久しぶりにストリップ・エッセイを書いてみます。題名は「ストリップ・マガジン構想」。

 

 

 ずいぶん前に、ある踊り子さんから「太郎さんからもらう文章はストリップ・マガジンみたい。おもちゃ箱をひっくり返したような面白さがあるわ。」とコメントを頂いた。

 私は、そのストリップ・マガジンとはどういうものなのかなぁとずっと思い描いてきた。

 

 H29年10月頭のシアター上野で、ひょんなことから羽音芽美さん(以下メイミンと呼ぶ)に私の童話をネタにマンガを描いてもらった。この童話は六年前のH23年に書いたもの。たまたま左野しおんさん(道後ミュージック所属)と羽音芽美さん(晃生所属)に大うけした。そこで勢いにのり、すぐに続編もでき、上野で二編、次の翌週、栗橋(10月中)でもう一編と一気に計三編がマンガ化された。これが大好評になる。

 最初は、メイミンが自分のポラを買った人に配っていたが、次の11月頭のミカドでは劇場スタッフがお客に配布。スタッフから「このマンガの原作は太郎さんなんですか。すごいですね。」と声を掛けられた。私は素直に嬉しかった。

 私のスト仲間でシナリオライターをやっている人にこのマンガを見せたら「このマンガをためていったら本になりますよ。」と称賛してくれた。

 私は、そのときにストリップ・マガジンという明確なイメージが浮かんできた。ストリップ・マガジンは私の文章だけではなく、マンガやイラスト、写真などが満載している雑誌なのである。

 これは私一人ではできない。今回、メイミンの力を借りてマンガ化できたが、ストリップ・マガジンを完成させるには更に多くの人々の力を借りて編集しないとできない。これにはかなりの協力、そして労力・時間・資金が必要になる。おそらく完成したときの喜びは計り知れないが、そこに至る道のりも現時点では計り知れないものがある。

 

 このマンガ「うさぎとカメのかけっこ」が好評である理由を考えてみた。

 まずは、マンガのもつ視覚的インパクト性

 メイミンは本当にイラストが上手く、特にうさぎちゃんの可愛さに特筆すべきものがある。殆んどの読者は一発で、うさぎちゃんの可愛さに魅了される。このインパクトの強さは漫画ならではもの。文字では最初のインパクトがないところが最大の欠点である。

 マンガは原作者と漫画家の愛の共同作業。ある踊り子さんから「今回のマンガは太郎さんとメイミンの愛の共同作業だね」と茶化されたが、照れ半分で、大好きなメイミンとそう言われると幸せ気分になる♪

ともあれ、原作はあくまで文字の世界。読者はイメージを自分で作る作業過程が要る。これが読書である。ところが漫画家は文字にイメージを作ってくれる。だから読む側は読書より漫画の方が楽なんだね。イメージが頭にすーっと入ってくるもんね。

 言葉に音をのせる。言葉に絵をのせる。なんて素晴らしいことだろう。こうして出来上がった歌や絵が人の心に感動を与えるのは当然である。

 もうひとつ、今回の童話に限って云えば、「森のストリップ劇場」という設定が良かった。私の当初の原作には「森の」という前提はなかった。それをマンガ化するにあたりメイミンが形容してくれた。お陰で、私のその後の創作活動は全て「森のストリップ劇場」の物語となる。これが話の展開を豊かにし、エロいが癒しの物語として受け入れられるようになる。このことは仲良しの踊り子KAERAさん(TS所属)が次の通り指摘してくれた。「森のストリップ、なんかメルヘンちっくで癒されますね。やっぱり森という言葉があるだけで動物とかもいてかわいらしいイメージ出てくるもんね。」まさしくその通りである。

 ふと、エポック社のシルバニアファミリー(Sylvanian Families)を思い出す。これに登場するのは、森に囲まれたシルバニア村に住む動物たちという設定である。そこには「森の〇〇〇」というシリーズもある。「シルバニア森のマーケット」「シルバニアファミリー 森のお家」「シルバニア森のキッチン」など。動物たちの人形は基本的に4-7体の『家族』単位で発売されている。発売当初の家族構成はウサギ(グレー、ブラウン)、ネズミ、リス、クマ(グレー、ブラウン)、タヌキ、モグラ、キツネの9家族40体。その後、何度か人形の入れ替えがあり、2008年現在ではウサギ(3種類)、ネコ(2種類)、イヌ、リス、クマ、ヒツジの9家族63体が通常商品として、オコジョ、ハムスター、ブタなどが限定商品として売られている。人気キャラクターとしては、みるくウサギちゃん、くるみリスちゃん、シマネコちゃん、マロンイヌくんなどが有名。私の童話もその気になれば、こうした展開もできる。

 

 私はどんどんメイミンにマンガ化してほしくて原稿を提供した。

 ところがメイミンは売れっ子の忙しさ、病み上がりで体調が悪いことなどが重なり、なかなか執筆が進まない。これは致し方ないことである。

 メイミンと気の合う踊り子・榎本らんさん(通称RC)がミカドで一緒にのり、最初はメイミンにマンガを催促してくれたようだが、「メイミンが体調が悪いので今回は私が描いてみるね。」と言ってくれた。私はRCの演目のゴルフに合わせて、うさぎとカメの話・ゴルフ編を書いて渡した。ミカドでは時間がなくて実現しなかったが、今度マンガを描いてみるねと約束してくれた。

 このマンガを気に入った踊り子さんの中には、私も描いてみようかしら・・と思ってくれる方もいる。道劇の新條希さん、TSのKAERAさん、ロックの西園寺瞳さん等・・・。

他にもポラ裏にかわいいイラストをさりげなく描いてくれる人はたくさんいる。晃生の望月きららさんや寿恋花さん、TSの山口桃華さん、ロックのmisakiさん等、こういう方々にアタックしてみたい。

 そういえば、踊り子さんの中にはイラストの上手な人が本当にたくさんいる。昨年暮れにTSさよなら公演で、出演者全員(栗鳥巣さん、京はるなさん、渚あおいさん、川越ゆいさん、新條希さん、春野いちじくさん、RUIさん)がマンガとイラストの小冊子を作り、それをコピーして2000円で販売していた。踊り子さん達の食事代稼ぎという細やかな企画だったが、そのときの踊り子さん全員がイラスト上手なのに仰天。女の子は小さい頃からのお絵描きのせいか、本当に絵の上手い人が多いね。こうした人たちの力を結集できれば面白いことができそう。

 道のりは険しいが、ひとつの夢として追いかけてみようと密かに考えている。

 

 メイミンにマンガを描いてもらいながら、いろいろ思うことを書いてみる。

 たくさんマンガにして欲しくてネタをばんばん書いても、肝心のメイミンの方に時間のタイミングとかモチベーションとかの問題が発生する。だから量産は難しい。

 こうして、原作者と漫画家のギャップが生じる。

 この点は、漫画だけでなく、歌作りにおける作詞家と作曲家、絵や彫刻のような美術品作りにおける画家とモデルのように、共同でひとつの作品を作り上げるもの全てに生ずる。

 共同作業者とのギャップを気にしなくても作品作りに邁進できるようにするためには、一人で何でもできるのがいい。歌作りにおけるシンガーソングライター、モデルのいらない美術家、原作も兼ねた漫画家など。今はそういうマルチな才能をもった人々がたくさん輩出されている。しかし、私なんかは絵心がないから、今から絵の勉強をする気もないし無理だもんなぁ~

 ただ、いろんな人の才能がコラボされると一個人では出せない世界観も出せることがある。最近知った音楽家の米津玄師さんのマルチの才能には驚かされるが、そんな彼でも同じ天才である田中ヤスタカさんとコラボすることでまた新しい世界観を広げている。

 

 また、原作者として漫画家への注文がいろいろ感じてくる。メイミンのマンガを観ながら思うのは、

・漫画というのは文字を極力減らし、マンガそのものでストーリーが分かるのがベスト。

・四コマ漫画ではないが、私の童話はできるだけ一ページに収まるのが見やすい。

 コマ割りの問題なんだろうね。これこそ漫画家の技術。

などがあるものの、今の時点ではメイミンに伸び伸びとマンガを描いてほしいと思う。

 

 何事も思うようにはいかないもので、地道にこつこつやっていくしかないだろう。

 いつか夢を実現させたいものだ。

 

平成29年11月