今回は、H30年1月結の池袋ミカド劇場での模様を、「ストリップ・マガジンへの大前進」と題して語ります。

 

 

H30年1月結の池袋ミカド劇場で、信じられないほど嬉しい状況が生じた。

その週の香盤は次の通り。①山口桃華(TS)、②浅葱アゲハ(フリー)、③KAERA(TS)、④悠木美雪(TS)、⑤神坂ひなの(TS)、⑥目黒あいら(晃生)〔敬称略〕。

 この週は、TS系列に新しい大型新人がデビューするということで私も楽しみにしていた。中谷ののかさんと同じAV事務所の後輩でもある、神坂ひなのさんは期待通りにチャーミングな娘だった。予定通り、ミカドに五日間通うことになる。

 仲良くさせてもらっているKAERAさんが、新人好きの私が今週はたくさん通うことを見越して「前に話していたマンガの件、今週やってみるね」と話しかけてきた。昨年H29年11月頭のミカドで、メイミンと一緒にKAERAさんと榎本らんさんがのったときにメイミンの描いたマンガが話題になった。たまたまメイミンの体調が悪くてマンガを描けなかったこともあり、メイミンが代わりにKAERAさんと榎本らんさんにマンガを描けないかを打診したらしい。二人とも面白がって、その気になってくれた。その週は時間がなく実現できなかったものの、次の機会に描いてみるね!ということになった。

 ただ、これは私のお願いベースで、あくまで踊り子さんの好意によるものなので、たとえ実現しなくても構わないと話半分に考えていた。

 正月1/6のシアター上野に新年の挨拶に行ったとき、KAERAさんが未だにその気になっていることを知って嬉しくなった。そして今回1月結のミカドを迎える。

 最初、マンガを描く対象として、私が渡したうさかめアニメ・シリーズのドラえもんかアンパンマンにしようかと悩んでいたようだが、二日目に「太郎さん、キキララの話を書けないかな。私、キキララだったら得意なんだけど・・」とポラコメで相談を受けた。キキララは以前、TSの小森ななさんとさくらさんがチームショーでキキララを演じたことがあり、私はその観劇レポートでキキララを一度調べていたので概要は知っていた。KAERAさんにそのレポートを披露したとき大喜びしていたのを憶えている。私はKAERAさんの提案を喜んで受けた。その夜、キキララを復習した。そのとき、私は、うさぎとカメの最終章として、うさぎとカメを宇宙人という設定で結婚させるストーリーを考えていたので、宇宙からの使者であるキキララをうまく絡ませようと思いついた。ところが、その話を書こうとすると話が大きくなり過ぎてKAERAさんに頼める範疇でなくなってしまう。それとは別の話としてキキララをうさぎとカメの話に登場させたい。そこで、以前、小森ななさんとさくらさんのチームショーのときに創作した童話「宇宙ストリップショー」をリメイクした話を創った。元ネタのベースがあったお陰ですぐに話は出来上がった。そして翌日KAERAさんに提出する。

 KAERAさんは翌日仕上げて来た私の話を大喜び。すぐに当日四回目にマンガ原稿の半分を、更に次の日に残り全てを完成させてくれた。総枚数5枚の力作になっていた。

 彼女のマンガは私の想像を超えていた。まさしくメルヘンの世界。ストーリーに合わせた絵の構成力、登場人物たちのかわいらしさ、風景や動物たちの細かい描写など、素晴らしいタッチだった。なによりも驚いたのは塗り絵をたっぷりして、まるで絵本の仕上がりになっていること。かなり凝った出来栄え。これが大きなインパクトになっている。

 私のために、これだけ時間をかけて丁寧に仕上げてくれたことに、私はKAERAさんの愛情を感じた。改めて長年KAERAさんのファンで本当に良かったと思えた。そうしたら嬉しくて涙が出てきた。

 当のKAERAさんはマンガ化の初体験が楽しかったので、これからもドラえもんとかアンパンマンに挑戦してみるね!と話してくれた。これまた嬉し涙。

 

 更に驚くべき、嬉しい事態が起こった。これは奇跡である。

 KAERAさんが楽屋でその絵に取り組んでいることを、仲良しの浅葱アゲハさんが覗き込んで興味を持ってくれた。実は、今週、メイミンのマンガを一日一度ずつ、三日に分けて三回見せていた。「えぇ~続編まであるんだ。すごーい!」 アゲハさんはメイミンの絵の上手さに感心していた。きっとアゲハさんの絵心がくすぐられたのだろう、KAERAさんに私も描こうかしら!?と話したらしい。すぐKAERAさんのポラコメに「アゲハさんは‘なめこちゃん’なら描けると言っているから、太郎さんがなめこちゃんの童話を書いてくれたらマンガを描くと言っているよ。」と伝えてくれた。フィナーレのときに、アゲハさんとKAERAさんにOKの合図を送った。そして私は喜んで次の日に童話「なめこちゃんが森のストリップ劇場にやってきた」を提出した。

 そして、その翌日に浅葱アゲハさん直筆のマンガが仕上がった。アゲハさんの絵は独特な味のあるタッチ。まさしくアゲハさんも絵心のある方だ。しかも、うまくコマ割りして、私の文章からポイントになる言葉をうまく拾ってストーリー立てしている。いかにもマンガらしい。

アゲハさんは朝早く起きてこのマンガを仕上げてきたらしい。これも感動ものである。実際に描いてみて、メイミンの凄さがよく分かったと話していたよ。当のアゲハさんは大変だったとは言わず、初めての体験にドキドキ楽しめたと話してくれた。他の話にもチャレンジしてみたくなった!と嬉しいことも言ってくれる。

KAERAさんと浅葱アゲハさんは照れながらも、お互いの作品を見せあったようだ。

「うさぎとカメの話」は不思議な力を持っている。たまたま、メイミンと左野しおんさんに気に入ってもらって、続編を書き始めてから、信じられないほど筆が進む。まるで私のストリップ童話の集大成みたいに構想が膨らんでいる。しかも、マンガ化という面白いタッチで、踊り子さんとのコラボが実現できて増々拍車がかかる。

 今回、メイミンを始めとして、KAERAさんと浅葱アゲハさんを含めて、‘うさかめファミリー’ができあがった。

 

メイミンが植えてくれた種が、いろんな場所で花開こうとしている。

このミカドの週に、お気に入りの新人の悠木美雪さんも出演していた。彼女はメイミンが初めてマンガを描いてくれた10月頭のシアター上野でデビュー。メイミンのマンガも見ている。その後のH29年11月頭のミカドでもメイミンと一緒だった。驚いたことに彼女は実際にイラストの仕事もしていて絵心がある。私が彼女の演目からネコの童話を書いてプレゼントしたら、これをマンガにしてくれると約束した。これも彼女の好意からなので、期待しながらものんびり待っている。かなり時間がかかっているが着手しているようだ。KAERAさんが、今回のミカドで美雪さんが描いている絵を見たとこっそり教えてくれた。おそらく彼女はKAERAさんや浅葱アゲハさんの動きを察知している。

他にも、東洋の榎本らんさんにも期待している。同じ東洋のコンビである遠野こころさんが榎本らんさんの絵を楽しみにしていたので私も期待に胸が膨らむ。

また、今週2月頭、晃生で新たな軌跡が起ころうとしている。出演していた虹歩さんが浅葱アゲハさんと仲良しなのは知っていたので、アゲハさんとKAERAさんのマンガを見せた。楽屋でRinさんと盛り上がったらしい。Rinさんからも驚きの声を聞く。すると虹歩さんが「私も描いてみるね」と話してくれた。これには私も驚いた。「できれば今週の楽日までルパン三世を描きたい。もし今週できなくても、来週はオフなので必ず描いてみるね。取りに来てね。」とポラコメに書いてあるよー♪

 

この数日の間に、私自身、信じられないくらいに、私のストリップ童話のマンガ化の輪が広がり始めた。もしかしたらストリップ・マガジンの実現も夢ではないかもしれないと期待をもたせる。

 なにせ、これだけのストリップ界の大御所たちが私のストリップ童話に賛同してくれているわけだ。なんという幸せなことだろう。

 この波に乗っていきたい。是非とも今年中に勝負をかけてみたい。

 振り返れば、ストリップに魅了され離婚と失業まで経験し、私ほど波乱万丈のストリップ人生を歩んでいる客もいないと思われるが、「捨てる神があれば拾う神あり」で、私の20年間のストリップ人生もまんざらではないのかもしれない。ストリップのせいで人生を破滅させたと考えずに、「私のストリップ愛が勝ったんだ!」と思えるような、そんなストリップ人生を歩んでいきたい。

 

 

平成30年2月頭                             池袋ミカドにて