絵描きを趣味にした男子は例外。男の子は趣味・プロ化したらとことんはまるし、それに伴う蒐集癖(コレクター)も半端ないけど。まぁ~私を含め一般の男子はお絵描きはダメだね。(笑)

 

そうした女の子全体の中でも、踊り子というのはちょっと特殊なところがある。

ひとつは、「踊り子さんって器用な方が多い気がします」とある踊り子自身が話してくれて、なるほど!と感心した。職業柄か、なんでもテキパキこなせるタイプが多いようだ。たしかに、のんびりタイプではストリップという仕事はやっていけないだろうな。

もうひとつは、踊り子は表現者(アーティスト)だから、本能的になにかを表現したくてたまらないこと。踊り子はたまたまステージで踊ることで自己表現しているが、本来それは歌でも絵でも文章でも何でもいいのだ。たまたま踊りだったに過ぎない。私自身は文章でこうして自己表現しているが、本当に自信があるのは歌だった。しかし楽器が全くダメだから諦めた。つまり、表現したいことの根っこはみんな同じで、その表現方法が違うだけなのだ。表現者は自分が感動したことを何らかの形で表現し、それにより自己実現したいという欲求が本能的にある。

踊り子が絵が上手なのは、ある意味では当然なのかもしれない。自己表現したいという強い欲求があるところに、お絵描き用の紙を与えたら、自然と絵で自己表現するのだ。

たしかに、絵にも上手い下手の強弱があるから、遠慮して「私は絵心がないから」「私の絵は恥ずかしくて見せられない」と言うが、それは上手い絵と比べるからであり、実際に描いてもらうと、皆さん味のあるいい絵を描く。絵はまさしく自己表現であり、その人の個性そのものだと思う。

 そして、表現者が自己表現したものは全てがアート(芸術)なのだ。ステージは総合芸術であり、衣装選び(衣装のデザイン含む)、小道具選び、舞台構成作りの中に既に絵心が表出されていて、まさしく「絵になるステージ」になっている。

 踊り子さんたちにどんどん白いキャンパスを与えたい。私はストリップの父として、かわいい娘たちにお絵描きをさせたい。その結果、彼女たちがどんな可能性を表現してくれるのか楽しみでならなくなる。

 

Ⅲ-(2).MY童話マンガ化の意義

 

次に、私の童話を漫画化してもらう意義みたいなことを考えてみる。

私としては、踊り子さんが私の童話を面白いと評価してくれて、漫画にしてくれたのだと思いたい。そうでなければ、手間をかけて漫画になんかしないはず。

一言で云うと、私の童話に花が添えられた気分なんだな。最高に嬉しくなる。

たとえば自分に関係ない童話でも、漫画なら気楽に目が行くし、漫画だけでも楽しめるし、他の人が漫画にしているんだからきっと面白いんだなとも思ってもらえる。他の童話にも興味が湧くだろうし、漫画だと理解しやすくなる。視覚に訴えるから漫画にする効果というのは計り知れないものがある。

 

では、その漫画がどういう価値があるのだろうか?

私の童話は内容がストリップ童話なのできっと一般受けはしない。だから自己満足にしかならないだろう。私の秘蔵コレクションといったところだろうか。

ただ、こうは言える。踊り子さんがステージで表現したものを、私が童話で表現する。それだけでも踊り子と私のコラボ。さらに踊り子さんが絵で色を添える。これだけの表現者同士のコラボレーションが実現したのだからレベルの高い自己満足になっているはず。

ある親しいスト仲間がこう言ってくれた。「この漫画コレクションは太郎さんならではのもの。おそらく我々が踊り子さんにお願いしても描いてくれない。太郎さんが長年応援し、彼女たち一人一人にレポートや童話を書いてあげたのが効を奏している。まさしく長年の応援の賜物だと思うよ。」

先ほども話したように、私自身、この絵や漫画は、私の童話に踊り子さんが花を添えてくれていると感じている。だから喜びがひとしおなんだな。

あるロックの踊り子さんが私のコレクションを見て、しみじみと言っていた。「これ、他のお客様買いたいほど欲しがりそう!!   MIKAちゃんの絵なんて、どれだけのお客様が欲しがるかしら!? さすがサワティ王子!! ストリップ界の王女様の描いた絵をもってるなんてー!!って感じ!」ほんとMIKAさんの絵を持っているのは奇跡に近い。

また、あるスト仲間は、「これだけ集めたら、踊り子さんのイラスト集として本にできるよ。それぞれの踊り子さんのファンは必ず欲しがるから、けっこう売れるかもしれないよ。」と商売気を促す人もいる。価値を認めてもらえるのは嬉しいが、私にはそんなつもりはない。あくまでMY童話が主であり、マンガやイラストは花を添えてくれるものとして捉えている。今のところはあくまで私の趣味の領域である。踊り子さんには迷惑はかけられないので万一公開するときには必ず相談する。

 

Ⅲ-(3).絵を通じた踊り子さんとのやり取り

 

最後に、個別の踊り子さんとのやりとりの中で面白いなと感じたことを具体的に話してみたい。

 先ほど、踊り子さんは皆さん絵が上手いという話をしたが、もちろん踊り子さん全員が、絵が上手い人ばかりではない。不得意な方もいる。「申し訳ないけど、絵は苦手なの」と断られることも多いが全く気にしない。絵はあくまで過剰サービスなので断って当然。

はっきり言えるのは、女の子はみな絵を描くのが好きなんだな!ということだ。ただ「好き=上手い」とは必ずしもならないところがこの世の常で難しいところ。まぁ何でもそうだよね。

長く親しくしているベテランの瀬能優さん(ロック所属)に絵を描いて!とお願いしたときに「私ね、絵は自慢なの。期待して待ってていいわよ。」と自信たっぷりに言われた。首を長くして三日間待つ。二日目に「今晩、頑張って描くからね。待ってて!」と言われ、ますます楽しみになる。一体どんな絵がもらえるのかな。三日目に絵をもらうとき、優さんが「おかしいのよ。もっと上手かったはずなんだけど~」と言いながら、メーテルの絵を渡してくれた。頂いた絵を見ると、確かに絵が得意という片鱗は感じられた。しかし本人は納得がいかない様子だった。(笑) 急に描いてと言われても、ふだん描きなれてないとなかなか感覚が戻らないものだろう。

蘭あきらさん(晃生所属)が、「私も描いてあげるからね」と張り切っていたのだが、実際に描いた自分の絵を見て「描いてみたんだけど、下手過ぎて渡せない」と言われた。楽屋で一緒にのっている他の踊り子さんのうまい絵を見ていたら自信がなくなったんだろう。そういう気持ちはよく理解できる。私としては彼女の絵が見てみたかったが、笑って「いいよ。いいよ。」と諦めた。しかし本心から諦めたわけではない。次の機会に再度お願いしたいと思っているよん。(笑)

山口桃華さん(TS所属)が、絵が上手いのは前から知っていた。ポラコメによく絵が添えられていたからね。私が「お絵描きを是非お願いしたい」と言ったら快く引き受けてくれた。翌日、「描いたんだけど納得がいかないの。今回は無理なので、もう少し待ってくれる?」という返事をもらう。上手い人にはそれなりの納得感がいることはよく理解できる。急いでいるわけではないので、納得できるまで、いくらでも待ってるよん。(笑)

 

絵にはみんな、その人の個性が表れる。

その絵の独特な世界に突然はまるときがある。ステージではまるのと全く同じだ。

水咲カレンさん(TS所属)が、絵を描いてくれた。彼女の絵に一目ではまった。なんというか、いかにもカレンさんの味に満ち満ちている。しかも独特な絵の世界をもっている。初めてお願いした時、一度に二枚も頂いたが、そのうちの一枚は時間がなくて途中までのものだった。ところがこれがまたいい絵だった。気になってたまらない。私はどうしてもその絵を完成してほしくて、大坂に遠征して、この絵を完成してほしいとお願いした。カレンさんは快く引き受けてくれた。出来上がった絵に感心していたら、カレンさんが「私ね、中学の時は美術だけ5でしたよお」と気さくに話してくれた。その人柄に魅了された。今では、カレンさんは私に絵を描いてくれるために復帰してくれたものと勝手に思っているよ。(笑)

ステージで他の踊り子さんと違ういちじくオリジナルを出している春野いちじくさん(TS所属)。彼女の絵もオリジナリティに溢れた魅力的な絵である。

 予想外に絵が上手くて腰を抜かすこともある。玉さん(TS所属)にイラストを描いてもらったら、あまりにも上手で驚いた。そうしたら「マンガ家になりたいって本気で子供のとき思ってました(笑)」「子供のとき、絵を描いたらクラスメイトがみんな寄ってきてくれたこと思い出しました~。みんなの色塗り用のマンガを描いてました(笑) 引っ込み思案だったんですよね~」「久しぶりに、子供のときわくわくしながら絵を描いたことを思い出して楽しかったです。」という話をしてくれた。こうした隠れた特技を見せてもらい、昔話をしてもらうと、彼女との距離がぐーんと縮まり、ますます大好きになっていく。

 

もちろん「絵は苦手だからごめんなさい」と断られることも多い。全く問題ない。しかし、「絵は全然ダメ!」と言いながら描いてくれる人もいる。たいがいはそう言いながら上手い人が多いのは先に話した。

 ところが本当に絵が苦手なんだなと思える人もいる。(失礼!)

 多岐川美帆さん(道劇所属、愛称タッキー)に頼んだら「私はへのへのもへじしか描けないわよ」と言って、本当にへのへのもへじの絵が返ってきた。多岐の川という相撲取りの絵。彼女らしいジョークに溢れた絵である。しかも続けて二回もらう。さすが、タッキーは今までのMYジョーク集をぺろりと読破しただけある筋金入りのジョーカーである。

タッキーと仲良しの宮野ゆかなさん(TS所属)も「私も絵が苦手」と言う。「太郎さんが見せてくれる絵はみんな上手すぎる。下手な人の絵が見てみたい!」と言うのでタッキーの絵をこっそり見せた。そうしたら絵を描いてくれた(笑)。「おつかれサンバ」という、絵というよりは記号のようなものだった。この最初の絵を見て、ゆかなさんが絵が得意じゃないというのが分かった。他の人に見せたら失礼かなと勝手に思った。すると、ゆかなさんは「私の絵、採用してくれた?」と言ってきて、続けざま絵を頂いた。絵がどんどん進化して、次第に人間の形をしてきて、最後は「おばサンバ」「おつかれサンマ」など変化形になっていく。これには興味がひかれた。そうしたら、一緒にのっていた道劇の桃歌さんが、ゆかなさんの絵に興味をもって別のタッチで「おつかれサンバ」と「おつかれサンマ」を描いてくれた。これには笑えた。楽屋での二人の盛り上がりが目に浮かぶ。私への絵の対応でこれだけ楽しんでもらえれば私も楽しい。

一気にゆかなさんの絵が五枚貯まった。ゆかなさんはポラコメの文字は多く書かない人だが、こと絵はすごくマメで驚いた。絵が好きなんだね。私としては、絵が入ったお陰で、ゆかなさんとのポラ対応が楽しくてたまらなくなってきた。(笑)

全く同じようなことが他の踊り子さんでも起こる。DX歌舞伎の美咲遥さん。最初は「私も絵が苦手」と言っていたのだが一度描いたらやめられない。「うまくなったでしょ!?」と言いながら私の童話ネタに合わせて次々と新しい絵を描いてくる。実際に一公演の間でめきめきと上手くなっていった。毎回毎回のポラに「お絵描きが楽しい!」と言って描いた絵を渡してくれる。七枚も絵を頂く。並べて眺めてみると、確かにその上達ぶりに驚く。好きこそものの上手あれ。私へのお絵描きで是非とも絵の腕を上げてほしい。私としては、絵の上手い女性は素敵だなぁと思う。太郎チルドレンには皆そんな素敵な女性になってほしいと心から思う♡

ロックの小宮山せりなさんも同じ。「私も絵が苦手」と言いながら、絵を描いてくれて「次はもっと上手く描くからリベンジさせて」と毎回ポラのコメントに書いてくる。お陰で彼女の絵が四枚貯まる。最初はプリキュアの絵だったが、次に彼女の好きなプロレスラーの絵になる。だんだん彼女らしい味が出てくるのが見ていて楽しい。

長くお付き合いしている踊り子さんと、こうしたいろんなやりとりがとても新鮮で面白い。楽しくてたまらない。絵のお陰で、新しいストリップの楽しみ方を知った感じだよ。

なにより、絵が苦手と言いながら、私の依頼に快く対応してくれる踊り子さんが可愛くて可愛くてたまらなくなる。まさしく我が娘とのお絵描きを楽しむ父親の気分♪ こうしてポラの枚数と絵が増えていくのが嬉しい限りだ。

 

Ⅳ.まとめ

 

最後に改めて言うが、踊り子さんの顔やヌードやステージが一人一人個性があって違うように、絵というのも踊り子さん一人一人の個性(人柄)がよく出てくる。本当に面白い。絵は上手い下手の問題ではない。踊り子さんの個性を味わえる最高の表現方法(手段)である。そして何より、絵は私に対する踊り子さんの真心なのだと感じている。

絵が踊り子さんの負担になるようでは本末転倒になるが、お互いが楽しめるのであればこれからも続けていきたいと思う。

 

 

H30年10月  絵を描いてくれる踊り子さんに感謝を込めて